遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

共青団派で李源潮副主席の腹心が規律違反と違法行為の疑いで調査

2015-03-17 01:29:31 | 中国 全般
 全人代が終了しました。経済成長の鈍化への対応が大きなテーマだったことは予想通りで、「ニューノーマル」の標語で新しい局面を表現し変化を認めていました。高い成長率が続いてきたのですから、分母が大きくなり成長率が下がるのは当然の事ですし、日本等の先進国が辿ってきた道なので、成長率の設定がさがることは当然で率の目標数値が下がることに大騒ぎする必要はありません。
 問題は内容で、7%を下回ると高度成長期に隠れていた格差の拡大による弊害が露呈され、社会問題が表面化すると言われている事態への対策がなされたのか、世界の工場としての輸出鈍化、公共投資の財政出動で支えた成長の鈍化を、内需の成長で支えるための施策は的確に建てられたのかですが、報道をみている範囲では伝わってきていません。遊爺の情報収集不足のせいでしょうか?
 代わって聞こえてきたのは、歴史問題での対日批判と、「ニューノーマル」と併せて今回出てきた標語の「四つの全面」。ピンチになると反日をクローズアップして国民の眼を逸らすのは、常套手段なので想定内ですが、遊爺がひっかかっているのは、「四つの全面」のうちのひとつ、「全面的に厳しく共産党を治める」の項目が、政府活動報告の原稿で洩れていたという報道。印刷ミスと説明されていますが、こんな大事な項目が、単純ミスで済まされるものなのでしょうか?

 江沢民・上海閥派、胡錦濤・共青団派の政局争いの中で誕生した、習近平新政権は、江沢民の傀儡政権かと思うほど政権基盤は軟弱で、党常務委員の椅子はなんとか共青団の優位を排除したものの、次期改選では共青団の有力候補が揃えられているといった状況でした。
 そこで、習近平は、腐敗政治撲滅の御旗の元、政敵を葬り去る戦術を展開して、成果をあげつつあります。この戦術こそが、印刷ミスで原稿で消されていた項目ですね。

 そして、全人代が終了するや、李克強首相(共青団派ですが)は、今後も高官を対象とする汚職摘発運動を継続することをアピールしています。

 
全人代開幕 着目点はGDP目標引き下げと、国防費2桁成長のギャップ - 遊爺雑記帳
 重要スローガン「印刷漏れだった」…中国首相 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 
高官腐敗、摘発を継続 李源潮副主席側近を調査 (3/16 産経)

 
【北京=矢板明夫】中国の李克強首相は15日、全人代(国会)閉幕後の記者会見で、習近平指導部が主導する反腐敗キャンペーンについて、「地位の高い人々も調査と処罰の対象になっており、国民の支持を得ている」と述べた。当局が今後も高官を対象とする汚職摘発運動を継続することをアピールしているようだ。

◆会見終了に合わせ…

 首相の会見終了後の同日午後1時ごろ、国営新華社通信はタイミングを計ったかのように、
雲南省の仇和副書記規律違反と違法行為の疑い
で調査を受けていると報じた。
 「トラもハエもたたく」をスローガンとする反腐敗運動で、昨年中に収賄や横領などで摘発された公務員は5万5千人を超え、閣僚級高官は28人に達した。1949年の新中国建国以降、経済問題で失脚した高官が最も多い年となった。
 しかし、元高級幹部の子弟で構成され、
習主席自身も属する派閥、太子党からは失脚者は一人も出ていない。このため、党内の派閥間の主導権争い
という面があることを印象づける。
 捜査を担当する党の規律部門は当事者や周辺に察知されないよう内偵を進め、ある日突然、食事や会議などの場に捜査員が現れて本人を拘束するケースが多い。15日に拘束された仇和氏も、前日に開かれた全人代に出席したことが確認されている。党の規律部門のトップは習主席の盟友で、同じく太子党の王岐山・党政治局常務委員だ。
 昆明市党委書記などを歴任した
仇和氏は、老朽化住宅の再建などで辣腕(らつわん)を振るい、改革派指導者の一人として中国メディアによく取り上げられ、高い知名度を誇る。同時に、李源潮国家副主席の長年の部下で、腹心の一人としても知られ、失脚は大きな波紋を広げている。共産党関係者の間で「本当の狙いは李源潮副主席ではないか
」といった観測が流れている。

◆一大党内抗争誘発も

 李副主席は昨年末に失脚した令計画・前党中央統一戦線部長と同じく、胡錦濤前国家主席が率いる派閥、共青団派の有力者で、2017年に開かれる次期党大会で最高指導部入りが確実視されている。
 
李氏の側近とされる重要幹部が汚職などの名目で次々と拘束される事態に、ある共産党関係者は「李氏の外堀が埋められつつある」と指摘する一方、「李氏が失脚するようなことがあれば、一大党内抗争を誘発しかねない」と話している。

 習近平が危機を感じ、共青団派の切り崩しをして自陣に寝返りをさせているという話は以前アップさせていただいていました。
 
習近平 第二期政権人材を共青団切り崩しで獲得 - 遊爺雑記帳

 切り崩しが出来ない者は、汚職で追放という強硬手段なのでしょうか。記事でも指摘されていますが、太子党からは失脚者は一人も出ていません。また、追放した虎の後には、習近平の子飼の部下を据えて政権基盤強化と既得権益の確保を進めているのですね。

 重要な経済政策の内容はお粗末(李克強の領域に習近平が出しゃばってきた)で、軍事費は二桁成長を維持し、政局争いで虎退治に熱中している習近平。
 恐怖政治手法で長続きした政権はありません。
 記事に書かれた、一大党内抗争の火種は、習近平自らが大きくしている様ですね。





 この花の名前は、アワコガネギク


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3月15日(日)のつぶやき | トップ | アジア投資銀 日米と欧州勢... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事