2012年が始まりました。2011年に起きた、国内や世界での出来事を受け、先が見えない中を大きな転換が求められる年となりそうです。主要各紙の社説でも大なり小なり今年が転換期であることを唱えていますね。
読売が先ず取り上げているのが、欧州の金融危機と日本の財政破綻の危惧への対策としての税と社会保障の一体改革。社会保障の財源としての消費税率引き上げに道筋をつけ、成長のカギを握る自由貿易を推進し、現実的なエネルギー政策を確立することを求めています。
日本の債務がGDPの2倍に達し、国内の機関投資家や個人投資家に保有されているため安定しているとされていましたが、個人金融資産の1,100兆円にあと200兆円と迫る900兆円を超えてしまいました。国債に対し、ギリシャの様に不安が募ると金利が上昇し、規模が大きい分一気に財政破綻へ向かう危険性をはらんでいることは、諸兄がご承知の通りですし、消費税率引き上げによる財政再建が急がれる理由であると指摘している点は、遊爺も唱えているところです。
「財政再建に努めないと国債が暴落しかねないと指摘されても、政治は負担増を嫌う国民を説得できていない。混迷を深める市場と、民意に翻弄される政治が、相互に危機を増幅している。」と、ポピュリズムとの決別を求めています。その点も同意しますが、ただ、その前か同時に国会議員の削減、公務員改革(給与水準やリストラ)がいつまでも棚ざらしなことと、全体像を危機の状況と共に国民に説得されていないことが、反対を招いているのですね。
対中外交にも触れ、「日本の取るべき道は、アジア重視の姿勢に転じた米国との同盟を一層深化させ、南西方面の防衛力を向上させること」を求め、普天間の辺野古への移転の日米合意の実現に向けた野田氏自らの沖縄訪問説得を求めています。
ここで、仲井真知事を説得としていますが、それでは責任転嫁であり、もともと辺野古沖移転に向けて協議を重ねてきた仲井眞知事の足を引っ張ったのは、鳩をはじめとする民主党自身であり、今でも沖縄出身の民主党国会議員や県議他地元議会議員が反対しているのですから、先ずはこれらの民主党議員から説得するのが道理です。
あと注目すべきは、「安全が十分に確認できた原発から再稼働していくことが必要だ」と主張し、政府が地元自治体の理解を得るよう尽力することを求めています。「太陽光や風力などの電源に占める比率を高めていくにしても、国内で古くなった原発を高性能で安全な原発に更新する、という選択肢を排除すべきではない。」とし、世界では増設が進められていく原発に、安全な原発を提供し貢献するという考えは、遊爺も同感です。
「危機」乗り越える統治能力を ポピュリズムと決別せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
日経は、
「日本は今悩んでいる。日本はどこへ行くのだ。日本は何をするのだ。日本はどうなるのだ」「日本はもう(中略)進むだけ進んだのではないか。生々たる発育期をすぎて、静止状態に入ったのではないか。注意すべきは発足期にたつ支那(原文のまま。中国をさす)であって、日本の時代は過ぎたのではないか」という、中外商業新報(日本経済新聞の前身)で外報部長をつとめた、清沢洌(きよし)氏の『転換期の日本』という著書を引用し、民主主義、資本主義について語り、日本がグローバル化に対応しながら生き残っていくための活路を見いだすことが資本主義を進化させることになるとし、 「日本が再出発するためには」「国家の目標を高く掲ぐるを要する」「国家の目標とは(中略)、世界を家とし、世界に友を求めることである」という、清沢氏の著書の締めの文を引用し、「日本再生のためには、国家目標としてグローバル社会で生きぬくことを高く掲げ、転換期を乗りこえていこう――。」と呼びかけています。
転換期日本 変化の芽を伸ばす(1) 資本主義を進化させるために :日本経済新聞
朝日についてはいつもの批判ばかりの論調が大部分を占め、読んでいても飽きて来るのですが、少し取り上げると、原発については読売とは全く逆で、「原発の惨状は、豊かな生活を支えてきた潤沢なエネルギーがじつは危うい上げ底だったとの反省を迫っている。」とし、「何万年もの後代まで核のゴミを残す原発は、できるだけ早くゼロにする。自然エネルギーを発展させ、環境重視の経済に組み替える。 」と、例によって机上の理想論で締めています。「できるだけ早く」を付けたところは、部数の大幅減で反省し始めている兆でしょうか。
財政や金融政策に頼り無理な経済成長を続けたつけが日本を先頭とする財政赤字を産んだと指摘する点に異存はないのですが、その負担のツケを次世代に先伸ばししているのは民主主義の欠陥としているのは、意味不明です。読売と同じポピュリズムを非難しているのでしょうか。
経済発展は終了し、成熟期に入った環境に合わせることを、ブータンを取り上げて述べ、「草食系の若者たちが登場したのは、ポスト成長の環境変化に適応して進化したからではないか。」というみずほ総合研究所の新設を引用しています。ただ、「経済成長をしないで、巨額の財政赤字を処理しつつ、急激に進む少子高齢化を乗り切っていけるのか。 」「新興国が激しく追い上げてくる大競争の時代、人口が減りだした日本は、のんきに構えてはいられない。よほど努力しないと現状維持すら難しい。 」「だから、国をもっと開いて打って出て、新興国の成長力を取り込み、世界に伍(ご)していける若い人材を育てていかねばならない。それを怠れば、この国の将来が危うくなる。 」とのべ、日経のクローバル化と同じ論調も述べているのは、これも朝日の変化の兆でしょうか。
結局は総花的で、どれが朝日の社説の筋なのかは遊爺には理解出来ません。
最後に産経は、いつもの「主張」ではなく、「年のはじめに」として中静敬一郎論説委員長の記事が掲載されています。
「負けるな うそを言うな 弱いものをいじめるな」という、江戸期、薩摩藩の武士の子弟を育てた郷中教育の訓戒を引用し、自らのアイデア、世界経綸、独立自存の精神を持った人材の輩出による厳しいグローバルな外交の乗り切りや、日本復活への掛け声をかけています。
読み進むにつれて文字がぼやけてきたのは、遊爺が年をとったせいでしょう。
「負けるな うそを言うな 弱いものをいじめるな」。江戸期、薩摩藩の武士の子弟を育てた郷中(ごじゅう)教育の訓戒だ。この郷中教育から西郷隆盛、大久保利通ら強い明治をつくった偉人が輩出した。
鹿児島市立清水小学校ではこの訓戒が「清水魂」とされ、脈々と今に引き継がれている。
毎年盛夏、4年生以上が桜島から対岸の鹿児島市までの錦江湾4・2キロの横断遠泳を試みる。
驚くのは、100人前後の希望者のほぼ全員が猛訓練に耐え、完泳することだ。学校、父母、地域が一体になって励ますからだという。とりわけ年長組が年少組を教え導くことが大きい。死力を尽くして目標を制覇できた児童は大きな自信を得て晴れやかになる。
◆名もなき英雄たちの奮闘
海老原祐次校長は「皆、大きな声であいさつするのですよ」とうれしそうに語った。
「負けるな」は、昨年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災現場でも心の合言葉になった。東電の下請けを担う協力会社のベテラン社員(47)がいる。水素爆発を起こした3号機の隣の2号機で電源を復旧していた彼は事故直後、東電の要請に応じ、そのまま原発に残った。
1日の食事は非常食2食、毛布1枚にくるまり雑魚寝という過酷な環境だった。「被曝(ひばく)の危険性があることは分かっていたが、復旧作業には原発で18年働いてきた俺たちのような者が役に立つ。そう覚悟を決めた」
彼は避難を余儀なくされた後も、また第1原発に戻った。「同僚たちは今も原発で働いている。少ない人数で頑張っている。仲間のために自分は行く」。こうした名もなき「英雄たち」の戦いは今も続いている。福島第1原発で新年を迎えた東電関連社員は約500人を数える。
「負けるな うそを言うな 弱いものをいじめるな」に込められた剛毅(ごうき)さ、克己、礼節は日本人の奥深くに厳然とあるはずだ。
だが、戦後日本はこれらを忘れてしまっていたのではないか。京都大学名誉教授の田中美知太郎氏は昭和55(1980)年1月の本紙正論欄で日本外交の問題点としてこう喝破している。
「いつもわが国の特殊事情なるものを説明して、相手の了解を取り付けるというようなものばかりという印象が強い。共通の事柄について、共通の言葉を使って堂々と所信を述べるというようなことはあまりないのではないか」
お家の事情を理解していただくという手法は、国連平和維持活動(PKO)は危険な地域だからこそ必要とされるのに、日本は自衛隊を危険地域に派遣させないと主張する一例が象徴する。身勝手な慣習に現実を直視しない戦後民主主義が色濃く投影されている。
大震災で浮き彫りになった「想定外」を考えようとしなかった思考停止状態、国家として非常事態への備えを疎(おろそ)かにしてきたことも、その延長線上にある。憲法での緊急事態対応は「参議院の緊急集会」にとどまっている。国家が総力を結集する枠組みは不十分のまま放置されてきたのである。
終戦後の米軍統治下で日本を無力化するため、主権の行使を制限してきた憲法の見直しこそ、なんとしても急がねばならない。
◆独立自存が求められる
日本が強い国に生まれ変わるためには胆力と構想力を持った指導者が欠かせない。今年、主要国の指導部の交代により、国家間のパワーゲームは熾烈(しれつ)を極める。狡猾(こうかつ)な手口は中露にとってお手のものだ。したたかに、しなやかに自由と民主主義を守る国々と連携を強め、繁栄と安全という国益を守る必要がある。これまでのように特殊事情を釈明して逃げ回るのではなく、自らのアイデア、世界経綸(けいりん)、独立自存の精神が問われている。負けてはならないのだ。
昨夏の清水小学校の遠泳では、白帽の4年生と隊列を組んで泳ぐオレンジ帽の6年生が「白帽がんばれ」「東北がんばれ」「日本がんばれ」と声をかけ合ったという。日本の底力を信じたい。
# 冒頭の画像は、 岩手県大槌町の初日の出。神社へ初詣に向かう途中に流された自宅跡に立ち寄る人の姿があったのだそうです。
オオバモミジ
↓よろしかったら、お願いします。
嫌中屋の妄想です。
だいたい台湾が中国に接近したり、
インドもモンゴルも上海協力機構に加盟した中、
単独で軍事行動なんて起こせません。
中国への憎しみを吠えるより憲法九条改正とか
現実的な事を考えた方が良いですよ?
ご指摘の様に、憲法の見直しは重要で、自民党は「立党宣言・綱領」の「新綱領」で明示していますね。
憲法改正がなぜ必要かは、特に安全保障では「想定外」を無くすべくあらゆる想定がなされるべきです。なかには奇遇に終わってほしい想定も必要です。中国・人民解放軍が覇権拡大戦略を練り、すすめていることは、嫌中のいかんにかかわらず世界の多くの国々が警戒しているところです。
日本にも、備えが必要と考えるのです。
以下は、産経・論説委員がみた不吉な夢だそうです。正夢となる日が来ないことを願いますが、座して念じているだけでなく、各種法整備の準備が必要ですね。「想定外」はもうこりごりです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120103-00000066-san-pol