遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

GMが四半期ベースで世界首位を奪回

2011-05-07 22:43:43 | 東日本大震災
 米国では今年に入り自動車販売実績が伸びているのだそうです。ただし、伸びているのは米・ビッグ3で、日系メーカーは減少しているとのことです。大震災で生産がままならない日系企業が販売奨励金を絞るのに対し、ビッグ3は、逆に奨励金を増やして攻勢を強めた結果なのだと。
 更に、北米依存で中国市場に出遅れたトヨタより、中国市場で一日の長があるGMは、1~3月期の四半期の世界販売台数で、トヨタからトップの座を奪還したのだそうです。そして、今年通年でもGMがトップとなる見込みだとか。
 

ビッグ3 大幅回復 1 ~ 3月期 北米販売が好調 (5/7 朝日朝刊)

 
米自動車大手3社の業績が急回復している。2011年1~3月期決算はいずれも前年同期より大幅に改善。北米の販売増が際だつ。東日本大震災の影響に苦しむ日本勢と明暗が分かれ始めている。

 ゼネラル・モーターズ(GM)が5日発表した1~3月期の世界販売台数は、前年同期比11%増の222万1千台。トヨタ自動車(ダイハツ工業、日野自動車を含み209万9千台)を上回り、四半期ベースで世界首位を奪回した。
 「世界の自動車産業が成長するなか、我々は良い位置にいる」。ダニエル・アカーソン最高経営責任者(CEO)は5日、電話による記者会見で自賛した。
 GMは5四半期連続、フォード・モーターは8四半期連続の黒字。クライスラーは09年の経営破綻(はたん)以降、初めて四半期ベースで黒字となった。各社の好調を支えるのが主力の北米市場だ。GMの北米自動車事業の売上高は15%、フォードは27%それぞれ増えた。
 米国では年明け以降、景気の緩やかな回復に支えられ、利幅が大きく米メーカーが得意とする小型トラックが売れた。2月後半以降は原油価格が高騰し、燃費の良い小型車の需要が増えた。過去の例では米メーカーがシェアを落とし、日系メーカーが伸びる局面だが、3月に東日本大震災が発生。日系メーカーは供給が滞る懸念から販売奨励金を絞り、GMなどは逆に奨励金を増やして顧客を囲い込んだ。トヨタの米販売台数は3月に前年割れ。4月もマイナスだった。
 
日系メーカーは今後もしばらく原油高という好機を逃しかねない情勢
だ。例えば、トヨタの主力ハイブリッド車「プリウス」は日本から輸入しており、同車の在庫は減り続けている。購入後、その場で乗って帰るのが一般的な米国では、在庫がなければ商機を逸することにつながる。
 一方、米3社は「今のところ震災による生産への大きな影響はない」(GM)という。日本メーカーの生産が正常化するとみられる年末までに、日米大手の明暗がさらにはっきりする可能性がある。(ニューヨーク=山川一基)

 逆転した根は、震災による供給力ダウンだけではなく、複合的な様子です。
 
GM、世界販売首位奪回へ 「リコール・震災・円高」のトヨタ抜き - SankeiBiz(サンケイビズ)
 
 米調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツの予測担当ディレクター、ジェフ・シュスター氏が「GMは成熟市場で地位を取り戻しつつあり新興市場でも急速に伸びている。」と指摘していることに凝縮されるのですが、奨励金での顧客獲得のほかに、GMが打倒カムリを目指している対抗車として新型乗用車「シボレー・マリブ」を発表し好評をえるなど、北米でも新車での攻勢をかけ、中国市場では、高級ブランド「ビュイック」や、より手頃な韓国GMの「シボレー」で消費者を取り込んでいるということです。

 世界市場での韓国製品との価格競争に苦戦しているのは、電器業界でも同じなのですが、パナソニックが社長の陣頭指揮で、インドでのシェア奪取に注力し手ごたえを得ている話は、テレビ(報道ステーション)でご覧になられた方が多いと存じます。
 日本企業が本家で、それを他国企業が真似た顧客ニーズに対応した商品開発の、日本企業の慢心への反省からの出発でした。インド市場成長の中核を担う中間層のニーズを、インド人社員によって洗い直し、オーバースペックを削ぎコストダウンを図りつつ、故障がないという品質は確保することでの初心に帰った巻き返しが功を奏しているとのことです。

 
5万円を割るテレビも大出力で!パナソニック、インド向け家電へのこだわり - デジタル - 日経トレンディネット

 省エネ車の市場が伸びていて、日系メーカーの独壇場となるはずがシェアーを落とし、ついこのまえ破産宣告を受けたビッグ3がシェアーを伸ばし好業績をあげている。
 震災による生産減、円高だけではない、北米、新興国といったそれぞれの市場ニーズに対応した商品開発という、日本の製造業が得意とした基本への回帰が、このピンチの時こそ必要だと、パナソニックの挑戦に学ぶべきでしょう。
 インド市場では、4輪のスズキ、2輪のホンダが頑張っていることは、諸兄がご承知の通りです。

 ソニーによる、新たな日本の製造業への不信感を産む事件が発生していますが、トヨタ車の意図しない急加速の調査では、米国運輸省が「電子制御装置に欠陥なし」と結論づけたことで、回復の兆も見えてきている面もあります。

 震災によるサプライチェーン損傷&電力不足での生産減により奪われるシェアは、自動車だけの話ではありません。早期の復旧で、世界の市場でのシェア減を食い止め、奪還に転じる日本の製造業の力(生産量を戻すだけでは駄目)が発揮されることを願っています。

 中国での4月新車販売、トヨタ・ホンダ2割減 部品供給停滞で  :日本経済新聞
 上海モーターショーにみる中国自動車市場の未来(3)

 # 冒頭の写真は、NY国際自動車ショーでお披露目されたGM「シボレー・マリブ」

 

↓よろしかったら、お願いします。


写真素材 PIXTA


Fotolia


日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略
中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5月6日(金)のつぶやき | トップ | 福島第一原発に投入される、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

東日本大震災」カテゴリの最新記事