遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

福島第一原発に投入される、世界の各種技術と重機やロボットの競演

2011-05-09 00:36:20 | 東日本大震災
 未曾有のレベル7の原発事故。安定冷却化に向け、世界の叡智を集めた作業が進められているはずですが、ロボット&重機の最先端技術や、現行技術が新たな用途での実用効果が試されています。近隣の住民の方々や各種産業に大きな被害をもたらしていて、被災されている方々には、心からお見舞い申し上げます。
 その状況の中で、不謹慎のそしりを受けるかもしれませんが、この禍を克服する新技術が実効をあげ、世界の今後に貢献することを願っていますし、世界中のエネルギー需要の今後につなげることになり、被災された方々のご苦労に報いることになると考えています。
 世界中の叡智がこの現場で性能を試され実証される機会ともなっていますね。日本の技術は世界の最先端と、国内ではよくもてはやされていますが、どうなのでしょう。

 最初に注目されたのは、使用済燃料冷却プールへの注水が、自衛隊のヘリの決死の散水から、東京消防庁の夜を徹した「屈折放水塔車」の導入での注水成功。
 それをさらに確率を高め安定化させたのが、ドイツ製&中国・三一重工から寄贈の屈折コンクリートポンプ車。
 屋外のガレキ撤去には自衛隊の戦車も導入されましたが、屋内の人が立ち入れない所へのカメラ侵入は、米国製ロボットが最初には導入されました。あれ、ロボットは日本が先進国だったのでは、日本製はないのと驚きました。
 

【底流 ニュースの裏側】原発事故に挑む企業・研究機関の技術力 (5/8 産経)

 
■ロボット、重機…英知集う
 東日本大震災から2カ月近くがたつ今もなお深刻な状況が続く東京電力福島第1原子力発電所。その復旧作業には、全国各地の企業や研究機関が持つ製品や技術が集結している。放射線量を計測するロボットやがれきを撤去する遠隔操作の無人重機など最先端技術に加え、全国的には知られていない地方企業も、「少しでも役に立てれば」と製品を提供し、放射性物質(放射能)の漏出抑止に効果を発揮している。

 ◆「チームニッポン
 「がれきを乗り越えて進む走破性能は米国製よりも優れている。最先端のロボット技術を生かしたい」
 米アイロボット社製に続き投入された国産ロボット「クインス」。開発に携わった千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長はこう意気込む。
 平成21年のロボカップレスキュー大会で運動性能などの2部門で優勝するなど性能は折り紙付き。建屋内のフロアを移動しての放射線量の測定などの任務に当たっている。
 もともと災害救助用に開発されたが、環境がさらに厳しい原発内での作業を行えるように改造。無線で遠隔操作ができる距離を2キロに延ばしたほか、高レベルの放射線で回路が狂うのを防ぐため、鉛とアルミで防護板も取り付けた。
 「チームニッポン」。日本原子力研究開発機構が開発した線量を測定するロボットと操作車両を組み合わせたシステムの名前だ。最大100メートル離れた場所から、がれきの中などの放射性物質を検知し、線量の分布地図を作成する。
 高い放射線を出すがれきの撤去を行う油圧シャベルなどの重機や燃料貯蔵プールへの注水に使用される生コン圧送機には東芝、日立製作所などの遠隔操作システムが搭載されている。
 「長期戦に耐えるためにも無人化によってどれだけ作業員の累積被曝(ひばく)線量を抑えられるかがカギ」(東電関係者)となる。

 ◆汚染水流出止める
 「もともと放射性廃棄物の処理を目的に発足した会社。50年のルーツがある」と話すのは、新東北化学工業(仙台市)の松本浩社長だ。同社は放射性物質を吸着する「ゼオライト」を供給している。沸石類と呼ばれる鉱物で火山活動によって約700万年かけて生成され、多数の穴で微細な成分を除去する。
 福島第1原発では、2、3号機の取水口付近の海中に土嚢(どのう)に入れて投下され、放射性セシウムの吸着が確認された。松本社長は「一刻も早い収束に役立てられれば」と話す。
 海に流出した放射性物質の拡散を防ぐため、海底までカーテンのようにつるして設置された「シルトフェンス」を提供しているのが、前田工繊(福井県坂井市)だ。
 設置後にフェンス内側の海水の放射性ヨウ素の濃度が急上昇したことから、東電は「せき止め効果があった」とみている。前田工繊の担当者は「拡散を遅くすることができればうれしい」と、貢献に満足げだ。
 高濃度汚染水の海への流出を最終的に食い止めたのは、東曹産業(東京都千代田区)が提供した「水ガラス」と呼ばれる特殊薬剤だった。トンネルや水道工事現場で水が染み出してくる地盤が弱い場所に注入し、固めるために使う。
 「汚染水流出のニュースを見たときから、役に立てるのではと思っていた」と、同社の担当者。汚染水は2号機取水口近くの作業用立て坑「ピット」の下にある石を敷き詰めた砕石層を通り、壁面の亀裂から流出しており、コンクリートの投入など何度も失敗し窮地に陥っていた東電の“救世主”となった。

 ◆放射性物質にも効果
 原発敷地の地面をコーティングし、放射性物質が飛散するのを防ぐ合成樹脂「クリコート」は、栗田工業が提供した。約6万リットルの試験散布の結果、一定の効果が認められ、4月26日に本格的な散布が始まった。6月末までに約50万平方メートルに計100万リットルをまく。散布を担当するのは、遠隔操作で稼働するクローラーダンプ車と呼ばれる「かたつむり1号」だ。
 本来は工事現場で粉塵(ふんじん)が飛散するのを防ぐためのもので、放射性物質に効果があるのか未知数だったが、同社の担当者も、思わぬ用途発見に顔をほころばせる。
 東電が示した工程表では、6~9カ月で原発を安定した「冷温停止」状態にするとしているが、大量の汚染水処理や放射線量の高い建屋内での作業など未解決の難題は山積だ。事故収束には、まだまだ日本や世界中の英知の結集が必要だ。(森川潤)

 どっこい、日本の技術も負けてはいませんでした。
 米国製ロボットでは、放射線量の測定は線量計をロボットが持ち、それをカメラで写していたため湿度の高い2号機建屋ではカメラが曇って線量が読めませんでしたが、千葉工業大学が「クンンズ」を改良して提供しました。
 (最初から備えがある米国と、備えがなかった日本との差が、事故そのものについて大きくした決定的差ではあるのですが)

 汚染水流出が止まりませんでしたが、日本の資源「ゼオライト」を使用する土木建築技術が導入され、成功しました。
 放射性物質飛散防止の合成樹脂「クリコート」も、土木建築技術でした。

 ところが、まだ海外の技術に負っているものもあります。
 

がれき撤去ロボ投入 チェルノブイリでも活躍 数週間内に原子炉建屋へ (5/8 読売朝刊)

 
政府と東京電力による福島原子力発電所事故対策統合本部は、チェルノブイリ原発の廃炉作業に使われたスウェーデン製ロボットを、福島第一原発に投入する。原子炉建屋内でがれきの撤去などに利用する計画で、早ければ数週間以内に作業を行う。
 ブロック社の解体ロボット「ブロック」。遠隔操作で動き、有害なダイオキシン対策が必要なゴミ焼却炉など、劣悪な環境での解体作業が得意だ。同社によると、世界の原子力施設で200台以上の使用実績がある。
 ショベルカーのような形をしており、大きさの違う様々なタイプがある。解体や運搬などの作業に合わせて、腕にドリルやバケツなど様々な機器を取り付けられる。
 4月中旬に1台が日本に運ばれた。さらに、高い放射線量の中でも作業できるよう改良された3台が5月2日、日本に向けて空路で運び出された。

 解体作業に使われているロボットということですが、無人で遠隔操作で動き、チェルノブイリで実績があった。先例のチェルノブイリから、素直に学ぶべきですね。
 と、同時に、ロボット技術を世界に誇る慢心ではなく、実用に供されるロボットの開発に拍車をかけねばと反省が必要です。また、電力会社やコンビナート(タンクから油が流出したり火災を起こしたりした)など地震 + 津波対策が必要な会社は、チェルノブイリの先例や福島の経験から、事故が発生した場合の備え(=復旧作業の迅速化)として、これらのロボットや機器を導入すべきです。
 備えの需要があってこそ、ロボットなどの実用化の技術が進歩するということでしょう。

 # 冒頭の写真は、福島第一で「クリコート」を散布する「かたつむり 1号」です。



 桜は、大阪・造幣局の八重桜で「楊貴妃」です。

↓よろしかったら、お願いします。


写真素材 PIXTA


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民主党の正体  矛盾と欺瞞と疑惑に満ちた、日本人への恐怖の罠(OAK MOOK 305 撃論ムック)



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