![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/1c/d79787a8fa2bb489ddbb584af8012dd3.jpg)
米科学者連盟(FAS)という研究機関が、新疆ウイグル自治区東部にある哈密市近郊で中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)用のサイロ(地下発射施設)を110基も建設しているのを見つけたと発表した。
その1カ月前には、ジェームズ・マーティン不拡散研究センターが、東隣の甘粛省の砂漠にある玉門というところで建設中のサイロを120基発見していた。
米国防総省は、中国は200個ほどの核弾頭を実戦配備していると見ているが、ICBMは100発程度にすぎないと考えている。
問題は、なぜこれほど多くのサイロが必要になるのか。
中国には、ミサイルの正確なありかが諸外国に知られないようにしたい立派な理由がある。
多くのサイロが必要になる理由で、まず考えられるのは、ミサイルの「シェルゲーム」を行えるようにするという答えだとエコノミスト誌。
サイロ同士を地下通路で結んでミサイルを移動できるようにすれば、どのサイロを攻撃すべきか、米国は全く分からなくなる。
米国が1970年代に立ち上げた「MX」プログラムが、中国にそのような策略を思いつかせたのかもしれないと。
カーネギー国際平和基金のジェームズ・アクトン氏は、中国のサイロの配置からは同じような狙いがうかがえると言い、中国北部の内モンゴル自治区にある古いサイロは互いに数十キロずつ離れているが、甘粛省のそれは約3キロずつしか離れていないと指摘。
理論的には、そして長期的には、230基もの新しいサイロが計数百個の核弾頭を積んだ新型ミサイル230発の配備を支えられる。
サイロ建設プロジェクトの発見を受け、大きな疑問が2つ浮上しているとエコノミスト誌。
第1の疑問は、これによって中国の核政策の変化が促されるのか、というもの。
サイロに配備されたICBMは車載移動式のそれよりも短時間で発射できる。
中国が短時間で発射準備が整うミサイルを多数蓄え、ロシアの支援を受けながら開発し始めている先進的な早期警戒レーダーが完成すれば、すでに早期警戒用人工衛星が極軌道に乗っていることから、中国は「警報即発射(LOW)」の政策を採用するかもしれないと。
第2の疑問は、この状況は核軍備管理に影響を及ぼすのか、というもの。
ホワイトハウスが、中国の新しいサイロを急速な核軍拡の証拠だと見なせば、今後の核軍備管理条約は中国も加えた3カ国で結ばなければならないというトランプ前政権の見解を採用するかもしれない。
もし中国の計画の狙いが本当にミサイルをシャッフルすることだとするなら、ミサイルの配備状況について外部の人間が確信を得ることはかなり難しくなる。
その最も穏やかな解釈――シェルゲームに用いる、ということ――は、ある意味で、核軍備管理にとっては最も励みにならない解釈と言える。
中国はなぜこれほど多くのサイロが必要なのか。中国のみぞ知る話。
# 冒頭の画像は、南シナ海に入った英国海軍の空母「クイーンエリザベス」(右)。タンカーとオランダ軍のフリーゲート艦が付き添っている
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その1カ月前には、ジェームズ・マーティン不拡散研究センターが、東隣の甘粛省の砂漠にある玉門というところで建設中のサイロを120基発見していた。
米国防総省は、中国は200個ほどの核弾頭を実戦配備していると見ているが、ICBMは100発程度にすぎないと考えている。
問題は、なぜこれほど多くのサイロが必要になるのか。
中国が核ミサイル発射施設を猛スピードで建設中 米ソ冷戦以来の大規模建設、ICBMが入ったサイロはどれ? | JBpress (ジェイビープレス) 英エコノミスト誌 2021年7月31日号
中国の目的は不明で、米国は不安を募らせている。
とある蒸し暑い日。中国北部の都市・天津で、米国政府と中国政府の話し合いが行われた。今年1月のジョー・バイデン氏の大統領宣誓就任以降に中国で行われた協議としては、最も上位の政府高官によるものだ。
だが、ウェンディ・シャーマン米国務副長官と中国外務省の次官による7月26日の対面は、打ち解けた雰囲気を作るに至らなかった。
むしろ、世界で最も重要な超大国関係を取り巻く雰囲気をさらに重苦しくしただけだった。
米国政府の広報担当者によれば、シャーマン氏は中国と「厳しい競争」になることを明言したうえで、新疆ウイグル自治区で「進行中のジェノサイド(集団虐殺)」など不愉快な話題をいくつか持ち出した。
また気候変動、麻薬、アフガニスタンなどの問題に取り組む際の協力を提案した。
しかし、そのオリーブの枝を中国の謝鋒外務次官はポキリと折った。
次官は、米中関係が「膠着状態」にあると指摘し、米国の狙いは「中国を倒す」ことにあると激しく非難したのだ。
その上司に当たる王毅外相も、関係を改善するのか「衝突と対決」に向かうのか、どちらかを選ぶよう米国に求めた。
米社の衛星写真で数百基のサイロ確認
ありがたいことに、ともに核兵器を保有する米国と中国は、冷戦時代のソビエト連邦と米国ほどには軍事衝突に近づいていないように見える。
だが、天津で外交官同士の論戦が行われているちょうどその頃、米科学者連盟(FAS)という研究機関が、新疆ウイグル自治区東部にある哈密市近郊で中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)用のサイロ(地下発射施設)を110基も建設しているのを見つけたと発表した。
その1カ月前には、カリフォルニア州の非政府組織(NGO)であるジェームズ・マーティン不拡散研究センターが、東隣の甘粛省の砂漠にある玉門というところで建設中のサイロを120基発見していた。
どちらの発見も、米企業プラネットから入手した衛星写真を詳細に分析した成果だった。
核兵器専門家の間に衝撃が走った。
もう数十年もの間、中国は「最低限の抑止力」しか持たない方針に従っており、敵に反撃することはできても綿密に準備した核戦争を戦うことはできない比較的小規模な戦力を維持管理してきたからだ。
米国防総省は、中国は200個ほどの核弾頭を実戦配備していると見ている――これは英国やフランスとほぼ同じ数だ――が、ICBMは100発程度にすぎないと考えている(ちなみに、米国とロシアは合わせて1万2000個近い核弾頭を所有している)。
FASは、冷戦期の米国やソ連によるサイロ建設以来の「大規模な」建設であることが衛星写真からは示唆されると話している。米国の核兵器を管理している戦略軍は7月27日、ツイッターで反応を示した。
「我々はこれまでずっと、世界が直面する脅威の増大とそれを取り巻く秘密のベールについて語ってきたが、それが何であるかを一般市民がここ2カ月の間に2度も目にしたことになる」
また米国務省は、建設中のサイロの発見は「深刻な懸念材料」であり、中国が長年の核戦略から「逸脱している」ことを示していると述べた。
意図はシェルゲームか
専門家たちはこれらのサイロを、米国本土の大半が射程に入る中国の最新型ICBM「東風(DF)41」のために設計されたものだと見ている(地図参照)。
問題は、なぜこれほど多くのサイロが必要になるのか、だ。
まず考えられるのは、ミサイルの「シェルゲーム」を行えるようにするという答えだ。
シェルゲームとは、平らなテーブルにコップ3個を逆さに置き、そのいずれかに玉を1つ入れてからすべてのコップをすばやく動かし、どれに玉が入っているのか分からないようにする昔からのトリックのことだ。
中国には、ミサイルの正確なありかが諸外国に知られないようにしたい立派な理由がある。
同国は長年、危機の際には、米国の巨大な核戦力によって――あるいは、非常に正確に相手を攻撃できる新世代の通常弾頭ミサイルによってでさえも――中国の貧弱な地上軍が吹き飛ばされてしまうと恐れてきた。
また、仮に中国のミサイルの一部がそのような攻撃を免れても、今度はアラスカやカリフォルニアの迎撃機を含め、急速な発展を遂げている米国のミサイル防衛システムによって飛行中に無効化されてしまうかもしれない。
言い換えれば、中国の核戦力は役に立たない代物になりかねないわけだ。
米国は、ミサイル防衛システムはロシアに向けられたものではないと強調しているが、中国への使用についてそのようなことは明言していない。
しかし、もしサイロ同士を地下通路で結んでミサイルを移動できるようにすれば、どのサイロを攻撃すべきか、米国は全く分からなくなる。
その意味では、米国が1970年代に立ち上げた「MX」プログラムが、中国にそのような策略を思いつかせたのかもしれない。
ユタ州とネバダ州に点在する5000基近いサイロの間で200発のミサイルを移動させようというものだった。
プログラムは、1981年に当時のロナルド・レーガン大統領によって棚上げされた。
レーガンはこの計画を、ごく単純な仕事しかしないのに仕組みだけはやたらに複雑な機械を面白おかしく描いた米国の漫画家にあやかって「ルーブ・ゴールドバーグ・スキーム」と呼んで茶化していた。
米国のシンクタンク、カーネギー国際平和基金のジェームズ・アクトン氏は、中国のサイロの配置からは同じような狙いがうかがえると言い、中国北部の内モンゴル自治区にある古いサイロは互いに数十キロずつ離れているが、甘粛省のそれは約3キロずつしか離れていないと指摘する。
また、ほとんどの東風(DF)41は恐らく複数の弾頭を搭載するだろうから、新しいサイロすべてに核弾頭付きミサイルを配備できるほどの核分裂物質は入手できないだろう、ほかの核兵器でも使うことを考えればなおさらだ、ともアクトン氏は述べている。
中国は1980年代にプルトニウムの生産を止めたと考えられている。生産を再開した証拠はほとんどないが、海に面した福建省に建設中の新しい原子炉では、将来的に生産を行う可能性がある。
懸念強める米国
中国は単にシェルゲームを計画しているだけだということに誰もが納得しているわけではない。
理論的には、そして長期的には、230基もの新しいサイロが計数百個の核弾頭を積んだ新型ミサイル230発の配備を支えられる。1発のミサイルには弾頭を少なくとも2個積むことができるし、ひょっとしたらもっと多く積めるかもしれないからだ。
米国当局は以前から、中国は急速に核戦力を増強していると主張してきた。
中国の軍事力に関する直近の年次報告書(昨年9月発行)で、国防総省は、中国が備蓄する弾頭は今後10年間で「少なくとも2倍に増える」との見通しを示している。
今年4月には米戦略軍司令官のチャールズ・リチャード海軍大将が、恐らくサイロの件を知ったうえで、中国のプログラムは急速に進んでいるため入手した機密情報が1カ月経たないうちに古くなってしまうと語っていた。
サイロ建設プロジェクトの発見を受け、大きな疑問が2つ浮上している。
第1の疑問は、これによって中国の核政策の変化が促されるのか、というものだ。
米国とロシアはいくつかの兵器を臨戦態勢に置いており、その時期が来たとの知らせが入れば発射できるよう準備が整っている。
中国はそうしていない。だが、サイロに配備されたICBMは車載移動式のそれよりも短時間で発射できる。車載移動式ではミサイル本体を立てなければならないし、場合によっては燃料も充填しなければならない。
米国の当局者に言わせれば、中国が短時間で発射準備が整うミサイルを多数蓄え、ロシアの支援を受けながら開発し始めている先進的な早期警戒レーダーが完成すれば、すでに早期警戒用人工衛星が極軌道に乗っていることから、中国は「警報即発射(LOW)」の政策を採用するかもしれない。
つまり、核攻撃を受ける最初の兆候が見られた時点でミサイル発射の準備ができているようにする、ということだ。
核軍備管理への影響は?
第2の疑問は、この状況は核軍備管理に影響を及ぼすのか、というものだ。
米国とロシアの間に1つだけ残っている核軍縮条約、すなわち新戦略兵器削減条約(新START)は今年2月に更新されており、5年後に期限を迎える。
もしホワイトハウスが、中国の新しいサイロを急速な核軍拡の証拠だと見なせば、今後の核軍備管理条約は中国も加えた3カ国で結ばなければならないというトランプ前政権の見解を採用するかもしれない。
米国務省は今のところ、サイロの建設は「核のリスクを低減させる現実的な対策を追求することの重要性を高めている」と述べている。
だが、中国は自らの武器庫を査察させることには消極的だ。
天津での高官協議が険悪な雰囲気だったことも、このように論争を引き起こしそうなテーマについての交渉が実現しそうにないことを示唆している。ましてや、生産的な結論など望むべくもない。
皮肉なことに、これらの新たな構築物の最も穏やかな解釈――シェルゲームに用いる、ということ――は、ある意味で、核軍備管理にとっては最も励みにならない解釈だ。
米国とロシアは、お互いのサイロに査察官を派遣してチェックすることにより新STARTが守られていることを確認している。
もし中国の計画の狙いが本当にミサイルをシャッフルすることだとするなら、ミサイルの配備状況について外部の人間が確信を得ることはかなり難しくなる。
オスロ大学のジェームズ・キャメロン氏は次のように話している。
「従って、今回の一件の解釈で最も良いのは、中国は自分たちが軍備管理に関心のないことをある程度裏付けた、というものになる」
中国の目的は不明で、米国は不安を募らせている。
とある蒸し暑い日。中国北部の都市・天津で、米国政府と中国政府の話し合いが行われた。今年1月のジョー・バイデン氏の大統領宣誓就任以降に中国で行われた協議としては、最も上位の政府高官によるものだ。
だが、ウェンディ・シャーマン米国務副長官と中国外務省の次官による7月26日の対面は、打ち解けた雰囲気を作るに至らなかった。
むしろ、世界で最も重要な超大国関係を取り巻く雰囲気をさらに重苦しくしただけだった。
米国政府の広報担当者によれば、シャーマン氏は中国と「厳しい競争」になることを明言したうえで、新疆ウイグル自治区で「進行中のジェノサイド(集団虐殺)」など不愉快な話題をいくつか持ち出した。
また気候変動、麻薬、アフガニスタンなどの問題に取り組む際の協力を提案した。
しかし、そのオリーブの枝を中国の謝鋒外務次官はポキリと折った。
次官は、米中関係が「膠着状態」にあると指摘し、米国の狙いは「中国を倒す」ことにあると激しく非難したのだ。
その上司に当たる王毅外相も、関係を改善するのか「衝突と対決」に向かうのか、どちらかを選ぶよう米国に求めた。
米社の衛星写真で数百基のサイロ確認
ありがたいことに、ともに核兵器を保有する米国と中国は、冷戦時代のソビエト連邦と米国ほどには軍事衝突に近づいていないように見える。
だが、天津で外交官同士の論戦が行われているちょうどその頃、米科学者連盟(FAS)という研究機関が、新疆ウイグル自治区東部にある哈密市近郊で中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)用のサイロ(地下発射施設)を110基も建設しているのを見つけたと発表した。
その1カ月前には、カリフォルニア州の非政府組織(NGO)であるジェームズ・マーティン不拡散研究センターが、東隣の甘粛省の砂漠にある玉門というところで建設中のサイロを120基発見していた。
どちらの発見も、米企業プラネットから入手した衛星写真を詳細に分析した成果だった。
核兵器専門家の間に衝撃が走った。
もう数十年もの間、中国は「最低限の抑止力」しか持たない方針に従っており、敵に反撃することはできても綿密に準備した核戦争を戦うことはできない比較的小規模な戦力を維持管理してきたからだ。
米国防総省は、中国は200個ほどの核弾頭を実戦配備していると見ている――これは英国やフランスとほぼ同じ数だ――が、ICBMは100発程度にすぎないと考えている(ちなみに、米国とロシアは合わせて1万2000個近い核弾頭を所有している)。
FASは、冷戦期の米国やソ連によるサイロ建設以来の「大規模な」建設であることが衛星写真からは示唆されると話している。米国の核兵器を管理している戦略軍は7月27日、ツイッターで反応を示した。
「我々はこれまでずっと、世界が直面する脅威の増大とそれを取り巻く秘密のベールについて語ってきたが、それが何であるかを一般市民がここ2カ月の間に2度も目にしたことになる」
また米国務省は、建設中のサイロの発見は「深刻な懸念材料」であり、中国が長年の核戦略から「逸脱している」ことを示していると述べた。
意図はシェルゲームか
専門家たちはこれらのサイロを、米国本土の大半が射程に入る中国の最新型ICBM「東風(DF)41」のために設計されたものだと見ている(地図参照)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/eb/5572c4b4395ab4ffb4f90e38a85a4e48.jpg)
問題は、なぜこれほど多くのサイロが必要になるのか、だ。
まず考えられるのは、ミサイルの「シェルゲーム」を行えるようにするという答えだ。
シェルゲームとは、平らなテーブルにコップ3個を逆さに置き、そのいずれかに玉を1つ入れてからすべてのコップをすばやく動かし、どれに玉が入っているのか分からないようにする昔からのトリックのことだ。
中国には、ミサイルの正確なありかが諸外国に知られないようにしたい立派な理由がある。
同国は長年、危機の際には、米国の巨大な核戦力によって――あるいは、非常に正確に相手を攻撃できる新世代の通常弾頭ミサイルによってでさえも――中国の貧弱な地上軍が吹き飛ばされてしまうと恐れてきた。
また、仮に中国のミサイルの一部がそのような攻撃を免れても、今度はアラスカやカリフォルニアの迎撃機を含め、急速な発展を遂げている米国のミサイル防衛システムによって飛行中に無効化されてしまうかもしれない。
言い換えれば、中国の核戦力は役に立たない代物になりかねないわけだ。
米国は、ミサイル防衛システムはロシアに向けられたものではないと強調しているが、中国への使用についてそのようなことは明言していない。
しかし、もしサイロ同士を地下通路で結んでミサイルを移動できるようにすれば、どのサイロを攻撃すべきか、米国は全く分からなくなる。
その意味では、米国が1970年代に立ち上げた「MX」プログラムが、中国にそのような策略を思いつかせたのかもしれない。
ユタ州とネバダ州に点在する5000基近いサイロの間で200発のミサイルを移動させようというものだった。
プログラムは、1981年に当時のロナルド・レーガン大統領によって棚上げされた。
レーガンはこの計画を、ごく単純な仕事しかしないのに仕組みだけはやたらに複雑な機械を面白おかしく描いた米国の漫画家にあやかって「ルーブ・ゴールドバーグ・スキーム」と呼んで茶化していた。
米国のシンクタンク、カーネギー国際平和基金のジェームズ・アクトン氏は、中国のサイロの配置からは同じような狙いがうかがえると言い、中国北部の内モンゴル自治区にある古いサイロは互いに数十キロずつ離れているが、甘粛省のそれは約3キロずつしか離れていないと指摘する。
また、ほとんどの東風(DF)41は恐らく複数の弾頭を搭載するだろうから、新しいサイロすべてに核弾頭付きミサイルを配備できるほどの核分裂物質は入手できないだろう、ほかの核兵器でも使うことを考えればなおさらだ、ともアクトン氏は述べている。
中国は1980年代にプルトニウムの生産を止めたと考えられている。生産を再開した証拠はほとんどないが、海に面した福建省に建設中の新しい原子炉では、将来的に生産を行う可能性がある。
懸念強める米国
中国は単にシェルゲームを計画しているだけだということに誰もが納得しているわけではない。
理論的には、そして長期的には、230基もの新しいサイロが計数百個の核弾頭を積んだ新型ミサイル230発の配備を支えられる。1発のミサイルには弾頭を少なくとも2個積むことができるし、ひょっとしたらもっと多く積めるかもしれないからだ。
米国当局は以前から、中国は急速に核戦力を増強していると主張してきた。
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今年4月には米戦略軍司令官のチャールズ・リチャード海軍大将が、恐らくサイロの件を知ったうえで、中国のプログラムは急速に進んでいるため入手した機密情報が1カ月経たないうちに古くなってしまうと語っていた。
サイロ建設プロジェクトの発見を受け、大きな疑問が2つ浮上している。
第1の疑問は、これによって中国の核政策の変化が促されるのか、というものだ。
米国とロシアはいくつかの兵器を臨戦態勢に置いており、その時期が来たとの知らせが入れば発射できるよう準備が整っている。
中国はそうしていない。だが、サイロに配備されたICBMは車載移動式のそれよりも短時間で発射できる。車載移動式ではミサイル本体を立てなければならないし、場合によっては燃料も充填しなければならない。
米国の当局者に言わせれば、中国が短時間で発射準備が整うミサイルを多数蓄え、ロシアの支援を受けながら開発し始めている先進的な早期警戒レーダーが完成すれば、すでに早期警戒用人工衛星が極軌道に乗っていることから、中国は「警報即発射(LOW)」の政策を採用するかもしれない。
つまり、核攻撃を受ける最初の兆候が見られた時点でミサイル発射の準備ができているようにする、ということだ。
核軍備管理への影響は?
第2の疑問は、この状況は核軍備管理に影響を及ぼすのか、というものだ。
米国とロシアの間に1つだけ残っている核軍縮条約、すなわち新戦略兵器削減条約(新START)は今年2月に更新されており、5年後に期限を迎える。
もしホワイトハウスが、中国の新しいサイロを急速な核軍拡の証拠だと見なせば、今後の核軍備管理条約は中国も加えた3カ国で結ばなければならないというトランプ前政権の見解を採用するかもしれない。
米国務省は今のところ、サイロの建設は「核のリスクを低減させる現実的な対策を追求することの重要性を高めている」と述べている。
だが、中国は自らの武器庫を査察させることには消極的だ。
天津での高官協議が険悪な雰囲気だったことも、このように論争を引き起こしそうなテーマについての交渉が実現しそうにないことを示唆している。ましてや、生産的な結論など望むべくもない。
皮肉なことに、これらの新たな構築物の最も穏やかな解釈――シェルゲームに用いる、ということ――は、ある意味で、核軍備管理にとっては最も励みにならない解釈だ。
米国とロシアは、お互いのサイロに査察官を派遣してチェックすることにより新STARTが守られていることを確認している。
もし中国の計画の狙いが本当にミサイルをシャッフルすることだとするなら、ミサイルの配備状況について外部の人間が確信を得ることはかなり難しくなる。
オスロ大学のジェームズ・キャメロン氏は次のように話している。
「従って、今回の一件の解釈で最も良いのは、中国は自分たちが軍備管理に関心のないことをある程度裏付けた、というものになる」
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理論的には、そして長期的には、230基もの新しいサイロが計数百個の核弾頭を積んだ新型ミサイル230発の配備を支えられる。
サイロ建設プロジェクトの発見を受け、大きな疑問が2つ浮上しているとエコノミスト誌。
第1の疑問は、これによって中国の核政策の変化が促されるのか、というもの。
サイロに配備されたICBMは車載移動式のそれよりも短時間で発射できる。
中国が短時間で発射準備が整うミサイルを多数蓄え、ロシアの支援を受けながら開発し始めている先進的な早期警戒レーダーが完成すれば、すでに早期警戒用人工衛星が極軌道に乗っていることから、中国は「警報即発射(LOW)」の政策を採用するかもしれないと。
第2の疑問は、この状況は核軍備管理に影響を及ぼすのか、というもの。
ホワイトハウスが、中国の新しいサイロを急速な核軍拡の証拠だと見なせば、今後の核軍備管理条約は中国も加えた3カ国で結ばなければならないというトランプ前政権の見解を採用するかもしれない。
もし中国の計画の狙いが本当にミサイルをシャッフルすることだとするなら、ミサイルの配備状況について外部の人間が確信を得ることはかなり難しくなる。
その最も穏やかな解釈――シェルゲームに用いる、ということ――は、ある意味で、核軍備管理にとっては最も励みにならない解釈と言える。
中国はなぜこれほど多くのサイロが必要なのか。中国のみぞ知る話。
# 冒頭の画像は、南シナ海に入った英国海軍の空母「クイーンエリザベス」(右)。タンカーとオランダ軍のフリーゲート艦が付き添っている
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