2020東京オリンピック、パラリンピックは、前回の1964年の大会に比べると、メインスタジアムの設計やり直しに始まり、公式エンブレム盗作疑惑、会場設置場所範囲等々のゴタゴタを経て、開会式直前の運営責任者の辞任や罷免劇と、ボロボロの経緯でした。
新型コロナウイルス対策は、未知との戦いで、官僚諸氏は日夜奮闘されているのは解りますが、最近の酒類販売規制の、銀行や卸業者に丸投げや、医療崩壊が始まった在宅医療への無策の転換に至っては、机上の安易なそのばしのぎの思い付きにしか思えない愚策。
官僚の質の低下に嘆いていました。
明治大学の田中秀明教授が、ズバリ斬っていただいています。
新型コロナウイルス対策は、未知との戦いで、官僚諸氏は日夜奮闘されているのは解りますが、最近の酒類販売規制の、銀行や卸業者に丸投げや、医療崩壊が始まった在宅医療への無策の転換に至っては、机上の安易なそのばしのぎの思い付きにしか思えない愚策。
官僚の質の低下に嘆いていました。
明治大学の田中秀明教授が、ズバリ斬っていただいています。
専門性持つ官僚育成必要 (8/22 読売朝刊 語る 10 )
明治大教授 田中秀明氏
「官邸主導」の限界コロナで露呈
幹部任命プロセス不透明
霞が関
新型コロナウイルス禍は、霞が関が抱える様々な課題を浮き彫りにした。
日本は病床の総数は多いのに、コロナに対応できる病床が少ない。多額の公的資金が投入されているが、医療機関に対する国や自治体の関与が極めて弱いため、病院の再配置や連携、診療科の偏在などに対処できていない。改革に取り組むべき厚生労働省は、15の局を抱える巨大組織で、十分なガバナンスが利いていない。
第2次以降の安倍内閣の「首相官邸主導」の限界も露呈した。布マスクの配布や全国一斉の休校などを専門家や専門性を持った官僚による十分な科学的な分析、検討を経ずに打ち出し、社会に混乱をもたらした。
政府は2020年度、3回も補正予算を組み、巨額の予備費も計上した。国土強靱(きょうじん)化や大学ファンドなどコロナと直接関係ない予算が多い。費用対効果も不透明だ。
これらは一例にすぎず、政治・行政の根本的な問題が内在している。作家の城山三郎は小説「官僚たちの夏」で、高度経済成長の時代に天下国家を論じた官僚を描いた。しかし、右肩上がりの経済成長の時代は終わり、各省庁で不祥事が相次ぐと、国民の官僚への信頼は著しく低下し、「脱官僚」「政治主導」が叫ばれるようになった。
選挙制度改革や省庁再編などで政治主導を可能とする仕組みはできたが、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」などの政府資料は計画の羅列で、問題の分析や検証はおろそかなままだ。
省庁再編を検証すれば、厚労省を年金と雇用を扱う省と医療・介護、社会福祉などを担う省の二つに分割するなど、再々編が必要なのは明らかだ。
省庁の幹部人事を統括するため、14年に内閣人事局を設置したのは、官僚による省益の追求を防ぎ、幹部を政府全体で登用するという観点では正しいといえる。だが、任命プロセスは不透明だ。幹部候補者の名簿には約700人がポストに関係なく載せられていて、その中から政治家が好き嫌いで起用でき、「適材適所」という抽象的な説明で済まされる。これでは出世するために政治家に「慨度(たく)」してしまう。
霞が関では伝統的にゼネラリストを育成してきたが、短期間で異動を繰り返しては専門性は身につかない。昨今の官邸主導はその傾向に拍車をかけている。
長時間労働でワーク・ライフ・バランスが保てず、国会議員への根回しばかりでキャリア形成につながらない。こういった理由で、国家公務員を志望する学生が減っており、優秀な若手官僚が離職する例も多い。平成以降は、さながら「官僚たちの冬」と言えるかもしれない。
「正しい政治主導」のためには、問題の科学的な分析やこれまでの政策の検証が必要であり、それを担う官僚の専門性を高めなければならない。ポストごとに職務要件を明確にし、それに適した能力と専門性を有する者を登用する「ジョブ型」雇用に転換すべきだ。天下りの抑止にもつながる。
幹部の登用も同様で、ポストごとに3人程度の候補者をリストに載せ、その中から首相、官房長官、閣僚が喜ぶようにする必要がある。官僚たちを競わせるために、政府内での「公募」も増やすべきだ。特定の省庁への義賊意識を弱め、縦割りの是正につながる。
首相の権限が強いことが問題なのではなく、政府に対する管理機能が欠けている事が問題だ。
多くの先進国では、政府と独立した立場で財政を監視し評価する「独立財政機関」が設置され、コロナ対策の政策効果も分析している。日本も国会に設置すべきだろう。
日本の当局の課題は、少子高齢化を乗り越えるために、経済社会システムを早急に改革することだ。その為には政策過程を見直す必要がある。まずは霞が関が優秀な人材を集めて役割を果たせるよう、自己改革していかねばならない。 (中山潤、おわり)
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田中英明氏
1985年、東工大院修了後、大蔵省(現・財務省)入省。省庁再編などに携わり、一橋大経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て現職。専門は公共政策。著書に「官僚たちの冬」など。東京都出身。60歳。
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英政治家 人事介入できず
官僚の任用の仕方は、政治家の裁量で任免する「政治任用」と成績や能力に基づく「資格任用」に大別される。
人事院などによると、米国では、課長級までは資格任用だが、局長級以上など約4000人が大統領による政治任用だ。大統領が代われば、民間の企業や調査研究機関に転じる。フランスやドイツは、局長級以上などが政治任用だが、米国のような外部登用はまれだ。
英国は資格任用で、官僚は政治的中立と專門性に基づいて閣僚に助言する。首相や閣僚は、官僚を直接任命することはできない。政治任用の特別顧問をつけることはできる。
日本は、次官や局長ら幹部の人事を含め、制度上は資格任用だ。幹部人事については、内閣人事局が一元的に管理しており、首相や幹部職員らが協議して決める。「成績や能力に基づく評価が十分ではなく、事実上の政治任用が可能になっている」との指摘がある。
明治大教授 田中秀明氏
「官邸主導」の限界コロナで露呈
幹部任命プロセス不透明
霞が関
新型コロナウイルス禍は、霞が関が抱える様々な課題を浮き彫りにした。
日本は病床の総数は多いのに、コロナに対応できる病床が少ない。多額の公的資金が投入されているが、医療機関に対する国や自治体の関与が極めて弱いため、病院の再配置や連携、診療科の偏在などに対処できていない。改革に取り組むべき厚生労働省は、15の局を抱える巨大組織で、十分なガバナンスが利いていない。
第2次以降の安倍内閣の「首相官邸主導」の限界も露呈した。布マスクの配布や全国一斉の休校などを専門家や専門性を持った官僚による十分な科学的な分析、検討を経ずに打ち出し、社会に混乱をもたらした。
政府は2020年度、3回も補正予算を組み、巨額の予備費も計上した。国土強靱(きょうじん)化や大学ファンドなどコロナと直接関係ない予算が多い。費用対効果も不透明だ。
これらは一例にすぎず、政治・行政の根本的な問題が内在している。作家の城山三郎は小説「官僚たちの夏」で、高度経済成長の時代に天下国家を論じた官僚を描いた。しかし、右肩上がりの経済成長の時代は終わり、各省庁で不祥事が相次ぐと、国民の官僚への信頼は著しく低下し、「脱官僚」「政治主導」が叫ばれるようになった。
選挙制度改革や省庁再編などで政治主導を可能とする仕組みはできたが、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」などの政府資料は計画の羅列で、問題の分析や検証はおろそかなままだ。
省庁再編を検証すれば、厚労省を年金と雇用を扱う省と医療・介護、社会福祉などを担う省の二つに分割するなど、再々編が必要なのは明らかだ。
省庁の幹部人事を統括するため、14年に内閣人事局を設置したのは、官僚による省益の追求を防ぎ、幹部を政府全体で登用するという観点では正しいといえる。だが、任命プロセスは不透明だ。幹部候補者の名簿には約700人がポストに関係なく載せられていて、その中から政治家が好き嫌いで起用でき、「適材適所」という抽象的な説明で済まされる。これでは出世するために政治家に「慨度(たく)」してしまう。
霞が関では伝統的にゼネラリストを育成してきたが、短期間で異動を繰り返しては専門性は身につかない。昨今の官邸主導はその傾向に拍車をかけている。
長時間労働でワーク・ライフ・バランスが保てず、国会議員への根回しばかりでキャリア形成につながらない。こういった理由で、国家公務員を志望する学生が減っており、優秀な若手官僚が離職する例も多い。平成以降は、さながら「官僚たちの冬」と言えるかもしれない。
「正しい政治主導」のためには、問題の科学的な分析やこれまでの政策の検証が必要であり、それを担う官僚の専門性を高めなければならない。ポストごとに職務要件を明確にし、それに適した能力と専門性を有する者を登用する「ジョブ型」雇用に転換すべきだ。天下りの抑止にもつながる。
幹部の登用も同様で、ポストごとに3人程度の候補者をリストに載せ、その中から首相、官房長官、閣僚が喜ぶようにする必要がある。官僚たちを競わせるために、政府内での「公募」も増やすべきだ。特定の省庁への義賊意識を弱め、縦割りの是正につながる。
首相の権限が強いことが問題なのではなく、政府に対する管理機能が欠けている事が問題だ。
多くの先進国では、政府と独立した立場で財政を監視し評価する「独立財政機関」が設置され、コロナ対策の政策効果も分析している。日本も国会に設置すべきだろう。
日本の当局の課題は、少子高齢化を乗り越えるために、経済社会システムを早急に改革することだ。その為には政策過程を見直す必要がある。まずは霞が関が優秀な人材を集めて役割を果たせるよう、自己改革していかねばならない。 (中山潤、おわり)
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田中英明氏
1985年、東工大院修了後、大蔵省(現・財務省)入省。省庁再編などに携わり、一橋大経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て現職。専門は公共政策。著書に「官僚たちの冬」など。東京都出身。60歳。
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英政治家 人事介入できず
官僚の任用の仕方は、政治家の裁量で任免する「政治任用」と成績や能力に基づく「資格任用」に大別される。
人事院などによると、米国では、課長級までは資格任用だが、局長級以上など約4000人が大統領による政治任用だ。大統領が代われば、民間の企業や調査研究機関に転じる。フランスやドイツは、局長級以上などが政治任用だが、米国のような外部登用はまれだ。
英国は資格任用で、官僚は政治的中立と專門性に基づいて閣僚に助言する。首相や閣僚は、官僚を直接任命することはできない。政治任用の特別顧問をつけることはできる。
日本は、次官や局長ら幹部の人事を含め、制度上は資格任用だ。幹部人事については、内閣人事局が一元的に管理しており、首相や幹部職員らが協議して決める。「成績や能力に基づく評価が十分ではなく、事実上の政治任用が可能になっている」との指摘がある。
新型コロナウイルス禍は、霞が関が抱える様々な課題を浮き彫りにしたと田中教授。
日本の高度成長経済を、「日本株式会社」と揶揄されながらも支え実現したのは紛れもなく当時の官僚。池田隼人内閣の所得倍増、田中角栄内閣の列島改造など、世界が範とすべく衆目を浴びました。
しかし、右肩上がりの経済成長の時代は終わり、各省庁で不祥事が相次ぐと、国民の官僚への信頼は著しく低下し、「脱官僚」「政治主導」が叫ばれるようになったと田中教授。
官僚が、国民から選ばれた国会議員を下に観て、官僚に媚びる国会議員が続出する様な時代に。
民主党政権時の政府は、財務省の言いなりでしたね。今でも、財務省の言いなりの大物議員は少なくない。
「脱官僚」「政治主導」が叫ばれるようになり、選挙制度改革や省庁再編などで政治主導を可能とする仕組みはできたが、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」などの政府資料は計画の羅列で、問題の分析や検証はおろそかなままだと田中教授。
省庁再編を検証すれば、厚労省を年金と雇用を扱う省と医療・介護、社会福祉などを担う省の二つに分割するなど、再々編が必要なのは明らかだと。
コロナウイルス関連対策で、ボトルネックとしてとかく話題に上るのは、正式な公務員試験は免除されている技官。
PCR検査の早期拡大実施に向け、安倍首相(当時)が、保険適用して、町医で他の検査同様に検査会社に外注実施できる様にすると公言しましたが、技官が宣言を放さず、保健師の関門のボトルネックを外しませんでした。首相の決断をも阻止し、しかもとがめられず放任。
ありえないことですが、今もそのまま。(民間の検査会社が独自に立ち上げた検査場は容認。連休等の旅行期前には大盛況だが、検査結果データは闇の中)
14年の内閣人事局設置については、官僚による省益の追求を防ぎ、幹部を政府全体で登用するという観点では正しいと田中教授。
だが、任命プロセスが不透明で、官僚は出世するために政治家に「慨度」してしまうと。
霞が関では伝統的にゼネラリストを育成してきたが、短期間で異動を繰り返しては専門性は身につかない。昨今の官邸主導はその傾向に拍車をかけていると。
労働環境は長時間労働でワーク・ライフ・バランスが保てず、国会議員への根回しばかりでキャリア形成につながらない。こういった理由で、国家公務員を志望する学生が減っており、優秀な若手官僚が離職する例も多いと人材確保困窮もいまや社会常識化。
「正しい政治主導」のためには、問題の科学的な分析やこれまでの政策の検証が必要であり、それを担う官僚の専門性を高めなければならないと田中教授。
首相の権限が強いことが問題なのではなく、政府に対する管理機能が欠けている事が問題だと。
多くの先進国では、政府と独立した立場で財政を監視し評価する「独立財政機関」が設置されいる。日本も国会に設置すべきだろうと。
コロナ体躯や緊急事態宣言などの対策に対する成果の科学的評価がなされていないとは、世評姦しい。しかし実施されていないのが日本。何故??
対策を実施し、その結果をチェックし、次の対策を建てる(PDCA,OODA)のは古来の品質管理の基本。コロナ感染症の専門家と、関連閣僚には、何故か大きく欠落している科学思考の初歩。
日本の当局の課題は、少子高齢化を乗り越えるために、経済社会システムを早急に改革することだ。
まずは霞が関が優秀な人材を集めて役割を果たせるよう、自己改革していかねばならないと田中教授。
官僚の任用の仕方は、政治家の裁量で任免する「政治任用」と成績や能力に基づく「資格任用」に大別され、国の仕組みによって異なるのですね。
日本は、次官や局長ら幹部の人事を含め、制度上は資格任用。幹部人事については、内閣人事局が一元的に管理しており、首相や幹部職員らが協議して決める。「成績や能力に基づく評価が十分ではなく、事実上の政治任用が可能になっている」との指摘があるのだそうです。
# 冒頭の画像は、緊急事態宣言の期限延長と地域の追加を決め、記者会見で記者の質問に答える菅義偉首相。右は政府分科会の尾身茂会長
この花の名前は、ガウラ
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