遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

マレーシア~シンガポール高速鉄道 日中で受注競争

2016-04-30 23:58:58 | 日本を復活させる
 インドネシアでの高速鉄道建設での受注競争で、中国に逆転受注を喫した日本。今度は、マレーシアの首都クアラルンプールと隣国シンガポールを結ぶ高速鉄道計画の受注競争が始まった様です。
 内需の低迷から、「一帯一路」構想のもと、外需の取り込みを進める中国。少子高齢化で縮小する内需の対策として、外需の取り込みが必要な日本とは、アジア地域はもとより、世界の各地での需要獲得競争が展開される状況となっています。
 右肩上がりの経済成長は、永遠に続くかの思い込みがあったのか、生産能力拡大投資を続けた中国企業。その結果、過剰な生産能力を産み、内需の低迷とあいまって外需の取り込みが企業(おもに国有企業)の生死にかかわる事態に至り、安価な価格ででも受注が至上命令となっているのです。
 その中国との受注競争。日本も官民一体となって戦うのですが、勝負の行方が注目されます。
 

マレーシア~シンガポール高速鉄道に日本、売り込み全力 (4/30 産経)

■安全性強調、中国に対抗
 【クアラルンプール=吉村英輝】マレーシアの首都クアラルンプールと隣国シンガポールを結ぶ高速鉄道計画の受注に日本が全力を挙げている。インドネシアの高速鉄道の受注争いではライバルの中国に競り負けた日本。東南アジアでの連敗回避に向け、官民一体の総力戦が求められるが、
中国は現代版シルクロード構想「一帯一路」の一環として攻勢を強め、資金力を武器に受注争いを有利に進めている


 クアラルンプールで29日、日本政府などの主催で「新幹線シンポジウム」が開かれた。マレーシア政府の担当大臣など約600人を前に、
国土交通省の山本順三副大臣は「開業以来、乗客の死亡事故はゼロだ」と安全性を強調JR東日本幹部も好調な「駅ナカ」事業など、日本のノウハウをアピールした。
<中略>


 そんな中、
中国国有鉄道建設大手の中国中鉄は先月21日、高速鉄道の発着駅が建設されるクアラルンプール中心部の都市開発事業地に、アジア全域での鉄道インフラ事業の計画・立案を行う拠点を20億ドルを投じて立ち上げると発表。駅建設事業の受注に向け、早くも動きを具体化させた。
 
中国側は、マレーシアの国内政治も念頭に置いているようだ。この都市開発事業は、多額の債務やナジブ首相の資金流用疑惑が問題化される政府系投資開発会社の案件。ナジブ氏は他の問題でも中国から資金支援で難局を乗り切りつつある
とされ、「高速鉄道入札で中国に有利な判断を下す」(地元メディア)とささやかれている。

 ただ、
中国による東南アジアでの鉄道整備計画には、ほころびも目立つ。タイは
先月、中国との協力で合意した高速鉄道建設計画について、全長873キロを約250キロに短縮すると発表した。中国側の条件要求が過大で、見込んでいた有利な融資も断られたためとされる。

 
インドネシアの高速鉄道計画も、ほぼ全線でまだ建設許可が出ていない
。インドネシア空軍は27日、基地周辺の所有地で無許可に掘削作業をしていたとして中国人5人を逮捕したと発表した。作業が行われていたのは中国案で駅の建設予定地となっている場所だが、軍は土地の提供を拒絶しており、計画のずさんさが浮き彫りとなっている。

 アジア全域での鉄道インフラ事業の計画・立案を行う拠点を、クアラルンプールに20億ドルを投資して立ち上げると発表し、早くも札束攻勢を開始している中国。鉄道建設で総距離が長く主導権を握るマレーシアの国内政治への影響力を強めるため、ナジブ首相の取り込みにも注力しているのだそうです。自国内では、虎退治で腐敗政治家を追い落す中国ですが、海外のインフラ受注では、なんでもありでの受注戦術です。

 対する日本。価格競争でも、政府要人の取り込み競争でも劣勢であることは、インドネシアでの逆転負けで証明済みです。品質競争を前面に、安全の実績と、「駅ナカ」事業などのノウハウを強調しているとのことですが、こうしたセールスはプロダクトアウトの典型です。
 顧客のニーズを調べ、そのニーズを満たす。そして、ニーズの半歩先で必要となるシーズも発掘し対応を提案する。それが、日本企業が発展した基なのですが、最近の硬直化した日本(高度成長期に黙っていても成長する時代に育った世代が企業の経営層になった)では、その伝統がすたれて、手前勝手なセールスポイントのお仕着せとなっていないか、インドネシアでの失敗を活かすことが必要です。
 鉄道建設だけでなく、総合的な投資計画を構築し"素早く"実行に移す中国。政治家を取り込むための国内の政局をしっかり把握し、対応戦術を構築・推進する中国。日本が劣っているところです。

 幸いながら、日本への信頼の国際世論はすたれていません。また、一強が急速に力を拡大すると、周辺で反発が生じる政治・経済の原則(「逆説的倫理(パラドキシカル・ロジック)」)もあります。日本への、アジアなど国際世論の期待を米国で評価されているのだそうです。
 
【緯度経度】日本野党の「不都合な現実」…安倍外交に米・アジア共鳴「東南アジアでは絶大な人気」 古森義久 - 産経ニュース

 記事でも指摘されている、中国による東南アジアでの鉄道整備計画の、タイやインドネシアでの実績の現状が表面化してきています。
 中国のセールストークと、受注後のギャップがトラブルを生じ始めているのです。
 顧客のニーズをしっかり把握して対応することができれば、三菱自動車の日本の製造業への信頼を損ねる行為はありましたが、まだまだ日本への信頼と、期待(反一強への「逆説的倫理」の雄として)はありますので、けっして中国に負けない素地はあります。

 繰り返しますが、プロダクトアウトの上から目線を捨てて、顧客のニーズに対応した戦略・戦術の構築での受注戦争の勝利を期待します。

 
インドネシアの高速鉄道計画 中国の詐欺商法が露呈 - 遊爺雑記帳
 平和的手段によらず大国が大きくなると、反比例して周辺に敵国が増える - 遊爺雑記帳


 # 冒頭の画像は、クアラルンプールで、日本の政府関係者の説明を受けながら、新幹線の運転シミュレーターを体験するマレーシア政府幹部



  この花の名前は、オキザリス・エルシコロール


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