遊爺雑記帳

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バイデン政権 結局は日本軽視のライス氏重用

2020-12-22 01:33:55 | 米中新冷戦時代
 米大統領選の選挙人による投票が14日にアメリカ各地であり、民主党のジョー・バイデン氏が過半数の票を獲得した。これによって、当選が正式に確定しましたが、バイデン氏は閣僚人事の発表はその前から発表していて、10日には、新政権で貿易、農務、内政を取り仕切る主要メンバーを発表しました。
 副大統領候補、国務長官候補と重要ポジションが話題になる都度、オバマ政権後期に国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたスーザン・ライス氏の登用が俎上に上がっていました。
 オバマ政権後期が、親中路線に傾斜したのをリードしたが、パンダハガー代表のスーザン・ライス氏とは、衆知のことで、注目されていたのですが、最後に国内政策の要の補佐官に登用。
 それは、共和党が上院を多数派を維持すると見込まれ、上院の承認を必要としない補佐官での登用という、姑息な手段を用いたもの。

 【米大統領選2020】 バイデン氏、選挙人投票で正式に勝利 米民主主義の強さ称賛 - BBCニュース

 ライス元国連大使を内政トップに 身内重用、鮮明―バイデン氏・次期米政権:時事ドットコム

 
日本軽視のライス氏重用、「チームバイデン」に漂う危うさ 2020/12/21 前嶋和弘(上智大総合グローバル学部教授)

 来年1月のジョー・バイデン政権発足を踏まえ、ホワイトハウスの国内政策会議を統括する補佐官にスーザン・ライス氏が指名された。その背景を考えてみたい。

 
ライス氏は、バラク・オバマ氏が大統領だった時代に前半4年間は国連大使、後半4年間は国家安全保障担当の大統領補佐官を務めた「外交のプロ中のプロ」のはずだ。同政権で副大統領だったバイデン氏との個人的な信頼関係もあり、副大統領候補や国務長官候補に浮上していた。黒人であることも多様性を強調する次期バイデン政権にとっては重要なアピールポイントだった。

 そのライス氏を、なぜホワイトハウス国内政策担当補佐官に任命するのか。同氏の外交政策での経験を考えると、予想外の動きだ。

 これは、共和党側がライス氏の外交手腕に大きな疑念を持っているため、という一言に尽きる。2012年9月にリビア東部ベンガジで米領事館が襲撃され、スティーブンス米国大使を含む4人の米国人が殺害された事件についての対応があまりにもまずかったという批判である。


 米領事館襲撃事件の際、国連大使だったライス氏は各種メディアに登場し「自然発生的なデモが暴走したもの」という見解を繰り返した。しかし、実際には、リビアではイスラム過激派による襲撃計画があり、スティーブンス大使らが警備の増強を要請していたにもかかわらず、オバマ政権が放置していたことが判明したのだ。ちょうど、オバマ氏は再選を目指す選挙戦の最中だった。「選挙にマイナスにならないように対応が遅れ、真相を隠したのでは」と当時の国務長官であったヒラリー・クリントン氏だけでなく、次期国務長官候補の筆頭だったライス氏を、共和党は強く批判した。

 
12年の大統領選挙でオバマ氏は再選を果たすが、上院での承認時に共和党から激しい反発が出ることが予想され、ライス氏は国務長官ではなく、承認がいらない国家安全保障担当の大統領補佐官に収まった。代わりにオバマ第2期政権の国務長官になったのは、ジョン・ケリー氏だった。ケリー氏は上院議員、2004年の民主党大統領候補などの経験があり、今回のバイデン政権でも気候変動問題担当特使に指名されている。

 ライス氏については、そのときのデジャビュ(既視感)のような印象もある。バイデン政権の国務長官候補の筆頭に、ライス氏の名前は常に挙がっていた。おそらくバイデン氏は11月3日の議会選挙で民主党が伸び悩んだ状況を見て判断したのだろう。

 
来年1月5日に行われるジョージア州の2議席(現在2議席ともに共和党)の決選投票待ちだが、もともと共和党が強い地盤を持つ地域だ。最終的に2議席とも共和党が取り、上院全体では共和党52対民主党48(民主党側は統一会派の無党派を含む)で共和党が多数派を維持する可能性が高くなっている

 
上院で共和党が多数を占めた場合、ライス氏の承認が困難、もしくは非常に荒れることが予想される。結局、国務長官にはバイデン氏の側近で、オバマ前政権下で国務副長官を務めたアントニー・ブリンケン氏が起用された。

 省庁のトップではなく、アドバイザーや調整役にすぎない
補佐官の場合、上院での承認が不必要である。ライス氏の場合、国家安全保障担当の補佐官は既にオバマ第2期政権で経験しており、外交分野でのポジションがない中、ホワイトハウス国内政策担当補佐官に落ち着いた。ただ、この役職はこれまでは調整役であって、実務に徹する人ばかりだった。一部で報じられた「国内政策チームのトップ」という感じではないのだが、ライス氏の起用でおそらくポストの機能強化を目指すとみられる

 
それでも疑問なのが、共和党側から嫌われているライス氏にバイデン氏がなぜこだわるのか、という点だ。

 
今回のバイデン政権の閣僚や任命ポストの多くが「また昔の人を」といった選び方が特徴である。上述のケリー氏にしろ、退役軍人省長官のデニス・マクドノー氏や農務長官のトム・ビルサック氏にしろ、指名されたのはオバマ政権の要職だった人物ばかりだ。まるで「team of repeats(リピーターのチーム)」という表現がぴったりで、あとはオバマ氏が加われば「第3期オバマ政権」である。

 それだけ人事でバイデン氏との個人的な関係が重要なようだ。
ライス氏はそのお友達人事の象徴だ。お友達である分、たとえ内政であっても近くに置きたかったのだろう


 ところで、
日本の外交関係者の中にはライス氏を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌う人もいる。東アジアの安全保障に関わるこれまでの発言が、ことごとく的外れだったためだ。

 ライス氏の甘いと言わざるをえない東アジアの現状認識を象徴するのが、13年11月、ジョージタウン大でオバマ政権のアジア・太平洋政策について語った演説である。安全保障担当補佐官だったライス氏は「米中は新たな大国関係を機能させようとしている。競争は避けられないが、利害が一致する問題では協力を深めていく」と述べた上で、
「中国とは新たな大国関係を機能させようとしている」と中国の習近平国家主席が提唱した太平洋分割論を容認したような発言をした。習氏は同年6月、オバマ大統領との首脳会談で「太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」と、太平洋を米中で分割支配しようという日米同盟を完全否定する提案をしていた。

 さらに、ライス氏は講演後の質疑で
尖閣問題を問われると「米国は主権の問題には立ち入らない」と、尖閣が日本の施政権下にあるという、これまでの米政府の公式見解から後退した発言も行っている

 
米国にとって中国は競争者であるが敵対者ではない、というのがライス氏の持論のようで、その後も同じ話を繰り返してきた。さすがに最近では考えを改めたかもしれないが、「中国は近隣諸国を不法占領しているわけでもない」と言い出したこともある

 ライス氏が外交政策に直接関与しないことになり、日本にとっては「まずはよかった」と言えるのかもしれない。ただ、内政の中でも外交に関連するようなものも今後出てくるだろう。特に
分極化が激しい国内政治の状況を考えると、内政の観点からさまざまな外交政策が再定義されてしまうようなこともあり得よう。中国に対する気候変動対策などがその象徴だ。

 
国内政策では要職にあり、バイデン氏と近いライス氏の発言については、日本は今後も引き続き要注意だ

 バイデン氏との個人的な信頼関係もあり、副大統領候補や国務長官候補に浮上していたスーザン・ライス氏。黒人であることも多様性を強調する次期バイデン政権にとっては重要なアピールポイントだった。
 そのライス氏を、なぜホワイトハウス国内政策担当補佐官に任命するのか。同氏の外交政策での経験を考えると、予想外の動きだと、前嶋和弘上智大総合グローバル学部教授。

 これは、共和党側がライス氏の外交手腕に大きな疑念を持っているため、という一言に尽きると。
 共和党の評価が低いのは、2012年 9月にリビア東部ベンガジで米領事館が襲撃され、スティーブンス米国大使を含む 4人の米国人が殺害された事件についての対応があまりにもまずかったという批判によるものだそうです。
 リビアではイスラム過激派による襲撃計画があり、スティーブンス大使らが警備の増強を要請していたにもかかわらず、オバマ政権が放置していたことが判明。
 当時の国務長官であったヒラリー・クリントン氏だけでなく、次期国務長官候補の筆頭だったライス氏を、共和党は強く批判したのだそうです。
 オバマ政権が再選時、上院での承認時に共和党から激しい反発が出ることが予想され、ライス氏は国務長官ではなく、承認がいらない国家安全保障担当の大統領補佐官に登用されたのだと。

 来年1月5日に行われるジョージア州の2議席(現在2議席ともに共和党)の決選投票待ちですが、最終的に2議席とも共和党が取り、上院全体では共和党52対民主党48(民主党側は統一会派の無党派を含む)で共和党が多数派を維持する可能性が高いとの報道が多数ですね。
 そこで、オバマ政権時と同様に、上院の承認が不要な補佐官職でライス氏を登用となったと前嶋氏。前嶋氏だけでなく、多くの報道が同じ論調。
 副大統領、国務長官の有力候補に取沙汰されながら見送られた原因が、腑に落ちました。

 ホワイトハウス国内政策担当補佐官(国内政策会議委員長)は、これまでは調整役であって、実務に徹する人ばかりだった。一部で報じられた「国内政策チームのトップ」という感じではないのだが、ライス氏の起用でおそらくポストの機能強化を目指すとみられると前嶋教授。
 
 疑問なのが、共和党側から嫌われているライス氏にバイデン氏がなぜこだわるのか、という点だと。
 今回のバイデン政権の閣僚や任命ポストの多くが「また昔の人を」といった選び方が特徴。あとはオバマ氏が加われば「第3期オバマ政権」であると前嶋教授。
 バイデン氏は人事で個人的な関係が重要なようだ。ライス氏はそのお友達人事の象徴だ。お友達である分、たとえ内政であっても近くに置きたかったのだろうと。

 そもそも民主党内の大統領候補選では、サンダース氏が優勢でしたが、反トランプ票を獲得するために降りて、神輿に人畜無害のバイデン氏を担ぐ戦術がとられ、折からのコロナ感染拡大の風が吹いたこともあり、その戦術が成功してバイデン新大統領が誕生しました。(黒人の偽札使用犯を逮捕時に警官が絞殺したことでの人権問題も影響)
 バイデン新大統領誕生には、サンダース氏等の左派・社会主義者勢力の戦略・貢献が大きく、新政権への影響力が強いとされ、ペロシ下院議長は退陣に追い込まれていますね。
 早晩、認知症の懸念があるバイデン氏は、健康理由等で降ろされて、ハリス副大統領に交代の声も姦しい。
 バイデン氏は、自己防衛でお友達政権に固執しているのかと、素人推測してしまいます。

 ライス氏が、オバマ政権後期のパンダハガー化をリードしたことは衆知のことで、中国の習近平国家主席が提唱した太平洋分割論を容認したような発言をしたことがあると前嶋教授。
 ハリス太平洋軍司令官が、南シナ海で人口島建設を開始し不法に領土・領海化し軍事要塞化を始めた時に、早期に対応するよう提言しましたが、オバマ政権(バイデン副大統領、ライス補佐官)は話し合いで解決するとし、習近平と会談しましたが、「太平洋2分割論」で押し切られ、今日の中国による南シナ海の不法軍事要塞化が完成したのでした。

 また、ヒラリー・クリントン国務長官が、前原外務大臣と会談時に公言し、トランプ政権でも継承されている、尖閣諸島を日米安保の対象とする(但し、実効支配が条件)件も、ライス氏は、米国は他国間の領土問題には関与しないとの原則を貫いていたことは諸兄がご承知の通りです。(日米同盟より中国を重視)

 ライス氏が外交政策に直接関与しないことになり、日本にとっては「まずはよかった」と言えるのかもしれない。ただ、内政の中でも外交に関連するようなものも今後出てくるだろう。特に分極化が激しい国内政治の状況を考えると、内政の観点からさまざまな外交政策が再定義されてしまうようなこともあり得ようと前嶋教授。
 米中の「新冷戦時代」に突入している現状では、議会は与野党が一致して、中国の覇権拡大に対処する姿勢ですが、チャイナゲートを抱えるバイデン氏と、パンダハガーのライス氏そろい踏みで、左派・社会主義者勢が主導権を握るといわれる党内抗争も抱える新政権。
 前嶋教授が、日本は今後も引き続き要注意だと警告を発していただいていますが、その通りですね。



 # 冒頭の画像は、スーザン・ライス氏




   ツンベルギア・フォーゲリア


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写真素材のピクスタ


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