Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

大奥

2007-01-07 | 日本映画(あ行)
★★★☆ 2006年/日本 監督/林徹
<梅田ブルク7にて観賞>

「杉田かおるに一票!」



大奥の面白さは女同士の権力争いだ。何が何でもアイツの上に立ってやる!そのおぞましいまでの欲望が渦巻くドロドロの世界。やられたら、やり返す。いじめられれば、いじめられるほど、憎悪は深まりいつかアイツを蹴落とすことが生きがいになるのだ。それをこっちはせんべいでもかじりながら他人事のように楽しむ。

なのに、映画版はなんだ!月光院サイドはやられっぱなしじゃないかよぉ~。どんどん相手の思うツボで、ちったあ、反撃しろってんだい!丁々発止のやりあいがない大奥ってのは、何だか○○のないコーヒーみたいでつまらんぜぃ…。よわっちぃのをみんなでよってたかっていじめてるだけじゃん。ううむ。
月光院寝込む前に、天英院を撃て!

映画版はドラマと違ってラブストーリーです、なんて宣伝文句を聞いたときから大奥ファンとしては嫌な予感はしてたんだよなあ。天英院サイドの悪者どもは、ちょっとキャストがもったいなさ過ぎ。この人間関係なら、松下由樹と浅野ゆう子は別の人がするべきだ。もちろん、この2人がダメということではなく、その逆の意味ね。その方が月光院VS天英院の構図がもっと際だったはず。これじゃあ、あまりに多勢に無勢だわ。

その中でひとり気を吐いていたのが、杉田かおる。いやあ、ベタなキャスティングと思っていたが、そんなこちらの穿った見方を見透かすかのように、渋い演技で光ってましたなあ。今回最も大奥的な演技を披露していたんではないですかぁ。心が引き裂かれてたのはこの人だけでしたよ。楽屋に火付けをした時、新五郎のひょうたん柄の着物を見つめる表情は、この映画で一番良かったなあ。あとは、最後の最後に天英院を裏切るんじゃないかと期待してたんだけど、残念。

それから女の幸せ、女の幸せって連呼してるけど、結局男とセックスできる人は幸せで、できない人は不幸ってことじゃん。そりゃないよー。江島は処女喪失したいから命を懸けたんかいっ!とまあ、叫んではみたものの、この時代だからこそ好きな男とセックスすることがそれほどの価値があったのかねえ…、と妙に悲しい気分になったりして。でも、やっぱ、この映画が言いたいことってそれなの!?と頭を抱えて映画館を後にしたのでした…。