Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

シャーロットのおくりもの

2007-01-08 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2006年/アメリカ 監督/ゲイリー・ウィニック
<梅田ブルク7にて観賞>

「ダコタ・ファニングの『ひかえめ』が効いた」


長期休暇中は必ず息子と映画を見に行くことにしている。だが、今回の年末年始の子供向け映画は選択が難しかった。条件は2つ。小学生の息子が満足できることと、一緒に見る大人が楽しめること。カンタンにクリアできそうな条件だが、いざ一つだけ選ぶとなると今回は頭を悩ませた。そこで選んだのが「シャーロットのおくりもの」。女の子向けで男の子には物足りないかな、と思ったけど杞憂に終わった。いやあ、なかなか良かったです。

そもそも「動物がしゃべる」といういかにも絵本的な世界に感情移入できるのか、と思ったりもしたが、なんのなんの。CGの進化はすごいですなあ。口や体の動きがとってもリアルで驚きました。それぞれの動物ならではのキャラクター作りもしっかりできていて、お互いの関係性などが明確なゆえ、あの納屋がひとつの世界を築いている。声優で最も光っていたのは、やはりジュリア・ロバーツ。彼女の低くて落ち着いた声のトーンがシャーロットの人柄と懐の広さを表現していました。これは、本当にいいキャスティングだった。

そして、子役のダコタ・ファニング。本作は彼女が目立たなかったことが映画全体の質をグンと上げましたね。あくまでも主役は動物たち。常々演技力出し過ぎの彼女が必要以上に泣いたり叫んだりしたら、絶対興ざめしていたと思います。ブタのウィルバーに絵本を読んでやるシーンなど文字通りひかえめな優しさが光ってました。

そしてクモのシャーロットが、夜の納屋で巣を作るシーンのなんとまあきれいなこと。湿り気を帯びた透明な糸が夜の暗闇の中で一本ずつ張られていく。年末の大掃除でイヤというほど払ったクモの巣ですが、こうやってみるとまさに生きた芸術ですね。最後に卵を産んで、全ての体力を使い果たすシャーロット…。いやいや、子供を産んでからどうしても真っ先に「母」に感情移入してしまうもんで、この辺りから落涙。おっと、隣の息子もぐすぐす言っているではないか。「いやあ、泣けたわ~。こんな気持ち『ニモ』以来やな」だって。

約束は守る。人の役に立つことをする。そして、いつの世も受け継がれる命の連鎖。久々に真っ当なメッセージを気持ちよく受け止めることができた、そんな映画でした。エンタメ作品で大騒ぎするのもいいけど、たまにはこんな作品を子供と見るのもいいな、と思い直した次第です。