★★★★ 2009年/韓国・フランス 監督/ウニー・ルコント
<梅田ガーデンシネマにて観賞>
「凛とした瞳の少女」
1975年、よそ行きの格好をした9歳のジニ(キム・セロン)は、父(ソル・ギョング)と一緒にソウル郊外にあるカトリックの児童養護施設の門をくぐる。彼女がシスターに施設の案内をしてもらっているうちに、父親は黙って去って行ってしまう。そのことにショックを受けたジニは食事にも手をつけず、周囲に溶け込むことも頑として拒んでいた…。
お父さんはきっと迎えに来る。施設の大人からの好意を頑なにしりぞけ、子供たちとの交流を拒否するジニがいじらしい。ジニを演じているキム・セロンの瞳の強さがとても印象的。「ぜんぶフィデルのせい」など、ヨーロッパ映画に出てくるひたむきでけなげで、かつ意志の強い少女を思わせる。父に捨てられたという現実を受け入れられないジニ。父の温もりを思い出しては、施設を出て行く日を夢見る。しかし、そんな彼女も養父母にもらわれていく子供たちを目の当たりにして、少しずつ現実を受け入れ始めるのだった。
お父さんのところに帰ることが叶わないと気づいたジニはある行動に出るのだけど、それがとても切ない。その行動の後で、ジニの表情は変わる。父に会うという思いを諦め、現実を受け入れた瞬間。それは、ジニの新たな出発なんだけど、9歳という年齢にして、悟りを得なければならない彼女の置かれた状況が本当に痛々しい。
さて、脚の不自由な施設のお姉さんのエピソードがサイドストーリー的に入ってくるのだけど、身障者の方をキャスティングしたのかと思ったら、何と「グエムル」に出ていた少女が演じていたのでした。脚をひきずるその演技があまりに自然で驚いてしまった。本当に韓国の俳優はうまいし、役作りのために努力しているんだなあと感心する。
孤児を引き取りにくる夫婦のほとんどが欧米人。韓国を出て、アメリカやヨーロッパに渡った孤児は多く、監督もそうした境遇だったという。外国に行けば豊かな暮らしができる。そう信じてやまない孤児たちのそれぞれの未来は果たして本当に愛に満ちたものだったのか。孤児院を出る時に全員で見送りながら歌う「蛍の光」(韓国ではきっと違う題名なんだろうけど)の悲しげなメロディがそんな思いを掻き立てる。
最後に。作品とはあまり関係ないんだけど、フランス映画だからか、登場する子供たちの服装がやけにファッショナブルだ。いや、きれいな服を来ているわけでは決してないので、ファッショナブルって言葉は違うかも知れない。そう、ちゃんとコーディネートされている。それぞれの洋服は1975年という時代に合わせられて、選択しているはず。しかし、ペイズリー柄の紫のベルボトムに無地のタートルネックセーターというようにどの子供たちも上下のコーディネートが光る。色とりどりのマフラーなど小物のセンスもいい。冒頭ジニが買ってもらうパープルピンクのツイードのコートなんて、アメ村のお高めの古着屋さんで売ってそうなほど愛らしかった。
<梅田ガーデンシネマにて観賞>
「凛とした瞳の少女」
1975年、よそ行きの格好をした9歳のジニ(キム・セロン)は、父(ソル・ギョング)と一緒にソウル郊外にあるカトリックの児童養護施設の門をくぐる。彼女がシスターに施設の案内をしてもらっているうちに、父親は黙って去って行ってしまう。そのことにショックを受けたジニは食事にも手をつけず、周囲に溶け込むことも頑として拒んでいた…。
お父さんはきっと迎えに来る。施設の大人からの好意を頑なにしりぞけ、子供たちとの交流を拒否するジニがいじらしい。ジニを演じているキム・セロンの瞳の強さがとても印象的。「ぜんぶフィデルのせい」など、ヨーロッパ映画に出てくるひたむきでけなげで、かつ意志の強い少女を思わせる。父に捨てられたという現実を受け入れられないジニ。父の温もりを思い出しては、施設を出て行く日を夢見る。しかし、そんな彼女も養父母にもらわれていく子供たちを目の当たりにして、少しずつ現実を受け入れ始めるのだった。
お父さんのところに帰ることが叶わないと気づいたジニはある行動に出るのだけど、それがとても切ない。その行動の後で、ジニの表情は変わる。父に会うという思いを諦め、現実を受け入れた瞬間。それは、ジニの新たな出発なんだけど、9歳という年齢にして、悟りを得なければならない彼女の置かれた状況が本当に痛々しい。
さて、脚の不自由な施設のお姉さんのエピソードがサイドストーリー的に入ってくるのだけど、身障者の方をキャスティングしたのかと思ったら、何と「グエムル」に出ていた少女が演じていたのでした。脚をひきずるその演技があまりに自然で驚いてしまった。本当に韓国の俳優はうまいし、役作りのために努力しているんだなあと感心する。
孤児を引き取りにくる夫婦のほとんどが欧米人。韓国を出て、アメリカやヨーロッパに渡った孤児は多く、監督もそうした境遇だったという。外国に行けば豊かな暮らしができる。そう信じてやまない孤児たちのそれぞれの未来は果たして本当に愛に満ちたものだったのか。孤児院を出る時に全員で見送りながら歌う「蛍の光」(韓国ではきっと違う題名なんだろうけど)の悲しげなメロディがそんな思いを掻き立てる。
最後に。作品とはあまり関係ないんだけど、フランス映画だからか、登場する子供たちの服装がやけにファッショナブルだ。いや、きれいな服を来ているわけでは決してないので、ファッショナブルって言葉は違うかも知れない。そう、ちゃんとコーディネートされている。それぞれの洋服は1975年という時代に合わせられて、選択しているはず。しかし、ペイズリー柄の紫のベルボトムに無地のタートルネックセーターというようにどの子供たちも上下のコーディネートが光る。色とりどりのマフラーなど小物のセンスもいい。冒頭ジニが買ってもらうパープルピンクのツイードのコートなんて、アメ村のお高めの古着屋さんで売ってそうなほど愛らしかった。