Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

さんかく

2014-01-05 | 日本映画(さ行)
★★★★☆ 2010年/日本 監督/吉田恵輔
(DVDにて鑑賞)

「見事な方向転換」

彼女の妹にフラフラしちゃうどうしようもない30男の話がメインストリームだと思っていたら、
あれよあれよという間に違う流れに乗せられ、予想外の物語が展開し始めた。
しれっと話の方向性を変えていく、その饒舌な語り口がお見事。
まさか、こんな展開が待っていたとは。
とぼけた顔してやってくれたな!って感じで、デビュー作「机のなかみ」の鮮やかなどんでん返しを思わせる。
冒頭、佳代が親友から妖しげな商品の勧誘を受けることから物語は始まり、
これは今後の展開の種まきかと思わせておいて、ところがどっこい、そっちじゃないんだよねってか。
してやられたわ~~~。

ロリコン、ストーカー、マルチ商法と奇抜なアイテムが並ぶが
見かけは普通の暮らし、普通の男女のすれ違い。
この組み合わせ方が絶妙。

中3の女の子にフラフラしてしまう百瀬は確かに痛いのだが、
私は「仕方ないんでないの?」と思うわけ。
同じ部屋でブラジャーも付けずに短パンで足を投げ出すオンナの方が悪いよ。
正直この桃って子、ものすごくムカつくもんなあ。
その後の展開も含めて。確信犯だしさ。

とにかく登場人物はみんなイタイのだけど、
そのイタさの描写を面白可笑しく見せる映画ではなく、
あくまでも何となくそこいら辺にいそうな普通の人の物語のように、
スイスイと物語が流れていく、語りの巧さにに唸るのでありました。