Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

町田くんの世界

2019-06-25 | 日本映画(ま行)
★★★★☆ 2019年/日本 監督/石井裕也

(映画館)

すべての人にやさしい善き人町田くん。彼といるとすべての人が自分の悪意やエゴに気づかされ、自身の存在を恥じてしまう。彼は鏡のような存在。悪意に満ちたこの世界で、なぜ町田くんはそんなにいい人でいられるの?と周囲の人々は問う。人は誰しも好きこのんで誰かを貶めて生きる人生なんて送りたくないのだ。ところが恋をした町田くんは誰にでもやさしいことが好きな人を苦しめてしまうことを知る。どうする?町田!

若い高校生の恋バナ映画と思っていたのにさにあらず。悪意、そして無関心にあふれた社会でどう生きるればよいのかをと問うてくる秀作。主演ふたりのみずみずしい演技はもちろんなのだが、それを際立たせているのが周囲の演技派役者陣。同級生演じる大賀がいい。高畑光希がいい。しかし、やはり前田敦子が最高なんである(知ってた)。その他、松嶋菜々子や池松壮亮など、脇を固める役者陣が豪華で、一人ひとりがリアルに演じている。

個人的には石井裕也作品とはあまり相性が良くないと思っているのだけど、本作はいちばん好きな作品になった。ギスギスした世の中だからこそ、本作に監督が込めたメッセージの意義はとても大きいと感じた。