Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

RBG 最強の85才

2019-06-26 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2018年/アメリカ 監督/ベッツィ・ウェスト、ジュリー・コーエン

(映画館)

物議を醸した日本ポスターのキャッチ「妻として 母として 働く女性として」。続きを付けるとしたら、「妻として失格、母としても失格、働く女性としては過労死レベルの働き過ぎ」と言ったところ。
すべてにおいて「〜として」という枠組みを超えた女性の話だから、まずもってこのキャッチは全く意味をなさない。本当に映画を見た人が考えたんだろうかと首を傾げるばかりだよ。

さて、ドキュメンタリーとしては、彼女がこれまで携わった案件の一つひとつがどれも画期的な判決ばかりなのに、割と淡々と紹介されるのでちょっと退屈になってしまう。しかも、最高裁判事という日本では馴染みのない職業だけに彼女の偉大さがなかなか伝わりづらい。むしろ、80歳を過ぎた彼女がNotoriousという冠を付けてSNSで一気に有名人になる現象がとても面白くて、ここを切り口にもっと面白く見せられたんじゃないかと言う気もする。編集が単調なんだよね。

とにかく働き方が無茶苦茶で子どもが寝たら朝まで仕事。こんなの誰も真似できない。でも、世の中には驚くほど仕事が好きで有能な人というのがいる。それが女性であることも往々にしてある。彼女が仕事を追究することを夫はとやかく言わない。彼女にとって最高の理解者は夫。彼のおかげで愚直にとことん突き進み最高裁判事まで上り詰める。でも、85歳になっても最高裁判事を辞めることができない。いや、辞められない。女性やマイノリティのために長年尽力してきた彼女が後は頼んだと次世代にバトンを渡すことができないという現実。でも、彼女が撒いた種は確実に多くの若者達の中で育っているのは間違いない。