Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ヘレディタリー 継承

2020-06-09 | 外国映画(は行)
★★★★ 2018年/アメリカ 監督/アリ・アスター

もっと後味の悪い厭な映画かと予測したが、オカルトだとわかってからはすっかりトーンダウン。悪魔崇拝って自分には完全にファンタジーの領域。尼子の落ち武者の呪いが山崎努を通過して小川真由美に継承される方がよっぽど怖いよ。

祖母が亡くなる前にこの家族がどう構築されてきたのかさっぱり見えないのも辛い。夫はなんでこの女と結婚した?兄と妹はこれまでどういう距離感で生きてきた?家族間の焦燥や深層心理が描かれず、物語にのめり込めない。終盤アニーが夫に「愛してる」と言うが、そんな風に全然見えなかったぞ。

英国総督 最後の家

2020-06-09 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2017年/イギリス 監督/グリンダ・チャーダ

久しぶりの掘り出し物。アマプラのゆるいサムネに反し、インド・パキスタンの分離独立の歴史を地に足つけ描いた秀作。血で血を争う宗派の対立。統治国が勝手に決める境界線。異教徒同士の成就しない恋。壮大な歴史大河で総勢500名の従事者が働く荘厳な総督家のロケもすばらしい。

マウントバッテン卿の妻エドウィナの人物造形が印象的。政治に詳しく、平等主義で長期的な視野に立てと夫を諭す。ところが調べるとこの女性、なかなか奔放な生涯。こうした作り手による人物像の改訂は実像との違いを生むかもしれないが、そこも込みで楽しむのが歴史大河物の醍醐味ではないかと思う。