Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

リトル・ミス・サンシャイン

2007-01-12 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2006年/アメリカ 監督/ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
<京都シネマにて鑑賞>

「ミスコンなんてクソだ!」


ひょんなことから少女向けのミスコンに代表として選ばれたオリーブ。おんぼろワーゲンバスに乗って、アリゾナからカリフォルニアまでいざ出発!サンダンス映画祭などで絶賛を受けた負け組家族のロードムービーは、噂に違わぬすばらしい作品。老若男女世代を問わず多くの人にみてほしい!

私は「勝ち組」「負け組」という言葉が大嫌いだ。そう言うと、負け犬の遠吠えのように解釈する輩もいるらしいが、んなこと私は全く意に介さない。人生を勝った負けたで評価すること自体、非常にさもしい行為だし、人と自分の人生を比べることがそんなに大事か!?と心底疑問に思う。そんな私の考えに近いのは兄のドウェーン。彼は叫ぶ「この大会はクソだ」と。私だって同意見。「ミスコンなんてクソだ」と思ってる。でも、そのクソみたいな世界と隔絶して生きていくことはできない。どっかで折り合いをつけなきゃイカンのだ。それが生きる、ということだ。

家族一人ひとりの異彩なキャラクターがとても面白くて、物語をぐいぐい引っ張る。また、そのキャラを際だたせるための一人ひとりのエピソードがどれもこれも笑わせてくれる。「人生を勝つための9段階」を本にして一発儲けようという父親。日常生活でも「それは4段階目に入ったとこだ」とかいちいち言うのがおもしろい。本当にこれが父親だったらウンザリするよなあ。この他、ヘロインの常習者でいつも露骨にエッチな話をするじいさんや、ゲイの大学教授で自殺未遂したおじさんなど全ての面々が壁にぶつかってもがき、あがいている。

壁にぶつかり落ち込むのは、ひとりの人間としての苦難だけど、それを乗り越えるには「家族」という存在が大きな役割を果たしてくれる。テーマとしてはありきたりかも知れないけど、「家族みんなで手を合わせよう!」みたいな、しらじらしい展開では決してないのがいい。最も印象的なシーンは落ち込む兄に黙って寄り添うオリーブ。言葉なんかいらないのが家族だぜぃ。

ラスト、みんな揃ってダンスして大爆笑のはずなのに、なぜか頬を涙が…。えっ~なになに、なんでアタシ泣いてんのー。胸がきゅうっとなる泣き笑いって、なんかすごい久しぶり。愛すべきフーヴァー家を見て再確認。
やっぱ人生、はみだしてナンボだよね。

犬神家の一族

2007-01-11 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2006年/日本 監督/市川崑
<三番街シネマにて観賞>

「ミカバンドはミカが変わったのに」



今回のリメイクに関して以前の雑感で、サディスティック・ミカ・バンドの再結成のように喜ぼう、と書いた。「ただ、そこにいるだけでありがたい」、と。でも、よく考えればミカバンドは、ミカが「木村カエラ」になっていたんである。おんなじメンバー、おんなじメロディ。幸広まだドラム叩けるんだ!バンザイ!だけど、それにもまして新ボーカリスト木村カエラのインパクトはでかかった。再結成ミカバンドは新しいボーカリストを得て、オールドファンにもまぶしく映った。

で、何が言いたいかと言うと。

今回の「犬神家の一族」は、みなさんご指摘の通り30年前の作品とほぼ全く同じなのであった。実に細かいところまで同じである。ファンというのは勝手なもので、もう一度やってくれという割には、全く同じだと不満なのである。そう感じた一番大きな原因は石坂金田一がお年を召されたということだろう。市川+石坂版の大ファンゆえに心苦しいのだが、走る姿が痛々しい。また金田一のひょうきんさやマヌケな部分というのは、若い故に魅力的に見える、というのが今回つくづく感じた。

ミカバンドの核がミカであるように、今回のリメイクはいっそのこと新しい金田一を抜擢しても良かったんではないだろうか。カット割りの細かいところまでは見比べてみないと何とも言えないが、全く同じものを30年後に発表することにどんな意味があるのだろう。大好きな市川監督だけに、新しいチャレンジが欲しかった。そして、やっぱりすげえや、と唸らせて欲しかった。これも過剰なファンの期待なんだろうか…

さて、市川+石坂版の金田一シリーズでは、同じ俳優が違う役で何度も出てくる。これはファンならではの楽しみのひとつ。(大奥にもよく見られるこのパターンはここが原点なのかな)リメイクということで、大滝秀治のように(全然変わってないなあ、この人だけは)同じ役の人もいるけど、違う役で出てくる人もいる。私個人としては、盲目のお師匠さんの役の草笛光子がツボでした。草笛光子はほとんどのシリーズに出演していて、毎回全く違う役どころなのが面白い。30年前はこの役をつい先頃亡くなった岸田今日子が演じていたというのも感慨深いものがあります。

映像として気になったのは、明暗のコントラストがいつもより弱いんじゃないのかな、ということ。黒の使い方と言うのかな。それからカット割りも多かったんだけど、カットの切り方が遅い感じがしたなあ。やっぱり市川作品の持ち味は、次のシーンがかぶさるようにぱっぱと切り替わるカットだもんね。(このあたりフジテレビのドラマ版もパクってるよね)しつこいくらいに女優の顔に迫るカメラは健在。冨士純子はクライマックスにかかるに従い、どんどんすさまじい表情になっておりました。この撮影でシワが増えたんじゃないのかと思うほどで。

そして物語として気になったのは、野々宮珠世の出生の秘密がやけにあっさりと金田一の語りで流されていること。佐兵衛翁は野々宮大弐と男色関係にあり、その妻とも関係があった。この特異な関係性によって佐兵衛翁の人格が崩壊していく。ここを観客にしっかり理解させないと、松子を突き動かすだけの佐兵衛翁の怨念が伝わらない。またこういうおぞましい肉欲の世界こそ横溝ワールドの真骨頂とも呼ぶべきポイントであるはずなのに。

全く同じだからこそ、30年前と比べてしまう。もっともっと違う作品に仕上げてくれたら、これはこれ、として感想が書けたかも知れないのにとても残念。それだけ、一連の市川+石坂版の金田一シリーズの完成度が高いということでもあるのだろう。ただ、90歳を超えて、市川監督が金田一シリーズを撮ろうと決意されたのは、今シリーズに対して大いなる愛着を持っているからだろう。その市川監督の気持ちを確認することが、この映画鑑賞の一番大きな目的だったかも知れない。

シャコバサボテン

2007-01-10 | 四季の草花と樹木
冬になると、すっかり花が咲かなくて寂しい。
というわけでお友達にシャコバサボテンをいただいた。

適当に葉を刺していけばどんどん増えるみたい。
で、秋の頃は外に出していたのを家の中に入れたら一気に咲き始めました。

よーく見ると、蘭の花みたいでなかなかおもしろい造形だし
豪華な花です。

こんな感じでいっぺんに咲き始めました。

上から見るとアフロヘアみたいだな。

爆弾低気圧って…

2007-01-09 | 木の家の暮らし
6日未明からものすごい強風が吹き荒れました。確かに雪は積もったんですけど、次の日雨になり、すっかりグチャグチャな感じです。

でも、これは決して雪国のお天気ではありません。雪はまさに黙って「しんしんと」降るもんです。びゅーびゅーと風に吹かれる雪なんてちょっと変。しかも、次の日雨になるなんて、気温が高い証拠です。

だから、本来の「たくさん雪が降ったね」という状態には、今シーズンまだなっていない、と言うのが正しい。やっぱ、温暖化の影響だと思います。


こちら、年末にものすごく降った時の写真。
でも、すっかり溶けてしまいました。


シャーロットのおくりもの

2007-01-08 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2006年/アメリカ 監督/ゲイリー・ウィニック
<梅田ブルク7にて観賞>

「ダコタ・ファニングの『ひかえめ』が効いた」


長期休暇中は必ず息子と映画を見に行くことにしている。だが、今回の年末年始の子供向け映画は選択が難しかった。条件は2つ。小学生の息子が満足できることと、一緒に見る大人が楽しめること。カンタンにクリアできそうな条件だが、いざ一つだけ選ぶとなると今回は頭を悩ませた。そこで選んだのが「シャーロットのおくりもの」。女の子向けで男の子には物足りないかな、と思ったけど杞憂に終わった。いやあ、なかなか良かったです。

そもそも「動物がしゃべる」といういかにも絵本的な世界に感情移入できるのか、と思ったりもしたが、なんのなんの。CGの進化はすごいですなあ。口や体の動きがとってもリアルで驚きました。それぞれの動物ならではのキャラクター作りもしっかりできていて、お互いの関係性などが明確なゆえ、あの納屋がひとつの世界を築いている。声優で最も光っていたのは、やはりジュリア・ロバーツ。彼女の低くて落ち着いた声のトーンがシャーロットの人柄と懐の広さを表現していました。これは、本当にいいキャスティングだった。

そして、子役のダコタ・ファニング。本作は彼女が目立たなかったことが映画全体の質をグンと上げましたね。あくまでも主役は動物たち。常々演技力出し過ぎの彼女が必要以上に泣いたり叫んだりしたら、絶対興ざめしていたと思います。ブタのウィルバーに絵本を読んでやるシーンなど文字通りひかえめな優しさが光ってました。

そしてクモのシャーロットが、夜の納屋で巣を作るシーンのなんとまあきれいなこと。湿り気を帯びた透明な糸が夜の暗闇の中で一本ずつ張られていく。年末の大掃除でイヤというほど払ったクモの巣ですが、こうやってみるとまさに生きた芸術ですね。最後に卵を産んで、全ての体力を使い果たすシャーロット…。いやいや、子供を産んでからどうしても真っ先に「母」に感情移入してしまうもんで、この辺りから落涙。おっと、隣の息子もぐすぐす言っているではないか。「いやあ、泣けたわ~。こんな気持ち『ニモ』以来やな」だって。

約束は守る。人の役に立つことをする。そして、いつの世も受け継がれる命の連鎖。久々に真っ当なメッセージを気持ちよく受け止めることができた、そんな映画でした。エンタメ作品で大騒ぎするのもいいけど、たまにはこんな作品を子供と見るのもいいな、と思い直した次第です。

大奥

2007-01-07 | 日本映画(あ行)
★★★☆ 2006年/日本 監督/林徹
<梅田ブルク7にて観賞>

「杉田かおるに一票!」



大奥の面白さは女同士の権力争いだ。何が何でもアイツの上に立ってやる!そのおぞましいまでの欲望が渦巻くドロドロの世界。やられたら、やり返す。いじめられれば、いじめられるほど、憎悪は深まりいつかアイツを蹴落とすことが生きがいになるのだ。それをこっちはせんべいでもかじりながら他人事のように楽しむ。

なのに、映画版はなんだ!月光院サイドはやられっぱなしじゃないかよぉ~。どんどん相手の思うツボで、ちったあ、反撃しろってんだい!丁々発止のやりあいがない大奥ってのは、何だか○○のないコーヒーみたいでつまらんぜぃ…。よわっちぃのをみんなでよってたかっていじめてるだけじゃん。ううむ。
月光院寝込む前に、天英院を撃て!

映画版はドラマと違ってラブストーリーです、なんて宣伝文句を聞いたときから大奥ファンとしては嫌な予感はしてたんだよなあ。天英院サイドの悪者どもは、ちょっとキャストがもったいなさ過ぎ。この人間関係なら、松下由樹と浅野ゆう子は別の人がするべきだ。もちろん、この2人がダメということではなく、その逆の意味ね。その方が月光院VS天英院の構図がもっと際だったはず。これじゃあ、あまりに多勢に無勢だわ。

その中でひとり気を吐いていたのが、杉田かおる。いやあ、ベタなキャスティングと思っていたが、そんなこちらの穿った見方を見透かすかのように、渋い演技で光ってましたなあ。今回最も大奥的な演技を披露していたんではないですかぁ。心が引き裂かれてたのはこの人だけでしたよ。楽屋に火付けをした時、新五郎のひょうたん柄の着物を見つめる表情は、この映画で一番良かったなあ。あとは、最後の最後に天英院を裏切るんじゃないかと期待してたんだけど、残念。

それから女の幸せ、女の幸せって連呼してるけど、結局男とセックスできる人は幸せで、できない人は不幸ってことじゃん。そりゃないよー。江島は処女喪失したいから命を懸けたんかいっ!とまあ、叫んではみたものの、この時代だからこそ好きな男とセックスすることがそれほどの価値があったのかねえ…、と妙に悲しい気分になったりして。でも、やっぱ、この映画が言いたいことってそれなの!?と頭を抱えて映画館を後にしたのでした…。



悪魔が来たりて笛を吹く

2007-01-06 | TVドラマ(日本)
2007年/フジテレビ

「再確認。金田一はコミカルさがポイント」


哀しきかな、横溝ファンとしては見るまい、見るまいと思っていてもやっぱ見てしまった。
このところ、フジテレビ戦法には乗るまい!と固く思っているんだけどなあ…

ところが見てみると稲垣金田一は思ったよりもいいじゃん(笑)。これはね、またレビュー書きますが、リメイク「犬神家の一族」の石坂浩二がすこしお年を召されていて「キレ」がなかった、というのが大きいからだと思う。なので石坂金田一を観た後の稲垣金田一は若々しさがあって意外と好感もてたな。

やはり、横溝作品というのは「犯人役の演技力」が作品の最終的な印象の全てを担っている言ってもいい。誰もが知っている犯人。一同を前にしての独白。決まり切ったラストシーンの中でいかに自分が「哀しい犯人」なのかというのを視聴者に植え付けなければならない。

そう、横溝作品の犯人は「悲しくてナンボ」の存在価値なのだ。その存在が不遇で不幸で殺人犯にならなければ生きていけない苦悩を持っているからこそ、最後の独白が生きる。役者として横溝作品の犯人を依頼されるのは、かなり勇気がいることなんだろうとしみじみ思った。その点、成宮くんは、なかなか良くやっていたよ。悪魔と呼ばれる存在として生を受けた哀しみがよく出ておりました。

国仲涼子ちゃんがねえ…。あのくりくりおめめの演技がちょっと横溝ワールドとは合ってないように感じました。それからクリアな映像ね。やっぱフィルムで見たいなあ。今の時代フィルムで撮る方が予算とかかかってしまうものなんでしょうか。

お正月の2時間ドラマとしては合格点。もちろん、映画とは次元が違うので比べようがありませんが。

謹賀新年2007!

2007-01-01 | 木の家の暮らし
あけましておめでとうございます!

今年も身の回りのつまらないあれこれを書きつづりますので
みなさまよろしくお願いします。

さて、たくさん降った雪もすっかり溶けて
日中は晴れ間も出るいいお天気の元日です。

さて、我が家の正月に欠かせないものがこちら。


これ、なんだと思います~?

これはですね、するめの天ぷらなんです。
夫の実家(広島)でお正月に出されていたのですが
最近は我が家でも大晦日にせっせせっせと夫が揚げております。

衣に砂糖が入っているので甘いの。
そして、ぐ~たらと過ごしながらついつい手が伸びてしまう。
これで最後、これで最後と思いながらいつのまにか
いっぱい食べてしまうんですよね~。
あーお正月って本当に太ってしまいます~~