【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

悩んで読むか、読んで悩むか

2017-12-10 | 日記
★相談⇒夫亡き後、楽しく過ごす私は薄情?
主人が亡くなって7年。「50代の若さで無念だったろう」と当初は可哀想でしたが、今は「自分を大切にしよう」と思うように。ママ友に「きれいになったね」とほめられて調子にのったり、流行の洋服をつい買ったりしてしまいます。男性は奥様が亡くなると抜け殻のようになると聞きますが、私は自分が薄情なのではないかと時々心配になります。(神奈川県、歯科医院勤務、女性・52歳)

★いいえ、まったく薄情ではありません。全力で想像してみるに、もし私が結婚していて、連れ合いより先に死んだとして、七年経っても相手がひたすら泣き暮らしていたら、心配で墓石を砕きたくなると思います。でも、砕こうにも体はすでにないのです。(想像の中で)自身の無力に涙しそうになりました。
大切な人を悼む思いと、人生を楽しむこととは、矛盾しません。また、楽しむことと忘却とはイコールではありません。悲しみが完全に消え去ることはないけれど、時間をかけて少しずつまえを向き、自分の生を歩いていく。そういう生身の姿を見て、死者もあの世で安心してくれることでしょう。
ちなみに、妻に先立たれた男性(の一部)が抜け殻になるのは、「妻を愛していたがゆえ、というひとばかりではない」が私の持論です。家事ができず、世話を焼いてもらえなくなると途端にやつれてしまう、というひともなかにはいるのでは・・・
「(家事を)幼にして母に任せきり、結婚して妻に任せきり」とはずいぶん従順で自立心と危機管理能力に欠けた生きかただなと、私などは思ってしまいます。いまどきは惣菜類だって入手しやすいですし、家事のできる男性もたくさん存在しますから、今後は抜け殻になる人も減っていくでしょう。
人間を支え、新しい一歩を踏み出す力を与えてくれるのは、愛の記憶です。
相談者が「自分を大切にしよう」と思えたのは、だんなさまと人間同士として、対等で思いやりに満ちたいい関係を築かれていたからこそだと思います。どうぞ堂々とおしゃれなさってください。
松苗あけみ氏の漫画「カトレアな女達」をお読みになってみてはいかがでしょうか。積極的におしゃれをし、若い男性に胸ときめかせる、老三姉妹のコメディです。本書を読むと、自他の幸せを追求するために生はあるのだと感じます。
こういうお年寄りに私もなりたい!!
明るくおしゃれな老人を目指し、お互いに研鑽(けんさん)を積んでいきましょう!!
お答え
三浦しをん:76年生まれ 作家
『まほろ駅前多田便利軒』 こちらで直木賞。
ルポエッセー『ぐるぐる♡博物館』など。
      2017年12月10日 朝日新聞:朝刊 14ページ「読書」より。