【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む PART7

2022-08-06 | 折々の花~お庭編~
朝日新聞朝刊、毎週日曜日掲載の『朝日歌壇』2022年7月掲載分より
<馬場あき子選>
戦争のニュースを野球に切替えて気をとりなおし朝を炊(かし)げり(久慈市)三船武子
  ★戦争への思いと日常へ落差。「気をとりなおし」に微妙な実感がある。
戦車のことカッコイイとう子らもいてわが戦場は教室にある(東大和市)杜野泉
  ★子供らの戦車への憧れへの対応の苦慮。
「学校に行きたい医者になりたい」とシリア難民十一の春(中津市)瀬口 美子
  ★シリア難民の十一歳の言葉に悲哀なひびきがあり、戦中の日本の学徒出陣の悲痛な日々を思い起こした。
真っ当な策は通らず深くなるゼレンスキー氏の眉間の皺(しわ)は(仙台市)村岡美知子
  ★ゼレンスキーの表情の深刻化はテレビなどで見て憂えられているらしい。
ふるさとの土を踏めずに戦死せし父の分まで歩(ほ)に力込め(飯田市)草田 礼子
バルト三国の首都にユダヤ博物館ウクライナにも建つやロシア迫害館(船橋市)佐々木美彌子
頭上には一万超える核兵器人類こそが絶滅危惧種(筑紫野市)二宮 正博

 <佐佐木幸綱選>
マリウポリ神戸カブールどの街も瓦礫の街は同じ顔して(神戸市)松本淳一
四カ月経ちても街を駆け抜ける戦車の画面に慣らされてゆく(南丹市)中川文和
戦争を知らない人と知る人がウクライナのこと詠みたる歌会(土佐清水市)倉松こずえ
オカリナの優しく強き音(ね)に浸る支援コンサート開ける平和(東久留米市)塩崎 慶子
ウクライナかわいそうねと妻の言う黙りておりぬ訳はなけれど(横浜市)岡本 公純
戦場に兵士ふたりは結婚し明日はそれぞれ前線へ行く(諫早市)藤山増昭

 <高野公彦選>
得意気にドイツの孫はオレと言ふ波打つ髪は矢張りゲルマン(長野県)沓掛喜久男
九条を変える政治家選ぶのも戦に行くのも死ぬのも若者(浦安市)中井周防
ウクライナを追われし人らの辛酸を思う浪江町避難中の吾は(いわき市)守岡 和之
ウクライナの或(あ)る町の仮設住宅は列車で無期限と老人が言ふ(京都市)森谷 弘志
無くならぬものは戦争、無くなってしまうはひとりひとりの命(福島市)美原 凍子
「はやぶさ」で生命の神秘探る世にウクライナでの殺戮が止まず(山形市)小田 友弥
造る人売る人買う人使う人 人から人へと渡りゆく武器(観音寺市)篠原 俊則
ロシア語の「世界(ミール)」と「平和(ミール)」は同じ単語侵略戦争続ける矛盾(甲州市)山下 栄子
戦いを止(や)める日本語あまたあり和睦に和解・停戦・講和(豊川市)玉田さかゑ
  ★停戦関係の日本語はいっぱいあるから、そのどれかの言葉が大きく新聞に載る日を待っています、という気持ち
沖縄をふるさとに持つ妻の瞳(め)はいつも青空さがしてをりぬ(横浜市)岡本公純
  ★岡本さん、妻の心の中を深く理解している優しい夫。
階級も搾取も民族差別もないマルクスの夢壊す独裁(神戸市)橋本重梅
  
 <永田和宏選>
うら若きロシア兵は真直ぐに答う三度の命に市民を撃ちしと(沼津市)佐々木みつお
未亡人佇む日暮れのブチャの墓地輪のつく十字墓標の前に(横浜市)竹中庸之助
砂山のような小麦は悲します作りし人をただ待つ人を(中津市)瀬口 美子
うら若きロシア兵は真直ぐに答う三度の命に市民を撃ちしと(沼津市)佐々木みつお
未亡人佇む日暮れのブチャの墓地輪のつく十字墓標の前に(横浜市)竹中庸之助
ロシア軍の残した戦車の残骸が展示されつつ戦火は続く(寝屋川市)今西 富幸
名を呼ばれ頬撫でられるためせめて母国へ帰れ兵士の遺体(観音寺市)篠原俊則
  ★篠原さん、第三句の「せめて」に切なる思いが。
戦況を語るテレビの解説者ひとつの国を色分けしつつ(観音寺市)篠原俊則
うばたまの黒き瓦礫(がれき)に礼拝(らいはい)す生くるものみななすすべもなく(朝霞市)青垣進
  ★青垣さん、瓦礫になっても、あるいは瓦礫になったが故に、いっそう敬虔な祈りが生まれる。
   この一首が折句であることにも注意。
戦場に兵士ふたりは結婚し明日はそれぞれ前線へ行く(諫早市)藤山増昭
絞り出す声もうつろに風に消える「息子は英雄」ウクライナの母(横浜市)森秀人
  ★藤山さん、森さんは、喜びも悲しみも戦場にしかない民の実態を詠(うた)う。

【おまけ】
折々のことば 鷲田清一
「ガザの外ってどうなっているの?」 (ガザ地区の少女)
「国境なき医師団」の看護師・白川優子は、派遣されたパレスチナ自治区ガザにある公衆浴場で、10歳くらいの少女にこう訊(き)かれた。まわりの大人たちの顔が凍りついた。イスラエルに包囲された人口194万の「世界一大きな監獄」。その中で誰もが口にしたくて、できない問いだった。行きたい所に行き、誰とでも話せる自由の尊さを思う。『紛争地のポートレート』から。
2022年7月10日 朝日新聞朝刊一面

朝日歌壇の常連さん、山添さん親子(わんちゃん大ファンしてます。):7月掲載分より
家の鍵をはじめて使う子に手紙「冷蔵庫プリンがあるよ」(奈良市)山添聖子
3サイズ大きくなった水着買う三年ぶりのプールのために(奈良市)山添聖子
アメンボや葉っぱがいっぱいありました三年ぶりのプールのそうじ(奈良市)山添葵
ピピというセキセイインコが逃げ出した「ピピスキスキ」と鳴くらしいです(奈良市)山添葵
たのしみは課題が終わった授業中秘密で雲に名をつける時(奈良市)山添葵
ピピというセキセイインコを見つけたらすぐにマツヤマさんに知らせて(奈良市)山添聡介
コンパスではじめて円を書きました算数ノートにバームクーヘン(奈良市)山添聡介

【番外編】
Hさんとこのお庭からわんちゃんちにお引越し

ホテイアオイ(布袋葵、学名:Eichhornia crassipes)単子葉植物ミズアオイ科
 
南アメリカ原産     別名:ホテイソウ 、ウォーターヒヤシンス
水面に浮かんで生育する水草。
花が青く美しいので観賞用に栽培される。
ホテイアオイと元薬師寺こちらこちら