『ドニー・ダーコ』
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2001年に人気を博したカルトムービー。公開当時は熱狂的なファンもいたらしいですが、スイマセン、ぜーんぜん記憶にないです・・・なんでだろー。
これは一種の青春ドラマかなあ。ファンタジーかも。リバースムービーともいうらしいんですが、まあ確かに不思議な世界観ではある。
舞台は1988年のマサチューセッツ、主人公は17歳のドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)。精神的に不安定で夢遊癖があり、安定剤を常用しカウンセリングにも通っている。ある朝、ドニーの家に空から飛行機のエンジンが降ってくる。毎晩ドニーの前に現れるフランクという名の巨大なウサギ。毎日郵便受けの前で手紙を待っている近所の老婆。うさんくさい自己啓発カウンセラー。転校生の美少女。
朝、ドニーが山のドライブコースで目をさますところから映画は始まる。
部屋着姿で裸足、傍に自転車が転がっていて、少年が道の真ん中に横たわっている。やがて彼はむっくりと起きあがると何食わぬ顔で自転車に跨がり帰宅する。観客は主人公の精神状態に問題があることを最初から知ることになり、彼の目線で観せられる物語のどこまで“現実”でどこまで“幻想”なのかわからなくなり、不可解なドニーの世界にひきずりこまれていく。
ドニーは「サイコ野郎」ではあっても知的で感受性が強く率直で、感覚的にはごくまともな男の子だ。その彼の視点で世の中をみると、世の中の方が奇妙に狂っているようにみえる。保守的なキリスト教思想に縛られた学校、画一的な価値観を一方的に押しつける教師、どこかがヘンだと気づきながら見て見ぬふりをする大人たち。
まだ思春期、家族や友だちとは一見うまくいっているように見えてもうひとつ心が通じあっているような気がしない、なぜか孤独で淋しくてしかたがない。自分では何でもわかっていて何でもできるつもりではいるんだけどその実何にもできなくて、抑圧された鬱屈がみんな周りのせいに思えてくる。その鬱屈が自分の心のなかの世界を育てあげていく、そういう感覚はぐりにもとてもよくわかる。そういう10代独特の黒くてドロドロした心の中が非常にうまく描かれてました。
とくにおもしろかったのは時代を1988年に設定してるところ。ぐりは当時高2・・・つーことはちょうどドニーと同世代ですねー。
作中にも出てくるけどアメリカで大統領選があった年です(当選はパパブッシュ)。音楽やファッションで当時の風俗をうまく再現してるんだけど、これがまたすんごいいかがわしくて笑える。舞台になってる町は典型的なアメリカの郊外都市、住民はみんな平均的な中産階級で、どの家にも異様に鮮やかな緑の芝生を敷いた広い庭があって、空はいつも青々と晴れわたっている。子どもたちはみんな清潔な制服を着ていて、学校には落ちこぼれひとりいない。
牧歌的で一見平和そのもののようで、よくみるとどこかバランスを欠いた居心地の悪さを感じさせる世界。そのビミョーにズレたうすら寒い空気が見事に表現されている。主人公の狂った精神世界と背景とのギャップ、両者のコントラストがあざやかだ。
現実にこの翌年、ベルリンの壁が崩壊し冷戦時代は終局に向かっていく。日本では昭和天皇が崩御し、バブル経済が崩壊する。中国では天安門事件が起きている。高度資本主義社会の限界が訪れ、世界が政治的にも経済的にも大きな価値変換を要求される時代に入ろうとしていた、みんながなんとなく不安な時期だった。
そういうグローバルな“なんかヘン”感と、思春期のパーソナルな“なんかヘン”感がそれぞれデフォルメされて絶妙に組みあわさってて、おもしろかったです。今のアメリカ社会の不条理を88年というフィルターを通して皮肉っているようにもみえなくもないけど、ぐりはそーゆー深読みはあんましキョーミないんで・・・。
CGは今みるとイタイなー(爆)。お金・・・なかったんだね・・・。
主役のジェイクは撮影当時20歳くらい・・・のハズだけど全然高校生っぽい。同じハイティーン役でも2年前の『遠い空の向こうに』とはまるっきり真逆なキャラだけど、かなり健闘してます。シーンによってテンションが異常に高かったり低かったり、ごくふつうの男の子みたいだったり小さい子どもみたいだったり、ちょっとカッコよかったり完全にイッちゃってるっぽかったり、結構テクニックを要求されそうな難しい役をちゃんと魅力的に演じている。『ムーンライト・マイル』のブラッド・シルバーリング監督もいってたけど、目が能弁。目力スゴイです。
実のおねえさんのマギーが作中でもおねえさん役。ぐりは彼女の出演作みるの初めてなんだけど、美人ではないけどキュートでチャーミングな女優さんです。顔は姉弟ではあんまり似ていない。
他にメジャーどころではドリュー・バリモアがリベラルな国語教師役で出てました。なんで教師?と思ったらプロデュースもやってるんだよね。
この数日で『遠い空〜』『ドニー〜』『ムーンライト〜』『ジャーヘッド』と続けてジェイク作品を観たけど、ジャンルもキャラもバラバラなのにそれぞれしっかりこなしていて共演者にも恵まれてて、順調に成長してる俳優さんなんだなー、と思いましたです。今年は『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』『ジャーヘッド』『ブロークバック・マウンテン』と立て続けに出演作が日本でも公開。ブレイク中なのね〜ん。
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2001年に人気を博したカルトムービー。公開当時は熱狂的なファンもいたらしいですが、スイマセン、ぜーんぜん記憶にないです・・・なんでだろー。
これは一種の青春ドラマかなあ。ファンタジーかも。リバースムービーともいうらしいんですが、まあ確かに不思議な世界観ではある。
舞台は1988年のマサチューセッツ、主人公は17歳のドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)。精神的に不安定で夢遊癖があり、安定剤を常用しカウンセリングにも通っている。ある朝、ドニーの家に空から飛行機のエンジンが降ってくる。毎晩ドニーの前に現れるフランクという名の巨大なウサギ。毎日郵便受けの前で手紙を待っている近所の老婆。うさんくさい自己啓発カウンセラー。転校生の美少女。
朝、ドニーが山のドライブコースで目をさますところから映画は始まる。
部屋着姿で裸足、傍に自転車が転がっていて、少年が道の真ん中に横たわっている。やがて彼はむっくりと起きあがると何食わぬ顔で自転車に跨がり帰宅する。観客は主人公の精神状態に問題があることを最初から知ることになり、彼の目線で観せられる物語のどこまで“現実”でどこまで“幻想”なのかわからなくなり、不可解なドニーの世界にひきずりこまれていく。
ドニーは「サイコ野郎」ではあっても知的で感受性が強く率直で、感覚的にはごくまともな男の子だ。その彼の視点で世の中をみると、世の中の方が奇妙に狂っているようにみえる。保守的なキリスト教思想に縛られた学校、画一的な価値観を一方的に押しつける教師、どこかがヘンだと気づきながら見て見ぬふりをする大人たち。
まだ思春期、家族や友だちとは一見うまくいっているように見えてもうひとつ心が通じあっているような気がしない、なぜか孤独で淋しくてしかたがない。自分では何でもわかっていて何でもできるつもりではいるんだけどその実何にもできなくて、抑圧された鬱屈がみんな周りのせいに思えてくる。その鬱屈が自分の心のなかの世界を育てあげていく、そういう感覚はぐりにもとてもよくわかる。そういう10代独特の黒くてドロドロした心の中が非常にうまく描かれてました。
とくにおもしろかったのは時代を1988年に設定してるところ。ぐりは当時高2・・・つーことはちょうどドニーと同世代ですねー。
作中にも出てくるけどアメリカで大統領選があった年です(当選はパパブッシュ)。音楽やファッションで当時の風俗をうまく再現してるんだけど、これがまたすんごいいかがわしくて笑える。舞台になってる町は典型的なアメリカの郊外都市、住民はみんな平均的な中産階級で、どの家にも異様に鮮やかな緑の芝生を敷いた広い庭があって、空はいつも青々と晴れわたっている。子どもたちはみんな清潔な制服を着ていて、学校には落ちこぼれひとりいない。
牧歌的で一見平和そのもののようで、よくみるとどこかバランスを欠いた居心地の悪さを感じさせる世界。そのビミョーにズレたうすら寒い空気が見事に表現されている。主人公の狂った精神世界と背景とのギャップ、両者のコントラストがあざやかだ。
現実にこの翌年、ベルリンの壁が崩壊し冷戦時代は終局に向かっていく。日本では昭和天皇が崩御し、バブル経済が崩壊する。中国では天安門事件が起きている。高度資本主義社会の限界が訪れ、世界が政治的にも経済的にも大きな価値変換を要求される時代に入ろうとしていた、みんながなんとなく不安な時期だった。
そういうグローバルな“なんかヘン”感と、思春期のパーソナルな“なんかヘン”感がそれぞれデフォルメされて絶妙に組みあわさってて、おもしろかったです。今のアメリカ社会の不条理を88年というフィルターを通して皮肉っているようにもみえなくもないけど、ぐりはそーゆー深読みはあんましキョーミないんで・・・。
CGは今みるとイタイなー(爆)。お金・・・なかったんだね・・・。
主役のジェイクは撮影当時20歳くらい・・・のハズだけど全然高校生っぽい。同じハイティーン役でも2年前の『遠い空の向こうに』とはまるっきり真逆なキャラだけど、かなり健闘してます。シーンによってテンションが異常に高かったり低かったり、ごくふつうの男の子みたいだったり小さい子どもみたいだったり、ちょっとカッコよかったり完全にイッちゃってるっぽかったり、結構テクニックを要求されそうな難しい役をちゃんと魅力的に演じている。『ムーンライト・マイル』のブラッド・シルバーリング監督もいってたけど、目が能弁。目力スゴイです。
実のおねえさんのマギーが作中でもおねえさん役。ぐりは彼女の出演作みるの初めてなんだけど、美人ではないけどキュートでチャーミングな女優さんです。顔は姉弟ではあんまり似ていない。
他にメジャーどころではドリュー・バリモアがリベラルな国語教師役で出てました。なんで教師?と思ったらプロデュースもやってるんだよね。
この数日で『遠い空〜』『ドニー〜』『ムーンライト〜』『ジャーヘッド』と続けてジェイク作品を観たけど、ジャンルもキャラもバラバラなのにそれぞれしっかりこなしていて共演者にも恵まれてて、順調に成長してる俳優さんなんだなー、と思いましたです。今年は『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』『ジャーヘッド』『ブロークバック・マウンテン』と立て続けに出演作が日本でも公開。ブレイク中なのね〜ん。