『あんにょん・サヨナラ』
予想してたのとかなり違った内容で意外。
この映画のメインスタッフはほとんどが韓国人。日本で大半のロケを行っているので、サブチームやリサーチなどで参加した日本人もたくさんいるが、基本的には韓国側からのアプローチでつくられたようだ。逆に登場人物は日本人が最も多い。他に韓国人、中国人、台湾人などさまざまな国の人々が出てくる。ロケ地も日本各地以外に中国・韓国など広範囲。
はっきりと、相当に大規模な意欲作である。
メインナビゲーターは古川雅基氏という市民活動家。といっても本業は公務員、趣味は野鳥撮影という、いかにも穏やかそうな、ごくごくふつうのそのへんにいるおじさんである。一般市民だけでなく朝鮮人も大勢犠牲になったという沖縄、聖戦碑撤去運動でゆれる金沢、忠魂碑訴訟で市民が勝訴した箕面、靖国神社や千鳥ヶ淵、在韓軍人軍属裁判を通じて知りあった遺族・李煕子(イ・ヒジャ)さんの亡父の足跡を訪ねて韓国・中国各地を旅し、素朴な疑問、素直な感覚を関西弁で淡々と語る古川氏。
全体に感情的な描写はとても少ない。明らかに意図して「感情論」を排してつくられた映画のようにみえる。日本人も含め多くのアジア人のインタビューが組みこまれているが、彼らのどの意見も決して強調しないように、みた人間の感覚で判断できるように構成されている。だから映画そのものはとても静かだ。
それでも流れる涙は止まらなかった。戦争をすれば必ず人が死ぬ。失われた命は二度と戻ってこない。残された遺族や身近な者にとっては死は死でしかない。そのことはどんな大義名分も正当化はできない。してはいけないし、する権利も誰にもない。誰がなんといおうと、当り前のことだ。
日に日に反日感情が激化するアジア諸国。
だが李煕子さんたちの起こした在韓軍人軍属裁判を支えているのは日本人だ。日本人にも、歴史を率直にみつめなおし、近隣国との関係改善に努力している人がたくさんいる。全然えらくもなんともない、名もない市井の人たちだけど、日本にもこういう人々がいるというだけで喜び、安堵してくれる外国人もいる。
なにはともあれ、まずは対話が必要だと思う。「ご臨終」マスコミの“恐怖キャンペーン”はもうほっといて、実際に韓国や中国や他のアジアの人たちと日本人が、互いに相手の言い分をちゃんと聞くことからやり直すべきだ。互いに抱いている勝手なイメージもこの際さっぱりと棄てちゃいましょう。
そのためにも、この映画がもっともっとたくさんの人に観てもらえるといいなと思う。
各地の上映日程はコチラ。こちらで自主上映が依頼できるようです。
劇場パンフレットにほとんどのインタビュー・ナレーションが採録されてました。資料としてもなかなかいいパンフです。
在韓軍人軍属裁判を支援する会
予想してたのとかなり違った内容で意外。
この映画のメインスタッフはほとんどが韓国人。日本で大半のロケを行っているので、サブチームやリサーチなどで参加した日本人もたくさんいるが、基本的には韓国側からのアプローチでつくられたようだ。逆に登場人物は日本人が最も多い。他に韓国人、中国人、台湾人などさまざまな国の人々が出てくる。ロケ地も日本各地以外に中国・韓国など広範囲。
はっきりと、相当に大規模な意欲作である。
メインナビゲーターは古川雅基氏という市民活動家。といっても本業は公務員、趣味は野鳥撮影という、いかにも穏やかそうな、ごくごくふつうのそのへんにいるおじさんである。一般市民だけでなく朝鮮人も大勢犠牲になったという沖縄、聖戦碑撤去運動でゆれる金沢、忠魂碑訴訟で市民が勝訴した箕面、靖国神社や千鳥ヶ淵、在韓軍人軍属裁判を通じて知りあった遺族・李煕子(イ・ヒジャ)さんの亡父の足跡を訪ねて韓国・中国各地を旅し、素朴な疑問、素直な感覚を関西弁で淡々と語る古川氏。
全体に感情的な描写はとても少ない。明らかに意図して「感情論」を排してつくられた映画のようにみえる。日本人も含め多くのアジア人のインタビューが組みこまれているが、彼らのどの意見も決して強調しないように、みた人間の感覚で判断できるように構成されている。だから映画そのものはとても静かだ。
それでも流れる涙は止まらなかった。戦争をすれば必ず人が死ぬ。失われた命は二度と戻ってこない。残された遺族や身近な者にとっては死は死でしかない。そのことはどんな大義名分も正当化はできない。してはいけないし、する権利も誰にもない。誰がなんといおうと、当り前のことだ。
日に日に反日感情が激化するアジア諸国。
だが李煕子さんたちの起こした在韓軍人軍属裁判を支えているのは日本人だ。日本人にも、歴史を率直にみつめなおし、近隣国との関係改善に努力している人がたくさんいる。全然えらくもなんともない、名もない市井の人たちだけど、日本にもこういう人々がいるというだけで喜び、安堵してくれる外国人もいる。
なにはともあれ、まずは対話が必要だと思う。「ご臨終」マスコミの“恐怖キャンペーン”はもうほっといて、実際に韓国や中国や他のアジアの人たちと日本人が、互いに相手の言い分をちゃんと聞くことからやり直すべきだ。互いに抱いている勝手なイメージもこの際さっぱりと棄てちゃいましょう。
そのためにも、この映画がもっともっとたくさんの人に観てもらえるといいなと思う。
各地の上映日程はコチラ。こちらで自主上映が依頼できるようです。
劇場パンフレットにほとんどのインタビュー・ナレーションが採録されてました。資料としてもなかなかいいパンフです。
在韓軍人軍属裁判を支援する会