落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

あるぺてん師の一生

2010年04月28日 | movie
『フィリップ、きみを愛してる!』

詐欺の罪で収監されたスティーヴン(ジム・キャリー)は刑務所内で運命の恋人フィリップ(ユアン・マクレガー)にめぐりあってひと目惚れ。彼と幸せになるために服役しつつ詐欺をはたらいて自由の身になり、フィリップも釈放させる。
恋人のためにも詐欺はこれきりと決心、経歴を詐称して保険会社の財務担当役員になったスティーヴンだが・・・。
驚きの実話をもとにしたラブコメディー。

もーーーーサ・イ・コー!
ムーチャークーチャーおもしろいっ!こんなに笑ったのいつぶりやろ?涙出るまで大・爆・笑!さしていただきましたよー。マジおもろかったあー。
しかしこれどこまで実話なんやろなー?ちょっと信じられないくらいおもしろいからさ。
てかやり過ぎやろスティーヴン。そこまでやるエネルギーと頭脳をなぜに他に使わんかなー?だって最終的には生命の危険まで冒して脱獄すんだよー。大学も出てないのに弁護士詐称できる頭脳も一生刑務所の中と思うと、あまりにもったいなすぎです。
だってどう考えてもそこまでやらんでええやろ?ってくらい、詐欺のスケールがハンパない。冷静に考えたら、フィリップといっしょになれた時点でそれ以上詐欺をやる必要なんかどこにもなかったのに。

スティーヴンはアタマの良さと根性は並外れてるけど、いってみれば何回もつかまっちゃう詐欺師のある種の典型でもある。
映画では彼が詐欺を働くのは全部フィリップのためってことになってるけど、現実にはたぶんそうじゃない。スティーヴンはフィリップと知りあう前から詐欺師だったしね。
おそらく彼は詐欺中毒なんじゃないのかな?嘘をついて、人を騙して、自分の創造したストーリーがリアルとして受け入れられる、その快感に取り憑かれてる。そして自分のもてる能力の全てを、常にそこに傾注していないと気が済まない。むしろ金や地位はそんなに大切だとは思ってない。真面目に保身を考えることができない。だから必要もないのにどんどん嘘をついてしまう。やらなくてもいい詐欺をはたらいてしまう。やがて早晩取返しがつかなくなる。一種の病気だと思えば気の毒です。不幸な人だ。
でもおかしい。おもしろい。笑える。恋人のフィリップにしたら笑い事じゃないと思うけど、笑っちゃう。
もしかしたら、それは人間なら誰もが嘘をつく生き物だからなのかもしれない。嘘をつき続ける生き方しかできないスティーヴンはバカかもしれないけど、ある意味ピュアでもある。無目的にピュアだから、笑えるのかもしれない。

ジム・キャリーがおもろいのは先刻承知だけど、ユアン・マクレガーも素晴し過ぎて笑った。
これがあのオビ・ワンと同一人物とは到底思えないほどのなりきりっぷりでマジ天晴れっす。フィリップは「金髪で青い目のゲイ=いわゆるトゥインキー」とゆー萌えキャラ設定なんだけど(アラフォーでそりゃないぜとゆーツッコミはさておき)、もう思いっきり!どっっっっぷり!はまりこんでます!おとなしくて控え目な、女の子でいうと愛され系?みたいな感じのぶりぶり演技なんだけど、これがもうホントーに、シャレなんないくらいかわいい。すんごいかわいい。
それが肩をすぼめて、おてて握りあわせて、おめめうるうるしながら「愛してる」なんてゆーたら、もーそらアンタたいがいの人間はコロッと「よっしゃコイツのために死ぬ気でやらねば」とか、そーゆー気持ちになってしまうのも致し方ない。かもしれない。くらい、めんこい。アラフォーですけど。
かわいいといえば、スティーヴンの前カレ・ジミーを演じたロドリゴ・サントロもすごいかわいいと思ったんだけど(ガエル・ガルシア・ベルナルをスマートにさせた感じ)、メジャー作品では『チェ』くらいしか出てないっぽいですね。カストロの弟役?イマイチ思いだせん。あの映画全員ひげもじゃのボサボサ無造作ヘアで見分けつかんかったしなー(爆)。

残念?とゆーか微妙に無念だったのは、公開前のどっかの記事で、この映画が決して「悲恋」ではないことを知ってしまっていたこと。すいませんネタバレ気味でー。
ぐりの周りの観客は知らなかったらしく、クライマックスでしくしく泣いてる人もけっこういて、帰りも「○○だかと思ったのに〜」なんてゆってたりしたので。知らなかった方がもっとさらに爆笑できたのかな??わかんないけど。
けどまあ充分笑かしていただきました。あーおもろかった。