落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

倉庫の中の世界一周

2013年06月03日 | 復興支援レポート
2ヶ月ぶりに宮城県気仙沼市唐桑町に行ってきた。

今回のミッションは仮設住宅にお住まいの方の倉庫の整理。
津波で全壊した依頼者の自宅はその後解体されて残っていないのだが、浸水を免れた二階の家財の一部を回収して倉庫にしまってある。その中身を取り出して、処分するものととっておくものに分けて、簡単に汚れをとって整理し直してまたしまう。

このあたりの方のご多分にもれず、依頼者の方も漁業関係者。
高齢で今はべつのお仕事をされているが現役時代はかなり羽振りが良かったらしく、倉庫の中には外国製のお土産品なんかがたくさん無造作につっこんである。ふつうの人は海外旅行なんていけない時代から世界中を旅して働いてた人たちだから、故郷で待つ家族とどうにかして異国情緒を共有したかったのだろう、漁にいくたびにあれこれ買って帰って見せてたんだと思う。このへんの被災したお家の片付けではよく遭遇する光景です。定番は彫刻・剥製・洋酒。だいたいどの漁師さんちにもあります。そしてだいたいがビックリするくらいデカイ。多い。

こういうお手伝いをしててこまるのが、出てくるものにいちいちビックリするボランティアにやたらその品をくれたがる依頼者が多いこと。
いや、ありがたいのよ。ありがたいけどね。でももらってもこまるし、むしろ決してもらうべきではないのだ。
ぐりが震災復興ボランティアに通い始めて2年の間に身につけた不文律はいくつかあるけど、これもそのひとつ。依頼者から不用意にモノをもらってはいけない。
東北の田舎の方だからというせいもあって、たいていの方はボランティアに免疫がない。だから遠方から手伝いに来てくれる人にどうしてもお礼がしたいという気持ちで気軽になんでもプレゼントしたがるのだが、高齢の方も多く自らプレゼントしたことを忘れてしまう人もいる。あとになって失くした、盗られた、なんて誤解が生じる危険性も否定できないし、自分で「あげる」「もってって」と口にしておいて本心ではあげたくないと思っている可能性だってあるのだ。めぐりめぐって「よそから来たボランティアにいろいろ持っていかれた」なんて悪評に結びつくこともある。実際にそういう話もいやというほど耳にした。

だから、依頼者の方の波瀾万丈な冒険譚をリスペクトするつもりで、出てくる珍品を物欲しそうに褒めまくっていても、決してプレゼントを期待しているのではないのよ、ということを、もっと皆さんにわかってほしいなあと思う。まあ無理だと思いますけど。

今回の作業ではこのほかにもとんでもないものもあれこれ出てきたけど、残念ながらそれについてここで述べることはできない。
つくづく都会生活者と一次産業従事者の住む世界の落差を感じた週末でした。


南三陸町のお寺にて。