『いのちの戦場 ─アルジェリア1959─』
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原題は『L'ENNEMI INTIME』。
1954年に始まったアルジェリア独立戦争の前線でゲリラの指導者を探していた小隊の中尉が戦死、後任のテリアン(ブノワ・マジメル)が赴任。
ゲリラに襲われた村で生残りの少年を保護したテリアンだが、その後の戦闘で敗ったゲリラの戦死者の中から少年の親族を発見。後送される負傷者まで襲うゲリラをあぶり出すため、テリアンの小隊は近隣の村の住人を皆殺しにしてしまう。
1999年までフランスが公式に認めていなかった戦争を題材に、人道や倫理を破壊する暴力を描く。
19世紀からフランスの支配を受けていたアルジェリア。
第二次世界大戦と前後して帝国主義が排斥される国際感情の中で、フランス領だったカンボジア、タイ、ベトナム、ラオス、チュニジア、モロッコなどが次々と独立していき、アルジェリアでもフランス支配からの独立を求める動きが活発化、1954年に武力闘争が始まる。
映画で描かれる独立戦争というと、どうしても被支配国側から描かれるのが一般的だ。そこには自由と独立を求めるための闘争という、ゆるぎない大義名分があるからだ。この映画はその逆、フランス側からの視点で描かれている。
風土や地理を含めて土地柄をよく知るゲリラとの戦術の違い、倫理観の違いに苦戦するフランス軍。
主人公になっているテリアンは理想論者で違法な兵器の使用や拷問、非武装市民への攻撃命令に激しく抵抗する。敵の死にも味方の死にも動揺し、深く悲しむ。彼の感覚は戦場には似つかわしくないが、それ以外の平和時にはごくごく健全な、人として当り前の反応でしかない。それが決して受け入れられない苛酷な戦場で、テリアンも少しずつ変化を強いられていく。
ごく健全な当り前の感情が許されないのが戦争なのだ。そこに正義などどこにもない。信頼も忠誠も仁義も何の役にも立たないし、敵も味方もない。裏切りが横行し、同胞人同士が殺しあい、死者を冒涜する。血で血を洗うとはまさにこのことだが、実際にこれまで世界中で繰り返されてきた紛争では、どこでも同じことが起こっていた。いったん暴力が持ち込まれ、それが正当化されてしまったら、それをやめて人の道を取り戻すのは生易しいことではない。
どんなに身を律しても戦争に英雄などいないことを、ごく地味にストレートに描いた、とても好感が持てる映画でした。
フランスの戦争映画ってほとんど観たことなかったと思うけど、これまでに観た戦争映画の中でも、訴えるべきことに非常に共感できる作品でした。
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原題は『L'ENNEMI INTIME』。
1954年に始まったアルジェリア独立戦争の前線でゲリラの指導者を探していた小隊の中尉が戦死、後任のテリアン(ブノワ・マジメル)が赴任。
ゲリラに襲われた村で生残りの少年を保護したテリアンだが、その後の戦闘で敗ったゲリラの戦死者の中から少年の親族を発見。後送される負傷者まで襲うゲリラをあぶり出すため、テリアンの小隊は近隣の村の住人を皆殺しにしてしまう。
1999年までフランスが公式に認めていなかった戦争を題材に、人道や倫理を破壊する暴力を描く。
19世紀からフランスの支配を受けていたアルジェリア。
第二次世界大戦と前後して帝国主義が排斥される国際感情の中で、フランス領だったカンボジア、タイ、ベトナム、ラオス、チュニジア、モロッコなどが次々と独立していき、アルジェリアでもフランス支配からの独立を求める動きが活発化、1954年に武力闘争が始まる。
映画で描かれる独立戦争というと、どうしても被支配国側から描かれるのが一般的だ。そこには自由と独立を求めるための闘争という、ゆるぎない大義名分があるからだ。この映画はその逆、フランス側からの視点で描かれている。
風土や地理を含めて土地柄をよく知るゲリラとの戦術の違い、倫理観の違いに苦戦するフランス軍。
主人公になっているテリアンは理想論者で違法な兵器の使用や拷問、非武装市民への攻撃命令に激しく抵抗する。敵の死にも味方の死にも動揺し、深く悲しむ。彼の感覚は戦場には似つかわしくないが、それ以外の平和時にはごくごく健全な、人として当り前の反応でしかない。それが決して受け入れられない苛酷な戦場で、テリアンも少しずつ変化を強いられていく。
ごく健全な当り前の感情が許されないのが戦争なのだ。そこに正義などどこにもない。信頼も忠誠も仁義も何の役にも立たないし、敵も味方もない。裏切りが横行し、同胞人同士が殺しあい、死者を冒涜する。血で血を洗うとはまさにこのことだが、実際にこれまで世界中で繰り返されてきた紛争では、どこでも同じことが起こっていた。いったん暴力が持ち込まれ、それが正当化されてしまったら、それをやめて人の道を取り戻すのは生易しいことではない。
どんなに身を律しても戦争に英雄などいないことを、ごく地味にストレートに描いた、とても好感が持てる映画でした。
フランスの戦争映画ってほとんど観たことなかったと思うけど、これまでに観た戦争映画の中でも、訴えるべきことに非常に共感できる作品でした。