落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

海温め装置伝説の終末

2012年05月11日 | book
『原発のウソ』 小出裕章著

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原発研究者でありながら40年も前から原発の危険性を訴え続けてきた京大助教・小出裕章氏が昨年の福島原発の事故で何が起こったのか、そしてその背景にある危険きわまりない原発産業の実情を暴露した著書。
今頃読んじゃいました。図書館で予約したらなかなか順番まわってこなくてさあ。買えばよかったんだよね。
ぐりは中学でチェルノブイリ原発事故を経験して以来ずっと反原発派ですけど、原発についてはなんにも詳しくない。だから知らないこともいっぱいわかってすごくためになりましたが、これ逆に原発推進派の人は読んでどう思うんだろう。

タイトルにある“原発のウソ”をざっくり列挙しますと
*政府は福島原発事故を国際原子力事象評価尺度の「レベル5」としたが、実際には「レベル7」に相当している。
*原発事故が起きれば被害が甚大過ぎて電力会社は補償ができないので、国が国民の税金で補償する法律がある。

*原発は低コストでもなければエコでもない。核分裂時は確かに二酸化炭素は排出されないが、それ以外のプロセスでは常に大量の二酸化炭素を排出する。
*原子炉を冷却するために大量の海水を使用し、7℃暖まった水をそのまま海に流している。日本の年間降水量は6500億トンで、川から海に流れる水は4000億トン。日本の原発が海に捨てている7℃高い水は1000億トン。そりゃ海水温も上がるわな。地球も温暖化しますわね。
小出さんの恩師・水戸巌東大原子核研究所助教授は「原発は発電所ではなく『海温め装置』」といった(スミマセン、ぐりこの表現好きです。おもしろい・・・)。

*まだ1000年単位で採掘が見込まれる石炭・天然ガスなどの化石燃料よりも、ウランの方が埋蔵量が少ない。再生不能エネルギーが枯渇するから原発に頼るしかないというのは完全なフィクション。
*核燃料サイクル計画は破綻している。実用化の見込みもないまま予定は70年も延長され、既に1兆円もの巨費がドブに捨てられている。
*まだ試運転中の再処理施設に運び込まれたまま放置されている使用済み核燃料は3000トン。ぜんぜん処理できてないのに既に2兆2億円がつぎこまれている。これは当初の計画の3倍の額。
*リスクもコストも高過ぎる原発から先進国が続々と撤退している。廃絶されていない国でも(たとえばアメリカ)縮小傾向にある。

ぐり的には、原発が事故を起こしてなくても環境を破壊し続けるものであることや、まだ実用化もされない段階でめちゃくちゃお金を使っちゃってるってところが数値でわかってよかったです。
これたぶんインタビューや講演の内容をまとめてあるんだと思うんだけど、言葉も易しくてすごく読みやすかったです。量も大したことないです。超文系のぐりでもラクに読めました。
これから小出さんの他の本も読んでみよっかな。

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