落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

仮設の告白

2012年05月21日 | 復興支援レポート
5月18日(金)~20日(日)震災ボランティアレポートIndex

今まで宮城県で仮設住宅での支援活動には何度か参加してきましたけれども。

ひとくちに仮設住宅といってもそれぞれに事情はさまざまに異なる。団地全体が同じ地域出身でまとまっているところもあれば、さまざまな地域の方が混ざっている団地もある。
全体でとても仲のよい団地もあれば、複雑な事情を抱えた団地もあるし、各方面からたっぷりと支援を受け取っているところがあればそうでないところもある。
唯一共通していえることは、もともと広いお宅にお住まいだった方が多いので、せいぜい2DKではあまりにも狭すぎるというところだろうか。

今回は初めて福島県の仮設住宅にお邪魔したが、ここの仮設住宅は他のどことも大きく異なっていた。
まず建物がキレイ。何種類かタイプはわかれるものの、木造のログハウス風だったり、メタリックグレイの高級感のある壁材が使われていたり、ダークグレイのシックな色使いだったり、一見してちょっと小奇麗である。いわゆるプレハブっぽい、俗にわれわれがいう「バッテン仮設」は見かけなかった。
敷地も団地ごとにかなりたっぷりスペースに余裕を持って建てられているし、棟数も大規模な団地が多い。
1本の通り沿いに集中して仮設が建てられている地域もあり、半ば「仮設住宅村」のようになっているエリアもあった。

入居者の事情もまたぜんぜん違う。
地震や津波で家や仕事を失った人ももちろんいるが、中には地震でも津波でもなんともないのに自宅に住めなくなった人もいる。放射能である。
ボランティアは、瓦礫撤去や泥出し、家財運びや田畑の復旧作業などを主にお手伝いしているが、この手の被災者の方々にはお手伝いしてあげられることは、当面ない。残念ながら、手も足も出ない。
そういう事情を聞いたときには、「今じゃなくてもいいから、お引越しや模様替えで人手が必要だなと思ったときに声をかけて欲しい」と伝えていたが、そもそもそんな境遇の人に「お手伝いしたい」と能天気に声をかけていいものなのかどうかすらよくわからなかった。
どこにどの地域からどういう事情で避難された方が入居しているか知らないまま調査にいくこと自体が間違っていたのだろう。

津波や地震の被害に遭い、何もかも失ったうえに放射能のせいでそこに住めなくなったという人もいたし、大切な人を失いまだご遺体もみつかっていないという人もいた。避難区域で被災され、捜索も満足に行われていないからだ。
震災から、原発事故から1年がたったが、ここでは年月は止まったままになっている。
そういう人たちがいつ家に帰れるのか、前を向いてこれからに踏み出していくにはどっちを向いてどうすればいいのか、指針は何もない。
誰もそんなものは提示してくれない。
国際基準ではこういう人たちを「国内難民」とよぶが、そもそも難民政策で国際基準から大きく遅れている日本政府には、この人たちを助けるためのノウハウはない。
でも、じゃあ、誰に何ができるというのだろう。
ぐりにはよくわからない。だけど、わからないからといって黙って手をこまねいているというのも何か違う気がする。


南相馬市産のたまねぎ。道の駅で購入。みっつ入って¥130也。

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