落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

被災者と被災地の隙間

2012年02月21日 | 復興支援レポート
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今回は地元の人のいろんなお話を聞くことができたんですが。
初めて、被災地に住んでいてまったく被災してない人に出会った。

理屈から考えたらそういう方もいて当り前なんだけど、基本的にボランティアは被災してる人のところにいって活動するので、どうしても現場で出会う地元の人は被災してる人に限られる。
けど一口に被災者といってもやはりいろんな人がいる。大切な人を亡くされた人、家を失くされた人、職場が被災した人、その全部を失った人もいる。
ぐりが最近よく参加しているのは宮城県気仙沼市での活動だけど、ここで出会う人たちにもいろいろな状況の方がいる。ご自宅も仕事場も何もかも失って仮設住宅住まいからゼロから再スタートされた方、再スタートできていない方、仕事場は壊滅的な被害に遭ったがご自宅はどうにか住める状態まで復旧できた方、ご自宅も仕事場も深刻な被害は免れたが震災の影響で収入が激減した方もいる。
彼らの間には微妙な温度差は勿論あるが、悲しいつらい目にあって深く傷ついてはいても災害の被害に負けたくないという思いは共通している。

そして彼らの輪の隙間に、被災地に住んでいても家も家族も無事で職場もなんともなかったという方がいる。
震災直後はライフラインが遮断され、物資不足の中みんなで避難生活を送っていても、インフラが復旧してしまえば生活はほぼ元通り。復興のために七転八倒しているヘヴィーな状況がすぐ傍に見えているが、自身の生活が手一杯で支援活動に積極的に出て行くのはちょっと難しい。
地域全体が復興一色に染まっている中で、自身の立ち位置の捉え方に戸惑っている人もいるだろう。

地域の復興は地域全体が一丸となってとりくむべきものだ。もちろん。
そこにはあらゆる人々のあらゆる立場からの参加が望まれる。被災してようがしてなかろうが、誰にだってそこに参加する義務と権利がある。東北の人たちはシャイで優しいからついつい消極的になっちゃうのかもしれないけど、状況が状況なんだから誰だってできることをやればいいだけのことじゃないかと勝手に部外者は思ってしまう。
ぐりがものすごく気になるのは、そういうところのフォローも含めて、地域の復興のイニシアチブをとるべき自治体がその役割をほとんど果たしていないことだ。実際にイニシアチブをとっているのは地元の被災者の皆さんご自身や、民間の支援団体ばっかりで、そこに国や行政の姿がほとんど見えてこない。
見えないどころかいつの間にか妙な溝や壁をつくってるようにも見えることがある。被災者の方をぜんぜん見ていないように感じることさえある。
たとえばボランティアの活動環境に身銭をきって気を配って下さるのは被災者の皆さん・地域の皆さんばかりで、国や自治体の予算を莫大に消費しているいわゆるハコモノはまったくそこに関わろうともしていなかったりする。
来月の一周忌も、某市の慰霊祭に招待されているのはご遺族のみである。他の人は別の場所で献花。なんでそういう分け方をするのかがぐりにはわからない。部外者なもんですいません。

復興にはたくさんたくさん、きりがないほど山積みの課題が無数にある。
しかし一番の問題は、復興のためのスタイル、ポリシーすら、国民の上にたち国民生活を保障するべき行政からまったく示されていない、示そうという姿勢すら伺えないことではないだろうか。
深く傷ついた当事者の方々の根性や民間の有志をいつまでもあてにするのはやめていただきたい。既に心折れてる人たちだってたくさんいるし、これから折れる心だってある。
その前にちゃんとなんとかしてほしい。なんのためにみんなが税金を払ってるのか、ちゃんと考えてほしい。


唐桑大漁唄込みというだしもの。
当地の伝統芸能?みたいなの。お祭りにて。

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