ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

百薬の長。

2015年01月22日 | 百伝。
午前中は、小さな歯医者さんへ。

午後からは、小さな眼科医へ。

大病院でもなく、しかも平日なのに、小さな眼科医院の方は、大混雑でした。

ほんとうに自己の老化現象が進んでいるようです。

でも、インフルエンザには罹っていません。

お隣りの石川県は、インフルエンザが大流行しているとか・・。

と思い巡らしていると、息子から「インフルエンザに罹ったみたいだ」という連絡を受けました。

「だらしのない不規則な生活をしているからだ!」と一昔前なら一喝したであろう言葉が出てきません。

「医者に行って、ゆっくり休め」としか言えないオヤジになっていました。

思い出すのは、まだ僕が30代の外資系企業でのサラリーマン時代・・あの頃は、毎日10キロぐらいジョッギングして、心身ともスリムで、健康にも自信がありました。

今と同じ寒い時季でした。

上司のドイツ人と二人で、インドネシアから来られたエージェント二人を接待することになりました。

イスラム教徒ということで、お酒も飲まないし、日本の天麩羅屋さんでの食事の場を設けました。

その場で、生かきを酢につけて、皆で食べたのです。

ところが、翌日には、嘔吐感と下痢症状、身体が震えて、死ぬかと思うぐらい全く動けない状態になりました。

今思えば、ノロ感染だったのでしょう。

当時は、ノロという言葉もよく知りませんでした。

当日、同じく上司のドイツ人も、インドネシア一人も病院へ直行していたのです。

しかし、もう一人のインドネシア人は、全く平気だったのです。

全く平気だったインドネシア人は、ジャングルの密林育ちだったようで、免疫力があったのでしょう。

あれ以来、健康とか、抵抗力とか、免疫力というものを考えさせられました。

余りにも清潔な社会の日常生活では、免疫という競争力も抵抗力も低下するのでしょう。

例えば、オリンピック選手は、スポーツの頂点を極めていますが、どう考えても健康的ではありません。

筋肉も骨もボロボロになるまで酷使して、「平和の祭典オリンピック出場」です。

無理は禁物が、長生きの秘訣のようです。

短く太く生きて、ピンコロリとなる者も、薬に手を出します。

細く長く生きても、寝たきりになるまで、薬を飲みます。

百島で過ごした時間と暮らしは、百薬の長だったのかもしれません。

百島のファーカンダ。

2015年01月22日 | 百伝。
先日、東京おもちゃ美術館館長の多田千尋さんが、琉球新報の自らのコラム記事に「ファーカンダ(葉っぱと蔦(つた)」という沖縄の言葉を紹介しておられました。

そして、「21世紀の子どもの専門家は、高齢者のことも取り組まなければならない」と当時、日本女子大学で教授をされていた一番ヶ瀬康子先生から助言もあり、多田さんの人生を大きく変えたとのこと。

故一番ヶ瀬康子先生は、日本の社会福祉を学ぶ者にとっては、避けては通れない人物で、日本の福祉文化、歴史で大きな足跡を残しております。

僕個人の見解ですが、一番ヶ瀬先生の残されている言葉は、もっと世界で広く紹介されてもいいのではないかと・・知性溢れる宝です。

生前の一番ヶ瀬先生に是非共、お会いしたかったものです。

さて、ファーカンダとは、他に「祖父母と孫」を表す意味があるようです。

親世代は忙しいけど、お年寄りと子供には、共に安心出来る存在として、リズムも波長も合う似通った時間があるのでしょう。

昔話を聞かせたり、子どもの話をじっくり聞く余裕があるのではないかと考えます。

多田さんからの「百島にもファーカンダがあるのでは?」・・という御指摘に遠い子供の頃に伝え聞いた祖母の事を思い巡らしていました。

僕は、祖父を知りません。

祖母一人のみを知っているのですが、明治に生まれた祖母は、文字をカタカナで書いていました。

少女の頃は、大阪方面の生糸の紡績工場へ働いていたとのこと。

灘の酒造工場へも、百島から働きに行ってたとのこと。

親類には、ハワイへ移民して成功した親族がいて、大学の先生になった子も居るとのこと。

祖母が幼い頃に、祖母の祖父(江戸時代生まれ)から、「ちょん髷を切るのが嫌だった」ということを聞かされた思い出話を、孫の僕に話してくれたのを憶えています。

・・繋がっているんだなぁ。

草鞋作りから、蕎麦の栽培、蕎麦打ち・・美味しかったなぁ。

何でも出来るような祖母でしたが、面白い話があって、それを忘れられません。

僕が、幼い頃に、トイレに行くのは厄介で、トイレの下は大きな便壷でした。

落ちたら、どうしようという恐怖感もありましたが、用を足したあとにお釣りがピシャと飛び上がって、お尻にかかるのです。

物心がついて、一人でトイレに向かう際、祖母が言ったことは忘れられません。

用を足す時、つまり便を排する時です。

「お尻を振りながら、落としなさい」でした。

ホント!見事にお釣りもなく着水するのです。

重力の関係なのです・・揺れ動かさなければ、腹打ちのような飛込みになるのです。

揺れ動かしながら落とすと、飛び込みの選手のように真っ直ぐに入るから、あまり飛沫が飛ばないのです。

こういう先人の知恵は、素晴らしいものです。

もうひとつ、英国の老紳士から教えられたことがあります。

昔、大地という畑に撒く栄養は、人糞という肥え(肥料)でした。

そこから収穫されたモノを我々は、食しています。

海からは、生臭い魚やらモノを食しています。

英国の郊外に出かけると、日本と同様にぷ~んと匂いが広がります。

牛やら馬の匂いも混じっています。

そのニオイを、英国の老紳士は、アグリカルチャー・スメル(農業のニオイ)と言い、ヘルシーだと表していました。

そして、思い切り吸い込むのです。

健康になる秘訣だそうです。

ニオイも物質なのです。

どんな悪運や病気にも打ち克つ物質なのだそうです。

話を戻しますが・・。

昔は、百島の井戸水でも十分美味しかったですが、今や、水道水しか飲まない生活になりました。

いづれ、ペットボトルのミネラル水しか飲まなくなるような生活様式になるかもしれません。

我々は、孫の世代に何を教えることができるのでしょうか?

ファーカンダ。

沖縄の言葉で、ファーは、葉っぱ。

沖縄の言葉で、カンダは、茎。

いい話を聞かせていただきました。

感謝。