OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

永遠のふたりのシーズン

2009-04-27 14:46:22 | Rock

ふたりのシーズン / The Zonbies (CBS / ソニー)

キーボードのロックといえば、ゾンビーズが忘れられらません。

近年はソフトロックの人気グループとして その評価も高いイギリスのバンドですが、デビューしたのが1964年7月でしたから、やはりブリティッシュビートの中の有力グループと見なされていたようです。

しかし演じるオリジナル曲は洒落たコード進行とジャズっぽいアレンジが特徴的でしたし、それとロックのビートを融合させた演奏は、なかなか個性的だったと思います。それは当時の代表的なヒット曲「She's Not There」や「Tell Her No」を聴けば、納得するしかありません。

ところが当時は、やはりビートが強く、さらに黒っぽい演奏が業界の主流でしたから、彼等にしてもステージやアルバムではR&Bのカバーあたりも選曲されていたようです。

つまり時代に先んじたオリジナルを自作自演していたメンバーとプロダクション側の意向がズレていたのですから、次第にセールスは伸び悩み……。

しかしそれはイギリス国内の事情でした。

何度か行ったアメリカ巡業での人気は高く、また我が国ではGS時代になって彼等の地味なヒット曲「I Love You」が、カーナービーツによって「好きさ好きさ好きさ」という日本語カバーにされ、昭和42(1967)年に大ヒット! 急遽、ゾンビーズのオリジナルバージョンもシングル盤で再発されるという騒ぎになったほどです。

そして告白すると、サイケおやじは、その曲でゾンビーズを知ったのです。

メンバーは、コリン・ブランストン(vo)、ポール・アーノルド(g)、ロッド・アージェント(key)、クリス・ホワイト(b)、ヒュー・グランディ(ds) という5人組でした。

ところが、それでもイギリスでの状況は悪化するばかり……。2枚目のアルバム用にレコーディングしていた楽曲も宙ぶらりんだったと言われていますが、それでもなんとか纏めて作られたのが、今ではソフトサイケの超名盤「Odessey & Oracle (CBS)」で、そこからの先行シングルが、本日ご紹介の「ふたりのシーズン / Time Of The Season」というわけです。

これはイギリスとアメリカでは1968年の春頃に発売されたと言われていますが、もちろんリアルタイムではヒットしていません。というか、この時、既にバンドは解散していたのが真相です。その原因について、私は知る由もありませんが、経済的な問題だったことは容易に察しがつくと思います。

しかし捨てる神あればなんとやら! ニューロックの立役者にして、当時はアメリカのCBSコロムビアで音楽監修の仕事もやっていたアル・クーパーが、前述の「Odessey & Oracle」を大絶賛したことから、あらためてプロモーションが展開され、ついに翌年春にはチャート3位にランクという、1年越しの大ヒットとなったのです。

もちろん我が国でも、その頃からラジオを中心に、頻繁に流れるようになったのは、言うまでもありません。

ミディアムテンポで抑揚の無いメロディラインが、モード系のジャズビートで、しかもコリン・ブランストンのクールなタメ息ボーカルに加え、サビでの開放感のあるコーラスが印象的に歌われています。さらに間奏ではロッド・アージェントの極めてジャズっぽいキーボードのアドリブが♪♪~♪ 全体のリズムもボサロックのブリティッシュロック的な解釈とでも申しましょうか、なかなかに淡々として、さらに力強さが持続していくのです。

ということで、リアルタイムでも非常に新鮮、かつ斬新な名曲でした。ちなみにサイケおやじは昭和44(1969)年末に、このシングル盤を買っています。

ただし既に述べたように、これがヒットしても本体のゾンビーズは解散しており、中心人物だったロッド・アージェントは新しいバンドとして、アージェントを立ちあげ、これまたサイケおやじにはジャストミートのロックジャズを聞かせてくれるのですが、それは後のお話です。

とにかくゾンビーズの集大成的な「ふたりのシーズン」は近年、テレビCMでも使われたり、また再評価の対象として崇められたりするほどの不変性が、大きな魅力です。

あくまでもサイケおやじ的な括りですが、「キーボードロック」という分野があるとすれば、そのキーポイントのひとつとして忘れられないと思います。

ゾンビーズのクールなジャズっぽさ、最高!

コメント (2)
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