■Woodstock / Crosby, Stills, Nash & Young (Atlantic / 日本グラモフォン)
「第二のビートルズ」という名誉ある称号を賜ったグループは、本家ビートルズが活動停止状態になった1970年前後から事ある毎に業界の商魂丸出しという「冠」に変化していった歴史の中で、それを易々と飛び越えて人気を集めたのが、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング=CSN&Yでした。
ご存じのように、このグループは最初、バーズのデイヴィッド・クロスピー、ホリーズのグラハム・ナッシュ、そしてバッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスが息投合して結成したCS&Nからスタートしていますが、それはまず1969年に発表された同名1stアルバムを聴けば、クロスビー&ナッシュが十八番のハーモニーワーク、そしてマルチプレイヤーとして演奏面の要所をキメたスティルスという役割分担が、各々の書いた不滅の名曲群を見事に彩る素晴らしさ♪♪~♪
もちろん各方面から高く評価され、サイケおやじにしても当時、シングルカットされていた「Marrakesh Express / マラケッシュ行急行」をラジオで聴き、そのホンワカムードに素敵なメロディと気持良すぎるコーラスにグッと惹きつけられました。
ちなみにデイヴィッド・クロスピーとグラハム・ナッシュが在籍していたパースもホリーズも、それまでに私が大好きだったバンドですから、それも自分で納得するところでしたが、スティーヴン・スティルスのバッファロー・スプリングフィールドについては、完全に???
で、そうこうしているうちに翌年となって発売されたのが、名盤の誉れも高い「デジャ・ヴ」というわけですが、なんとそこにはCS&Nに加えてニール・ヤングという新顔が入ったバンド名、つまりクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング=CSN&Yが、デンと構えていたのです。
そしてこの頃になると、我国の業界や音楽マスコミは一斉にCSN&Yを絶賛! ラジオから彼等の曲が流れることも多く、メンバーのキャリアや関連ソロ楽曲も聴けるようになるのですが、実は日本で本格的にCSN&Yがブレイクするのは、さらに翌昭和46(1971)年、前述のアルバム「デジャ・ヴ」に収録されていた「Teach You Children」が大ヒット映画「小さな恋のメロディ」の挿入歌として使われて以降でしょう。
さて、本日のご紹介は、それ以前の昭和45(1970)年に発売された、おそらく我国では最初に出たCSN&Yのシングル盤だと思われますが、やはり名盤「デジャ・ヴ」からカットされたものです。
まずA面はジョニ・ミッチェルが書いたエグイ味わいの名曲を、重いロックビートで強烈にエレクトリック化したハードな演奏ながら、絶品のコーラスハーモニーが最高という名演になっています。特にテンションの高いイントロのギターリフは、青春時代のサイケおやじを、その一発で完全KOするに十分すぎるほどでした。
またB面の「Helpless」は、今やニール・ヤングの代名詞となった名曲名演ですが、実は当時の私は、この人のことは知る由もなく、しかしどうやらスティーヴン・スティルスと一緒にバッファロー・スブリングフィルードに在籍していたという情報ばかりが先行していたのが、その頃の事情でした。
もちろん私はCSN&Yの「デジャ・ヴ」をリアルタイムで買えるはずもなく、このシングル盤で我慢していたのは言わずもがな、果たしてバッファロー・スブリングフィルードのレコードが、その頃の日本で発売されていたか否かについても、確かめる術がありません。
しかしラッキーだったのは、CSN&Yがブレイクしたのを契機に、バーズの過去のアルバムが再発されたり、ニール・ヤングの2ndアルバム「Everybody Knows This Is Nowher」が、「いちご白書」なんていう当時のヒット映画に収録楽曲が使われた由縁のフェイクタイトルで発売されるという、まさに嬉しい異常事態♪♪~♪
そして昭和46(1971)年初夏になって、ついにバッファロー・スプリングフィールドのオリジナルアルバム3枚が一挙に我国で発売されたわけですから、このシングル盤も所期の目的を達成したというところでしょうか。
肝心のCS&N、そしてCSN&Yの音楽性については、そのハーモニーワークばかりが先に注目されましたが、当時は全く謎に包まれていたギターの変則チュー二ーングによる演奏や、それを使った曲作り、またコードの斬新な使い方等々、後に真相が解明されていくにつれ、その目からウロコの驚愕的素晴らしさは、現在でも古びていないと思います。
また当然、私がバッファロー・スプリングフィールドの虜になったのは、言わずもがな!
それも含めてスティルス対ヤングのギターバトルや、クロスビー&ナッシュのハーモニーワークの快楽、さらにメンバー各人のソロアルバムの興味深いあれこれ♪♪~♪ 全くCSN&Yを聴く喜びは尽きず、それが1970年代ロックのひとつの柱だったと、今は実感しているのでした。、