■Puff / Peter, Paul & Mary (Warner Bros. / 東芝)
フォークソングのグループでは代表格として大衆的な人気者だったのが、ピーター・ポール&マリー=PPMです。そして同時に、ギターの練習には必修課目だったのが、この3人組の演奏だったんですねぇ。
PPMはピーター・ヤーロウ(vo,g)、ポール・ストーキー(vo,g)、そしてマリー・トラヴァース(vo) という男女混成のトリオながら、その絶妙のハーモニーワークと生ギターのアンサンブルで歌われるフォークソングの数々は、相当にエグイ歌詞の中身さえも爽やかなフィーリングで表現出来るという、実に大衆音楽の王道を歩んだグループだったと思います。
実際、1961年頃の結成から解散するまでの約10年間にはチャート入りさせたヒット曲が多数ありますし、その演奏スタイルをコピーし、後追いするアマチュア歌手&グループが世界中に存在していました。と言うよりも、PPMでなければフォークじゃ無い! という風潮さえあったと思います。
で、冒頭の話に戻ると、私がギターをどうにか弾けるようになったのは当時、隣にあった町医者に出入りしていた若い先生のおかげで、この人は何時も海外のフォークソングのメロディを口ずさんでいたという、なかなかの粋人でした。そして時には生ギターの弾き語りも聞かせてくれましたから、その流れで私にギターの弾き方を教えてくれたのも神様の思し召しかもしれません。
しかし最初の課題となったのが、PPMスタイルのフィンガーピッキングだったというのは、難関でしたねぇ。なにしろギターのコードの押さえ方もロクに覚えないうちから、右手の運指をあれこれと調教されては……。
またギターがナイロン弦のガットギターだったのも、ネックの幅が広くて、ちょっと……。
それに当時はエレキが大ブームの頃でしたから、私としては所謂テケテケが鳴らない生ギターには懐疑的だったのです。
まあ、それでもなんとかギターらしい音で弾けるようになった時は嬉しかったですねぇ~♪ 本日ご紹介のシングル曲「Puff」を通して弾けた最初の瞬間の達成感は、今でも筆舌に尽くし難いものがあります。
貸してくれたレコードを聴きながら、一緒にお手本のギターを弾いてみせてくれた先生の教えを思い出しつつ、練習した日々が懐かしくもあります。ちなみに掲載したシングル盤は、その時からのプレゼント♪♪~♪
ただし、正直に言えば、自分の感性にはエレキが合っていますから、歌謡フォーク全盛期の昭和40年代後半でも、あえてPPMを弾くことはありませんでした。しかしグループとしての音楽性は最高に素晴らしいと思っています。特にライプ音源を聴くと、アコースティックでありながら、実にダイナミックなグルーヴが圧巻! そして凄すぎるコーラスワークとギターアンサンブルの妙は唯一無二!
それがあればこそ、いつまでも不滅なのがPPMでしょうし、今日もどこかで、誰かが、この曲のギターを練習していると確信しております。