■Proud Mary / Creedence Cleawater Revival (Fantasy / 東芝)
1960年代中頃からのサイケデリック&ニューロックのグループは、大袈裟とも言える長ったらしいバンド名が必須でした。本日の主役たるクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、通称CCRも、その中のひとつでしたが、人気を得たのは基本に戻っての3分間R&Rというのが温故知新の大魅力!
1960年代末から1970年代前半にかけてのヒットパレードでは本当に常連で、もちろん我国でも絶大な人気がありました。
しかしバンド名からしても、CCRは本来サンフランシスコを根城とするサイケデリックシーンで、そのキャリアをスタートさせ、最初はブルー・ヴェルベッツ、次いでゴリウォッグズと名乗る頃には、数枚のシングル盤を出しています。
メンバーはジョン・フォガティ(vo,g)、トム・フォガティ(g,vo)、スチュ・クック(b,vo)、ダグ・クリフォード(ds,vo) の4人組でしたが、当時のアメリカはベトナム戦争にどっぷりの時期でしたから、メンバーが徴兵されたりして活動は停滞……。これが1960年代中頃の事情でした。
もちろんCCRが大ブレイクした後に纏めて再発された当時の音源を聴くと、ブリティッシュビートの焼き直しや如何にもB級サイケデリックな味わいが強く出ていて、それはそれで面白いんですが、やはり骨太ロックの剛速球で勝負していたCCRの魅力には些か遠いものがあります。
で、そのCCRが正式にバンド名を変えてまで再デビューしたのは1968年末に発売された、その新バンド名をタイトルにしたアルバム「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」でした。
そして内容はサイケデリックの味わいを残したジャケットや長尺な演奏を含みつつ、後のスワンプロックに直結するような泥沼系R&Bロック♪♪~♪ また絶妙なカントリーロック風味が隠し味という、まさに温故知新はここからも楽しめるのですが、実は我国でこれが発売されたのは、セカンドアルバムという扱いでした。
そして、そのきっかけとなったのが、本日掲載したシングル盤の大ヒット!
おそらくは日本で初めて発売されたCCRのレコードが、このシングル盤だったんじゃないでしょうか。とにかく昭和44(1969)年にラジオから突如として流れ出た、この豪快でノリが最高のR&Rを聴いた瞬間、サイケおやじは乏しい小遣いの最優先として、このシングル盤を買わずにはいられない気分の高揚がありました。
それは野卑なほどに豪胆なジョン・フォガティのボーカル、ゴリゴリにして、しかも粘っこいバンド全体のドライヴ感、グイノリに押しの強い曲メロの魅力が混然一体となったR&Rの桃源郷♪♪~♪
直ぐにコピー出来るコードワークを上手く使ったキメや一緒に歌えるリフレインも親しみ易く、それでいてロックの本質をスバリと表現していたと思います。さらに同曲は黒人ミュージシャンにも広くカパーされ、例えばアイク&ティナ・ターナーのバージョンのように、それこそ裏定番的なヒットになったレコードさえ残されているのですから、なかなか奥が深いようです。
ちなみにCCRは完全にジョン・フォガティのワンマンバンドというか、ほとんどの曲を書き、自分で歌って、ギターソロも演じるというところから、他のメンバーは相当に面白くなかったという推察は容易で、実際、解散間際にはジョンの兄貴だったトム・フォガティが脱退し、3人組となって制作発売された1972年のアルバム「マルディ・グラ」では、メンバーが均等に歌って演奏した内容が完全にトホホ……。
結局はジョン・フォガティの才能の凄さを証明してしまったわけですが、しかし全盛期の演奏を聴いていると、他の3人がひたすらに作り出すリズム&ビートがあってこそ、CCRじゃないかなぁ、と思います。つまりジョン・フォガティの歌やギターソロが、完全にリズム隊に乗せられている感じなんですねぇ~♪
それゆえにジョン・フォガティがCCR解散後に出した諸作は、確かに同じ味わいとはいえ、何かが足らずのイマイチ状態なのは、否めないでしょう。
ですから4人組時代の全盛期CCRの音源は公式盤以外にも、未発表の発掘作業が待望され、今日までにいろいろと出ていますが、やりはリアルタイムで出ていたものには叶いません。極言すれば、前述のデビューアルバムから1970年の「ペンデュラム」までの6枚のLPは、収録曲全てが傑作だと思います。
当然ながら我国はもちろん、世界中でレコードはバカ売れ状態でしたし、シングルヒットも、どっさり放ったCCR!
そのスタートダッシュンこそ「Proud Mary」ということで、本日は朝から、これを聴いているのでした。