■Power To The People / John Lennon (Apple / 東芝)
さてさて、猛暑の中で尚更に熱く、目眩がしそうなジョン・レノンの11枚組CDボックスの話題は、これ如何に!?
またしても「最新」をウリにした旧作音源&ソロアルバムのリマスターに加え、数曲の未発表テイク&バージョンが入るというのですから、穏やかではありません。
しかも完全限定!?
と言われれば、自分のような者は買うしかない状況追い込まれるんですよねぇ……。
ちなみにジョン・レノン関連の未発表音源集としては、以前にアンソロジー箱が出て、所謂ホームレコーディングとされるデモ音源、あるいは公式楽曲のミックス違いやアウトテイクが纏められたはずなのに、まだまだこんな出し惜しみが残されているんですから、もう、絶句する他はありません。
一説によれば、ビートルズ関連の音源は、この先の百年ほど後まで、そのリリース計画が出来上がっているらしいので、ジョン・レノンについても、同様かもしれないのです。また、オノ・ヨーコが膨大なそれらの未発表音源を私蔵しているのは周知の事実!
結局、自分が生きている間には、その全てを聴くことが出来ないという未練が残ります。
しかし、こうした企画ボックス物の購買層は、はっきり言えば中年者以上が大半でしょう。
実は告白するとジョン・レノン、あるいはビートルズに限らず、例えばザ・フーの「マイ・ジェネレーション」、キング・クリムゾンの「宮殿」、そしてストーンズの「ならず者」等々のサービス過剰気味の箱物をしっかりゲットしているサイケおやじは、そのシールドを破ることが出来ません。
なにしろ中身は知り過ぎるほどに聴きまくったものばかりですし、リマスターや新発掘音源とされるメーカー側のウリにも、ウンザリ……。
ただ、それでも、持っていないと安心出来ないという精神衛生上の問題が大きくて、お金を払ってしまうんですよね。
さらにいけないのは、それでも少~しは中身を本当に聴きたいという欲望もありますから、ストーンズの「ならず者」なんか、通常盤CDを買ってしまうという情けなさです。
このあたりは周辺からみれば、本当の愚か者でしょう、サイケおやじは!
もう、自嘲することも憚られる行動だと思います。
それは「聴く」よりも「所有する」の比重が大きいという、なんとも哀しい学習行為……。
しかし、そんなサイケおやじだって、純粋に音楽を聴きたくてレコードを買っていた時期が確かにあって、本日ご紹介のシングル盤はビートルズの解散騒動に揺れながら、メンバー各人がソロ活動に邁進していた頃、ジョン・レノンがプラスティック・オノ・バンドを率いて昭和46(1971)年春に発売したガチンコのアジテーションロック!
ちなみにB面はオノ・ヨーコの作品なんで割愛しますが、それでもちゃ~んとジョン・レノンがギターで参加していますし、なによりも当時はシングル盤オンリーの楽曲として、これを買わなければ聴くことが出来なかったのです。
いや、シングル盤オンリーなんていう言い訳以前に、とにかくジョン・レノンの歌を聴きたいというストレートな欲望がありましたですね。
あぁ、あの頃のイノセントな情熱が懐かしいなぁ。
と、猛暑の中でジョン・レノンから勇気を頂戴したいと切望するのでした。