■月の光 / Procol Harum (Regal Zonophone / キング)
なんとも幻想的でエロいジャケットのシングル盤は、プロコル・ハルムが1968年に出したセカンドアルバム「シャイン・オン・ブライトリー」からのカットなんですが、どうやらこれは日本独自!?
というのも、配給会社の変更ゆえの事情らしいのですが、それと同時に「プロコル・ハルム=青い影」という図式があまりにも鮮烈でしたから、以降に出したアルバム&シングルは、どうしてもその壁を破れませんでした。
そこで居直ったという事なんでしょうか、このシングル盤が我国で発売されたのは昭和46(1971)年だったと思うのですが、「青い影」を名曲名演にしていたクラシック趣味の夢よもう一度! そんな感じで、似たような路線の旧作をひっぱり出したのかもしれません。
実際、ジャケットには、「青い影」のプロコル・ハルムが久々に放つビッグ・ヒット!! なぁ~んて書いてありますから、いやはやなんとも……。
しかし、これが実に琴線に触れる仕上がりなんですねぇ~♪
ちなみに当時のプロコル・ハルムはゲイリー・ブルッカー(vo,p)、マシュー・フィッシャー(org)、ロピン・トロワー(g)、デヴィッド・ナイツ(b)、B.J.ウィルソン(ds,per) の5人に加え、専属作詞家のキース・リードやエンジニアのグリン・ジョンズ、そしてプロデューサーのデニー・コーデルが強固なスクラムを組んでいた黄金期でした。
そして完成された「月の光 / Skip Softly (My Moonbeames)」は、随所にクラシック曲のメロディを引用しつつも、ハードロックやロックジャズの味わいも濃厚な仕上がりになっています。
特に全体をリードするピアノのリフには思わずムフフな思惑が隠しようもなく、またハードなギターとウネリが満点のオルガンは、ストロングスタイルのドラムスとベースに支えられ、その魅力を存分に発揮していますよ♪♪~♪
まさにプロコル・ハルムの本領発揮という名演じゃないでしょうか。
それとジャケットデザインは前述したセカンドアルバムのアメリカ盤からの流用ですが、これもまた曲調と合っているように思います。
ということで、やっぱりプロコル・ハルムは初期が好きというサイケおやじです。
ご存じのように以降のグループは、3作目では何故かザ・バンド風味を滲ませていましたし、4作目からはマシュー・フィッシャーが脱退した所為もあって、ギターバンド的な方向性が強くなりました。
それはそれで好ましいところも確かにありますが、今でもプロコル・ハルムのイメージを決定づけているのは、「青い影」から引き継がれるクラシックとロックの融合でしょう。
なんとも重い命題を背負ったバンド……。そう、思うばかりです。