OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

真似には真似の良さがある

2012-06-06 14:54:41 | Pops

Suspicion / Terry Stafford (Crusader / キングレコード)

今週のサイケおやじは仕事で某特許関連の揉め事に首を突っ込む仕儀となり、そこで第三者の立場としては正直、どっちもどっち?

それぞれの言い分が理にかなっているのですから、言わば「本家」と「元祖」の競い合いみたいな感じなんですが……。

そこで思い出したのが本日掲載のシングル盤A面曲「Suspicion」で、とにかく1964年にアメリカはもちろん、日本でも相当に流行った素敵な洋楽ポップスなんですが、問題化しそうなほどに特徴的だったのは、当時新人だったテリー・スタッフォードの歌い方!

な、な、なんとっ! 声質から節回しまでもが、エルヴィス・プレスリーにクリソツなんですねぇ~~!?

これはあまりにも有名な洋楽ネタのひとつになっているほどです。

しかも驚くべきは、この「Suspicion」が本来はエルヴィス・プレスリーのオリジナル演目として、既に1962年に発売されていたアルバム「ポットラック」に入っていたのですから、いやはやなんとも!?

そうした事実をサイケおやじが知ったのは、実は昭和45(1970)年になってからで、深夜放送の洋楽系番組で件の2バージョン聴き比べという企画は興味深いものでしたし、告白すればエルヴィスのバージョンは、その時点が初体験!

ですから、それまで気に入っていたテリー・スタッフォードのバージョンにしても、リアルタイムの昭和40(1965)年頃にラジオで聴いて以降、最初はそれと気がつかなくとも、なにかエルヴィス・プレスリーっぽいものは感じていたわけでして、そうした謎解きが開陳されてみれば、妙に呆気無く思えたのが本音です。

しかし、それでもエルヴィス・プレスリーのバージョンは流石に説得力が満点で、後に知ったところでは、テリー・スタッフォードの物真似(?)カバーバージョンが大ヒットしてしまった事への対抗処置というか、一応はシングル盤のB面扱いだったそうですが、エルヴィス・プレスリーも自身のオリジナルバージョンを同時期に発売しています。

ちなみに掲載ジャケ写には曲タイトルがカッコ付きではありますが、邦題「恋のおもわく」とされ、一方のエルヴィス・プレスリーは、これまた邦題を「うたがい」としているのは、なかなか意味深かもしれません。

そして聴きこむほどに、この両バージョンは基本的には一緒かもしれませんが、テリー・スタッフォードはあくまでも「ポップス」として歌っているのに対し、エルヴィス・プレスリーは当時最新のサウンドだったブリティッシュビートに負けない尖がった良さを滲ませていて、これがビートルズのブレイク前だった1962年6月の発売だった事は、これまた驚愕です。

ただし、それでもテリー・スタッフォードのバージョンが今日でも親しまれているのは、物真似云々を詮索する以前の潔さが感じられるからではないでしょうか?

ここからはサイケおやじの妄想ではありますが、未だ新人歌手だったテリー・スタッフォードが、あえてエルヴィス・プレスリーというキングの演目を歌ったとあれば、その影響を受けてしまうのは当然であり、敬意を払った末の結果だったのかもしれません。

もちろん制作側の恣意的な行動は言うまでもなく、テリー・スタッフォードの歌は、これ以外にエルヴィス・プレスリーをそれほど真似ているものはありません。

そこで冒頭の話に立ち返ってみれば、「本家」や「元祖」と言ったって、ここまで両方が生き残っている現実は、それぞれに支持支援が続いて来た証なのです。

そういう部分を鑑みて、なんとか大人の対応で収まるよう願いつつ、サイケおやじはテリー・スタッフォードの「Suspicion」を聴いているのでした。

コメント
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