■Whiskey Place / Ramatam (Atlantic / ワーナーパイオニア)
1970年代初頭のロック界でひとつの流行だったのが、所謂スーパーグループ!
言うまでもなく、そこに集う面々各々は、既に名を成していたバンドでの在籍経験やヒット曲を出したミュージシャンというキャリアの持ち主であり、特にクロスビー・スティルス&ナッシュ=CS&Nが大成功して以降は様々な新グループが誕生していましたが、本日ご紹介のラマタムも、そのひとつとして、1972年のデビュー当時はかなり話題になったバンドです。
なにしろメンバーはブルース・イメージからアイアン・バタフライを渡り歩いたマイク・ピネラ(vo,g)、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェル(ds) が中心というだけで、これはハード&ヘヴィなサウンドは既にお墨付きと納得させられるものがあったんですねぇ。
さらにプロデュースが当時メキメキと評価が高まっていたトム・ダウトであった事にも、強い説得力がありました。
そして、もうひとつ、ロックファンを熱くさせたのが、唯一の女性メンバーであったエイプリル・ロートン(g) の存在で、その美貌と凄腕の相反する魅力は絶大♪♪~♪
もちろん当時は、女にロックは出来ねぇ~~!
という今日では間違いが判明している常識ゆえに、尚更注目されたというわけですが、実際、それは珍しさを超越した部分で話題を独占するほどの実力が認められていたのです。
ちなみにラマタムには他にトミー・サリバン(key,reeds,vo)、ラス・スミス(b,vo) という些か無名な二人も在籍していますが、なかなかの実力者であったことは否定出来ません。
ところが結果的に発売されたレコードはヒットせず、最初のアルバムも成功したとは言い難い時点において、中心人物のマイク・ピネラとミッチ・ミッチェルが脱退!?! ラス・スミスも一説によるとクビになったらしく、結局、どうかに2ndアルバムに仕立て上げられたセッションは、エルプリル・ロートンとトミー・サリバンのデモテープ紛いの音源を加工したものに……。
という、ブレイクしなかったスーパーグループがラマタムの一般的概要ではありますが、リアルタイムで一度でもラマタムの歌や演奏に接したロック好きであれば、それが生ライプであれ、レコードあれ、自らの音楽魂を惹きつけられていた瞬間を思い出す機会があろうかと思います。
それほどラマタムはフックの効いたバンドあり、特に掲載したシングル盤A面曲「Whiskey Place」は瞬発力抜群のドキドキロック! 本気で騒ぐ血潮を抑えきれませんよ♪♪~♪
サイケおやじが当時、ラジオでこれを聴いた翌日にレコード屋へ直行してしまった事についても、後悔は一切ありません!
また、一緒に出ていたデビューアルバム「ラマタム」も最高に素晴らしく、これは経済的な理由から後で買ったんですが、見事に多彩なバンドの内幕と才能を記録しており、詳しくは何れ取り上げたいと思いますが、やはり最初の印象に残ったのはエイプリル・ロートンの素晴らしいギタープレイなんですねぇ~♪
特にドライヴしまくったノリは、失礼ながら女性とは思えない豪胆さがあり、と言うよりも、女のくせに生意気なほど巧みな構成の早弾きフレーズやピートの付け方が憎たらしいばかりで、おそらくはジャズの素養もかなりのもんだと推察出来ます。
しかも既に述べたとおり、美女と言う他はないルックスなんですから、たまりません♪♪~♪
ちなみに使用ギターはレスポールのようですが、それにしても幾分薄いサウンドに作られているのは、マイク・ピネラとのコンビネーションを考慮してのことでしょうか? ツインリードで両者の個性が出るように計算されているあたりは、トム・ダウトの手腕も流石だと思います。
で、そのマイク・ピネラは例によって鬱陶しいボーカルが全開で、ほとんどブルーアイドソウルの味わいは好き嫌いがあるにせよ、サイケおやじは気に入っていますし、無味無臭の音色で奏でる変態フレーズ(?)が十八番のギターも良い感じ♪♪~♪
今となっては二流の人に甘んじているマイク・ピネラも、ここらで再評価が必要なのかもしれません。
ただし、不幸(?)な事に、ラマタムでは美貌の天才ギタリストだったエイプリル・ロートンばかりが注目され、それは今日でも変わらない現実ではありますが、結局バンドがブレイクしきれなかったのも、そのあたりに何かしらの要因が……???
正直に告白すれば、そんな事を書いているサイケおやじにしても、ラマタムのレコードを聴くのは、ほとんどエイプリル・ロートンのプレイが目的なんですよねぇ。
残念ながら、決して真っ当な評価を得たとは言い難いラマタム、そしてエイプリル・ロートンなんですが、残された音源を楽しむ価値は絶対にあると思います。
最後になりましたが、彼女は2枚目のアルバムを出し終えてほどなく演奏活動からはリタイアし、ギターの装飾やペインティングの仕事に携わったとか、既に故人という確証の無い噂まで流れているのは悲しいところ……。
あぁ、エイプリル・ロートンが愛おしい♪♪~♪