■ハンドバッグと外出着 / Rod Stewart (Mercury / 日本フォノグラム)
もちろん異論があろう事は承知しておりますが、個人的にはパラードシンガーとしてのロッド・スチュアートが一番好きです。
例えば本日ご紹介の「ハンドバッグと外出着 / Handbags & Gladrags」は、ピアノがメインのバックを従え、シンミリシミジミと歌いあげるスタイルを貫き、見事なソウルフィーリングを醸し出した1969年の大名唱にして、英国風白人R&Bのひとつの頂点かもしれません。
と書いてしまったのも、実は皆様ご存じのとおり、この「ハンドバッグと外出着 / Handbags & Gladrags」はロッド・スチュアートがレコーディングする以前の1967年末、ストーンズの弟分的存在だった同じ英国のホワイトソウル歌手というクリス・ファーロウによって大ヒットしていた、言わばリバイバル&リメイクなんですが、それはやっぱり名曲不滅の証!
クリス・ファーロウがストリングも入れた分厚い演奏をバックに熱っぽく歌っていた、まさに正統派の仕上がりを目指して成功したのは別に、ロッド・スチュアートは既に述べたとおり、淡々と噛みしめるようなスタイルに徹しています。
まあ、このあたりは、どっちが好きかという問題も含んでいるわけですが、サイケおやじの場合は先にロッド・スチュアートのバージョンを聴いてシビれた前科前歴ゆえに、愛着も一入というわけです。
ちなみに、ここでのピアノ伴奏とアレンジは作者のマイク・ダボで、この人はやはりサイケおやじが大好きなイギリスのバンドだったマンフレッド・マンの二代目ボーカリストして活躍していたのですから、因果は巡るってやつでしょうか。
結局、自分の好みや嗜好には、きっちりそれなりの理由が潜んでいるという事かもしれませんねぇ~♪
尤も、クリス・ファーロウ云々と書いたのは、告白すればロッド・スチュアートが歌う「ハンドバッグと外出着 / Handbags & Gladrags」が気に入っての、つまりは後追い鑑賞だったんですから、額に汗が滲みます。
なにせクリス・ファーロウの幾つかのヒット曲はラジオでしか聴いたことがなく、レコードが欲しくてもリアルタイムではど~しても入手が不可能だった現実への意趣返し!?
そんな風に受け取られても、サイケおやじには言い訳が出来ないです。
と同時に、掲載した私有シングル盤にしても、結局は当時の日本盤でも1750円の収録LP「ロッド・スチュアート・アルバム」が買えなった所為なんですから、若い頃の苦労はなんとやら……、なぁ~て、本当は恨めしいわけですよ。
つまりはロッド・スチュアートのバージョンがあってこそ、クリス・ファーロウのコンプリートコレクションという、なんとも無謀な奥の細道に踏み込んだサイケおやじの、今日はひとつの懺悔でもあります。
ということで、こういう地味~な歌も好きなもんですから、今日でも過小評価されているマイク・ダボという才人に注目して欲しいという願いも含む文章です。
すると驚いた事には、最近になってマイク・ダボの無視され続けてきた音源がCD復刻されたらしく、なにやら紙ジャケット仕様というのは、思わず手が出る商魂に完全降伏!
こうなったら、後はクリス・ファーロウも、お願いしますよっ!
う~ん、今日は何を結論にしたいんだから、自分でも混乱してます。
失礼致しました。