■女の手形 / 北玲子 (DENON)
結論らしきものから述べさせていただければ、「この人」シリーズでご紹介の北玲子も、藤圭子のフォロワーという位置付けは避けられないでしょう。
特に昭和45(1970)年10月に発売された本日掲載のシングル盤のA面曲「女の手形」が、歌詞の要点からして、同年7月に発売されるや忽ちの大ヒットになった藤圭子の「命預けます」を強く想起させれるド演歌になっているんですから、そんなこんなも芸能界特有のプログラムシステムと云えは、それはそのとおりでありましょう。
しかし、ここまでコテコテに仕上がっているのは作詞:かじの真澄&作曲:はら・たくみ、そして編曲:村田晃章というソングライター陣の狙いを完全に飲み込んだとしか思えない北玲子の歌いっぷりの「ふっきれ感」と申しましょうか、エグ味の強い声質と粘っこい節回しは青江三奈と藤圭子の「イイとこ取り」かもしれませんが、サイケおやじとしては、それも立派な北玲子の個性と認めるところです。
ジャケ写からだけでも、ルックスだってイケてる感じですし、テレビや実演ステージには全く接した記憶は無いものの、大いに気になる女性歌手なんですよ、彼女は (^^)
ということで、こ~ゆ~女のド演歌恨み節を聴かせてくれる歌手が最近見当たらないのは……、寂しいですねぇ、正直。
時代的にウケ無いのは分かっているつもりなんですが、だからこそ、やってしまう価値もある気がしていますし、例えキワモノと断じられたとしても、好きな人には好きとしか言えない世界がある以上、その手の昔のレコードを捜し歩いている好事家が大勢存在している現実は、認められるべきと思っているのでした (^^;