■夜の童話 / 江利かおる (テイチク)
有名無実(?)ではありましたが、昭和期には所謂「18禁」という縛りが各所各方面にあり、例えば映画では「成人指定」という、今で云うところの「R」印があったわけですが、もちろん、そんなものでさえ、きっちりと「修正」や「ボカシ」が入っていたのは言わずもがな、だからこそ裏社会から流通する「プルーフィルム」や「裏ビデオ」なぁ~んいうアイテムが堂々と存在していた事は説明不要でありましょう。
それが今では「ネット」の普及により、全てが済崩しになっているのは賛否両論&悲喜こもごも……。
見たいものや知りたい事象に容易く接する事が普通になってみれば、逆に悶々としていた青春の情熱が空回りするか、あるいはストレスを感ずることの無いがゆえの精神衛生上の諸々が議論されかねないと思うわけで…… (^^;
そんなこんなの本日も、例によって持って回った書き出しではありますが、昭和という時代には、だからこそ、エロ映画やエロ本と並んで、エロ写真やエロテープ等々、想像力を刺激してくれるブツが堂々と販売されており、それはレコード業界にも波及していましたから、フェロモン&セクシー歌謡が夥しく制作されていたのも、全ては「正のベクトル」でありました。
で、本日掲載したのは、その典型的な作品のひとつであり、殊更A面収録の「夜の童話」は、まずミナミ早苗が綴った歌詞が全くのエロい芝居台本のト書きと台詞そのものであり、そこに有吉まことが附したメロディは、いしだあゆみ、あるいは奥村チヨが歌ってくれそうな正統派ポップス歌謡ということは、つまり北野ひろしが施したアレンジが和製A&Mサウンドと申しましょうか、ミディアムテンポのオシャレ系ソフトロックな歌謡曲になっているんですから、後は推して知るべし!?
主役たる江利かおるは、当然ながら(?)サイケおやじにとっては「この人」シリーズの歌手ではありますが、ここでは「歌」というよりも、「台詞」主体のエロさ加減は絶対的であり、「節回し」というよりも、「息遣い」「溜息」「喘ぎ声」が全開という流れですから、これをステレオのスピーカーどころか、電蓄プレイヤーでも、音量を絞って聴かざるを得ないのは必定であり、もちろん、ラジオやテレビでのオンエアだって、気まずさは満点でしょうし、放送禁止になっていても不思議ではないと思うんですが、その真相は?
う~ん、「夜の童話」という曲タイトルに偽り無しですよ、これは (^^;
ちなみに前述した「エロテープ」とは、女の「息遣い」や「喘ぎ声」を演出して吹き込んだ音声録音テープで、中には「隠し録り」を強く想起させる作品(?)もありましたからねぇ~~、それを聞きながら、欲情気分に浸るという目的意識が、フェロモン&セクシー歌謡の需要に通じているわけですから、この江利かおるが演じた「夜の童話」が昭和45(1970)年に制作発売されていたとて、それは不思議でも何でもないわけです (^^;
お若い皆様にとっては、なんとも微笑ましいと思うかもしれませんが、リアルタイムじゃ~~、真剣そのものだった事を知識としていただければ、幸いでございます <(_ _)>
ということで、明日からは再び仕事モードに突入という皆様も、今夜ぐらいはリラロックスしていきましょうよ (^^)
享楽は十人十色、だからこそ、好きなものを追求する欲望は尽きせぬのでしょう。
その原動力ひとつが、エロスの探求というのも、人間の生きる術と思うばかりです (^^;)