OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アナログ盤でドゥ~ワップ

2017-06-04 19:15:05 | 歌謡曲
ドゥー・ワップ! トゥナイト c/w イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト / ザ・キングトーンズ (SMS)

またまた最近はアナログ盤の人気が再燃しているらしく、往年の人気作・傑作が塩ビのレコード盤に新品プレスされて普通に売られている現状は、嬉しい思いと同時に気になる疑念(?)を隠せないのがサイケおやじの正直な気持ちです。

それは現在、新しくプレスされている過去の名盤レコードが、その生産過程おいて、どのようなカッティングマスターが用いられているのか?

という疑問でありまして、以下はちょっとマニアックな話になるんですが、塩ビのレコード盤が普通に作られていた時代は、機材はアナログのテープレコーダーが主流であり、まずはそれでスタジオやライブの現場で録られた所謂セッションテープが作られ、これは1960年代頃までは2~6チャンネルが限度でしたから、各々のトラックに入れられた音声をスタジオの現場で再調整、つまりミックスし直し、その中には新規のダビング作業でボーカルや楽器、効果音等々が付け加えられる事も普通に行われつつ、そうして仕上がったのが、オリジナルのマスターテープとなるわけです。

そして、そこから塩ビのレコードをプレスする場合、今度はカッティングマスターと呼ばれる、レコードスタンパーを作るための整音作業を施したテープが作られ、これはもちろん、レコード針で再生される塩ビの円盤が、きちんとリアルタイムのオーディオ機器で再生した時に様々な支障をきたさない事を前提とした必須事項であったわけですから、我々リスナーは必ずしも、歌手や演奏家が直に出していたサウンドを聴いていたわけではありませんし、それは制作側も受け手も自然に納得していた事に他なりません。

というか、そんなこたぁ~、特に問題にもならなかったし、知る必要も無かったのが本当のところでしょう。

ところがCDが普及し、アナログ盤時代の作品がデジタル化されての再発CDを聴いてみると、これがど~しても昔に馴染んだ音の雰囲気とは異なる違和感を覚えてしまう場合も、決して少なくはないわけで、実はそれこそが、スタジオで聴かれていた真実のサウンドなのだっ!

とか云々、メーカー側からの宣伝は、それと同時に言い訳としか思えないというリスナーやファンが大勢存在している事も、また偽りの無い現実でありましょう。

さて、そこで冒頭述べたサイケおやじの疑念とは現在、再プレスされて出回っている新品アナログレコードのカッティングマスターが、本当にリアルタイムで仕上げられたオリジナルのマスターテープから作られているのか?

という点であり、もしかしたらCD時代にデジタル化された、つまり新規に作られたデジタルマスターを使ってのカッティングマスターからスタンパーが作られ、それで塩ビのレコード盤がプレスされているのであれば、当然ながら、往年の味わいは再現されていないのではないか?

という、コアな心配なんですよ……。

これは普通に言われてい事なんですが、昔の音源がCDで復刻された場合、リマスターで音が格段に良くなった!

なぁ~んて事は良くも悪くも、時代の流れの中に浮き上がる進化論みたいなものでしょう。

もちろん、サイケおやじにしても、旧譜のCD復刻に関しては、リマスターについての一喜一憂は常に感じるところであり、アナログ盤で耳に馴染んだ音楽がデジタル化された事により、ある種のスッキリ感で気持良く好きな楽曲や演奏を楽しめる事は否定するばかりではありません。

むしろ、それによって新しい発見や快感に酔いしれる場合が少なくないのです。

ただし、それを全て「良」とする事は必ずしも出来かねるわけで、結局はアナログ盤には、それでしか味わえなかった楽しみがあったという真実に突き当たるという、いやはやなんとも、自己矛盾を感じてしまうんですねぇ……。

さて、そこで本日掲載したのは、我が国を代表するドゥー・ワップ・グループのキングトーンズが結成20周年記念として昭和55(1980)年に出したシングル盤で、収録両面2曲は洋楽ファンには人気が高い同ジャンルの名曲を日本語でカバーしたという優れものなんですが、これがなんとっ!

スタジオでの一発録り、しかもモノラルミックスによるダイレクトカット盤というのが、愕きの傑作!?

こ~したマニアック盤が作られた背景には、皆様ご存じのとおり、当時の我が国で一躍のブームになっていた「ドゥー・ワップ」という黒人音楽のオールディズが、シャネルズというアマチュアから突然に大ブレイクしたグループの人気による注目度の高さと共にあったものですから、大御所のキングトーンズにもその真価が求められていたと思われます。

そして、そうなればプロデュースは玄人趣味の巨匠・大瀧詠一が担当するのは絶対に揺るぎない真実であり、訳詞の一部やアレンジまでやってしまった手際は本物!

ちなみに前述のシャネルズもアマチュア時代、既に大瀧詠一の知遇を得て、一緒にレコーディングもやっていたという関係であれば、それも納得されて然るべきですし、とにかく出来上がったレコードを聴いてみれば、まさにニッポンのドゥー・ワップ、ここにありっ!

確か当時はマスコミでも相当に話題となって、日頃は反発するマニア筋にもウケは良かったという印象ですが、サイケおやじも、これにはKOされましたですねぇ~~♪

特に個人的にはB面に収録されたザ・ファイブ・サテンズのカバー「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト / In The Still Of The Night (夜の静寂に)」が大いに気に入り、聴き狂った前科は消える事が無いように思います。

ところが、これが後にCD化されてみると、ど~してもアナログ盤に刻まれていた雰囲気が再現されていません。

なんか……、薄っぺらな印象が拭いきれず、全くこ~した音源のデジタル復刻の難しさを感じるばかり……。

ですから、後追いでキングトーンズのファンになられた皆様、また音楽が心から好きなリスナーの皆々様には、このシングル盤に収められた両面2曲をお楽しみいただく場合、ぜひともオリジナルのアナログレコードでの鑑賞を強くオススメしたく思う次第であります。

ということで、またまた本日も生意気満点、独り善がりの戯言に終始してしまい、反省もしておりますが、しかしそれでも正直な気持ちが偽れないのはサイケおやじの我儘であり、どうかご容赦お願い致します。

実は本日、久々に街へ出て、新発売されたと思しき復刻&発掘CDや中古のアナログ盤等々、様々なネタを仕入れてしまったんですが、ここまでの思いを文章にしてみたら、なんだかCDをゲットするのが複雑な心境というか、しかし、それもまた悲喜こもごもの楽しみと自分に言い聞かせているのでした。
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2 コメント

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B級、C級レーベル (名無しの権平)
2017-06-05 00:27:53
名の知られないレーベルのCDを聴いていると正しくレコード盤を音源として録音されているものが多々見られます。
当然の如くレコード特有のノイズがそのまま出ますので、あたかもシングル盤を聴いてる錯覚に陥ります。
勿論、個人でレコードからCD-Rにダビングするのは普通の事ですが、レコード会社がそれをするのはチョット…?と思います。
多分当時のマスターが無いのか、手っ取り早く安く付くのか分かりませんが何れにしましても超々レア音源が聴けるのなら大歓迎です。

英国の「スタイラス」さん良く頑張ってますね~♪
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デジタル処理 (奇厳丈)
2017-06-04 21:03:43
ダイレクトカットって音が良くないんですよね。理屈では良いはずなんですが。
デジタルマスターの問題も色々あるようで、デジタルデータをHDに入れるより、半導体メモリにした方がいいとか。
こうなると神秘主義に近いものがあります。
返信する

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