OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

五十嵐夕紀を忘れない

2013-08-29 15:14:52 | 歌謡曲

第一印象 / 五十嵐夕紀 (東芝)

アイドル正統派という括りで語れば、五十嵐夕紀を外すわけにはまいりません。

なにしろ渡辺プロダクションの養成機関だったスクールメイツ出身であり、もちろん同プロ所属として昭和52(1977)年に公式デビューした瞬間から、様々なテレビ番組や雑誌メディアへの登場も多く、可憐なルックスと爽やかなイメージで、忽ち人気を獲得しています。

ところが同時期には、高田みずえ、榊原郁恵、清水由貴子、香坂みゆき、等々の強力なライバルが顔を揃えていたのですから、その現実的な厳しさは想像以上だったと思います。

そして実際、歌手としては相当な枚数の秀逸なレコードを出しながら、大きなヒットを放つことが出来ず、今となっては人気先行の存在であったような気がしています。

しかしそれでも五十嵐夕紀がアイドル正統派とサイケおやじが思っているのは、デビュー当時の16歳から7年後の23歳、日活ロマンポルノ「双子座の女(山城新伍監督)」に主演するという、これ以上無い転身があったからで、つまりはアイドルで芸能界を過ごしていた彼女が、自分自身の存在価値を分かっていたゆえの行動!?

そこにサイケおやじは五十嵐夕紀の素晴らしさを感じてしまうのです。

ただし肝心の映画における彼女は、幾分優しい演出の所為もあるんでしょうが、イマイチ魅力を引き出されないままに……。

もちろん作品そのものは公開前から大きな話題になっていましたし、結果的にヒットしたのですが、五十嵐夕紀がこれ1本だけで成人映画から足を洗ってしまったので、楽しみが勝手に打ち切られた気分は拭いきれません。

それでも「双子座の女」という映画そのものは脚本も密度が高く、有明祥子、朝比奈順子、中尾彬、山田辰夫、たこ八郎、等々の共演者も充実していますので、今年はついにDVD化もされたことから、機会があれば、一度は鑑賞をオススメ致します。

ちなみに、その後の五十嵐夕紀ですが、ロマンポルノに出演という話題性もあって、あちらこちらで再び露出も多く、レコードもそれなりに出していたようですが、やはりパッとしたブレイクが無いまま、フェードアウト……。

う~ん、そんなこんなの芸能界生き残り処方は難しいがゆえに、正統派アイドルは尚更に眩しいのだっ!

そんな苦しいレトリックを用いてしまうほど、五十嵐夕紀は素敵だったというわけです。

ということで、最後になりましたが、掲載のシングル盤は昭和53(1978)年に発売された通算3枚目の隠れ人気作で、特にA面の「第一印象」は作詞:松本隆&作編曲:川口真が十八番の歌謡ポップスが全開♪♪~♪

とにかくイントロから軽快なアップテンポのアレンジが、まさにジャケ写そのまんまのイメージとでも申しましょうか、カラッとしたドラムスとリズムギターが印象的なサウンド作りと覚え易いメロディ展開は、これまた正統派アイドルポップスの典型でしょう。

そしてさらに素晴らしいのが松本隆の綴った歌詞の奥深さで、最初はど~ってことない男が実は自分の好みに合っていたのかもしれない? と自問自答するが如き女心の微妙さをアイドル歌謡に持ち込んだあたりの深淵な企み(?)は、流石!

極言すれば、言葉の端々を微妙に変えることによって大人の演歌の世界にさえなりうる、ほっとけないから面倒みるよ……、云々の「ひもつき」予備軍ソングみたいな感じを受けてしまうのは、例によってサイケおやじの独断と偏見かもしれませんが、でもねぇ~~~♪

五十嵐夕紀には、それも許されるムードが確かに感じられ、ご存じのとおり、翌年にはツッパリ歌謡の「ワル」を出してしまう彼女の予行演習の様でもあります。

あぁ~、アイドルだって人間ですか、齢を重ねる諸行無常は避けられず、ならばどのように過ごすのか、その理想形のひとつが五十嵐夕紀だったのでしょうか。

出し惜しみしない姿勢は尊く、やりつくした潔さがあればこそ、五十嵐夕紀をサイケおやじは忘れません。

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