OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ひっくり返してもバーズはバーズ

2011-03-05 16:18:42 | Byrds

■Turn! Turn! Turn! c/w She Don't Care About Time
                                                / The Byrds
(Columbia / 日本コロムビア)

昭和40年代、日本の洋楽はビートルズが何でも一番という認識は普通でした。しかしファンやリスナーには、それぞれの好みがあったことは言うまでもありません。

実はサイケおやじにしても、昭和40(1960)年秋頃には一端のビートルズファンになっていましたが、それでもエキサイティングでソリッドなギターサウンドのベンチャーズを筆頭にしたエレキインスト物の呪縛からは逃れられませんでした。

そしてもうひとつ、そこへ割り込んできたのが、本日ご紹介のバーズで、なんとも強烈なエレキの主張と気だるくて厚みのあるコーラス&ボーカルの魅力は、忽ちにしてサイケおやじを虜にしたのです。

もちろん、その最初は歴史に残る大ヒットの「Mr. Tambourine Man」でしたが、実は次に出た「All I Really Want To De」をすっ飛ばし、こっちのシングル盤を先に買ったほど「Turn! Turn! Turn!」が好きでしたねぇ~♪

それが昭和41(1966)年のお正月で、もちろん少年にとっては、お年玉の有用な使い道だったわけですが、それにしても当時から物欲煩悩に苦しんでいた自分を決意させるだけの力が、このシングル曲にあったということです。

まずヘヴィなビートを伴ったイントロのエレキギターサウンドは、絶妙の間合いが実に新鮮で、しかも呪術的に持続するリズムギターのリフと淀んだようなボーカル&コーラスが、なかなか魅惑のメロディを歌ってくれるんですから、たまりません。

そして強いロックのビートが全篇を貫く中で、かなり独立したようなベースの蠢きも強い印象となっています。

ご存じのとおり、この「Turn! Turn! Turn!」は所謂フォークの創始者のひとりだったピート・シガーが宗教歌を改作したものと言われていますが、一般的にはフォークソングのスタンダードであり、またジュディ・コリンズの十八番でもあって、なんとそこでバックをやっていたのが、バーズのメンバーであるロジャー・マッギンという因縁も、後に知ってみると味わい深いものがあります。

つまり、このバーズのバージョンは正式レコーディングまでに相当に練り込まれてたんじゃないでしょうか。結果的に全米ヒットチャートではトップに輝く見事なロックヒット!

ただし我国では、どうだったんでしょうかねぇ……。

既に述べたように、当時はビートルズがラジオから流れまくっていた間隙に、これが聴けたサイケおやじは、今もって幸せを感じるほどです。

またB面に収められた「She Don't Care About Time」は、ジーン・クラークの強烈なオリジナルで、現在ではボブ・ディランとビートルズの見事な融合ばかりが語られますが、もちろんリアルタイムのサイケおやじはそうした事に気がつく余裕もありません。しかしイントロから凄い存在感を示すエレキギターは間奏でも素敵なフレーズをキメまくり♪♪~♪ 加えてドライヴするベース&ドラムスは、まさに早すぎたハードロック感覚!

ちなみに当時のバーズはロジャー・マッギン(vo,g)、ディヴィッド・クロスビー(vo,g)、ジーク・クラーク(vo.g,hca)、クリス・ヒルマン(b,vo)、マイク・クラーク(ds,vo) という5人組でしたが、この演奏が彼等だけで仕上げられていたかは諸説あるようです。

しかしバーズにだけ特徴的なコーラスというか、そのユニゾンボーカルの味わいは、例えばビートルズあたりのスッキリしたフィーリングとは決定的に異なる、何かしら心地良い淀みがあって、それは未だ少年時代のサイケおやじさえも心底、シビれさせたというわけです。

そして告白すると、既に述べたようにB面曲でありながら、「She Don't Care About Time」を聴いた回数の方が確かに多いんですよねぇ~~♪

参考までに書いておくと、その頃のシングル盤は片面ばっかり聴いていると「擦り減り」が早い!? なぁ~んていう教訓もあったんですが、そんなの関係ねぇ~!

好きな歌や演奏を納得するまで聴くために、乏しい小遣いからレコードを買う意義はそこにあるんですからっ!

ということで、これは典型的なフォークロックのシングル盤なんですが、そうは言っても、例えばビートルズの「And I Love Her」やピーター&ゴードンの「愛なき世界」あたりのポップス風味優先主義では決してなく、あくまでもロックがメインになっていると思います。

そこには12弦のエレキと言われる強靭なギターサウンドやシンプルでありながら強いビートのドラムス、そして間を取り持つドライヴしまくったベース! そういう骨組を基本に展開される曇り気味のコーラスワーク!

これが三位一体というか、非常にバランス良く出来ていたのが、バーズにして唯一無二の個性でした。

そしてサイケおやじは、ビートルズよりもバーズが好きになったほどです。

しかしご存じのとおり、そこで重要な部分を支えていたジーク・クラークとディヴィッド・クロスビーが相次いでグループを去った時、素晴らしい時代は終焉に向かったのです。

その意味でリアルな全盛期は短かったバーズではありますが、残された初期~中期の楽曲は何時までも輝きを失うことは無いでしょう。

今日ではカントリーロック期の評価ばかりが先行している感も強いバーズではありますが、皆様にはフォークロックの人気バンドだった頃の歌をぜひともご堪能いただきたく、お願い申し上げる次第です。

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