OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジョニーは天国へ行った…

2014-07-19 15:09:08 | Winter Family

■Nothin' But The Blues / Johnny Winter (Blue Sky)

 A-1 Tired Of Tryin'
 A-2 TV Mama
 A-3 Sweet Love And Evil Women
 A-4 Everybody's Blues
 A-5 Drinkin' Blues
 B-1 Mad Blues
 B-2 It Was Rainin'
 B-3 Bladie Mae
 B-4 Walking Thru The Park

ジョニー・ウィンターが天国へ召されました。

その一生は例え何であろうとも、ブルースに捧げられたものと思うばかりですから、名盤傑作が夥しい中にあって、あえてサイケおやじは本日掲載のアルバムを衷心からの追悼の意を表し、朝一番に鳴らしました。

皆様ご存じのとおり、ジョニー・ウィンターは拭いきれないブルースの魂を持っていたはずで、しかしそれが芸能界というか、ミュージックビジネスの中では己が白人である事も含めて、時代の流れの中で作られたレコードではブルースロックやハードロック、そしてスワンプロックやロッキンソウルに寄っては離れる事の繰り返しがあり、それはファンやリスナーが一番に求める「ジョニー・ウィンターのブルース&ブルースギター」が時には遠くに置き去りにされる現実……。

しかしライプの現場では、堂々のブルース&ブルースロック、そしてエグさ満点のR&RやR&Bを演じ続けていたのですから、そのギャップがジョニー・ウィンターを何時までもスタアとして崇める要因のひとつにしていたと言えば、賛否両論どころか、各方面からの顰蹙罵倒は必至と思います。

それでも実際、1970年代のレコーディングでは圧倒的にライプ音源が素晴らしいのは否定出来ないでしょう。

さて、そんな最中の1977年、いよいよ発売されたのが本日掲載のLPで、結論から言えばブルース界の大御所だったマディ・ウォーターズのバックバンドと共演し、さらには御大自らも特参しているのですから、これでダメなら田舎へ帰る他は無し!?

実はこの背景には、ジョニー・ウィンターが自ら心血を注いだ仕事として、尊敬するマディ・ウォーターズとのコラポレーションがあり、それは前年に作られたマディ・ウォーターズが古巣のチェスレコードからジョニー・ウィンターが契約していたブルー・スカイ・レーベルへの移籍第一弾アルバム「ハード・アゲイン」によってスタートしたわけですが、これが会心の大傑作!

もちろんプロデュースはマディ・ウォーターズの大ファンを公言していたジョニー・ウィンターであり、マディ・ウォーターズにしてみれば、演じたのは自らが常に披露してきたクラシックスという自負もあったと思われますが、おそらくは白人相手に聞かせるにはジョニー・ウィンターの極めてブルース寄りのロックっぽさが良い方向へ働いたのでしょう。

件のLPは、確かグラミー賞も獲得したと記憶していますが、そこでジョニー・ウィンターが自らもコテコテのブルースレコードを作れる環境を得たのは、これまた最高の結果だったんじゃ~ないでしょうか。

既に述べたとおり、大成功したマディ・ウォーターズのセッションに参加していたメンバーを中心に集められたのがジェームズ・コットン(hmc)、ボブ・マーゴリン(g)、パイントップ・パーキンズ(p)、チャールズ・カルミーズ(b)、ウィリー・スミス(ds) という面々で、彼等は全て、当時のマディ・ウォーターズやジェームズ・コットンのバックバンドではレギュラーでしたから、その迫真の演奏は言う事無し!

ですからジョニー・ウィンターも安心(?)して、忌憚ない歌と演奏に没頭出来たようで、アルバム全篇が本物のブルースにどっぷりですよ♪♪~♪

しかも驚いた事には、オーラスの「Walking Thru The Park」がマディ・ウォーターズの作品という以外、他の全てがジョニー・ウィンターのオリジナル曲なんですから、「如何にも」の常套手段が用いられながらも、ブルースがブルースである以上、それは本物と納得させられるんじゃ~ないでしょうか?

もちろん、これがブルースであるか、否かの論争は避けられませんが、少なくとも本気度の高さは圧巻!

まずはマディ・ウォーターズが所縁のシカゴブルース伝来の「音」とでも申しましょうか、ロックぽさが排除されたドラムスの鳴り方、ハーモニカと言うよりもブルースハープというのが正解と痛感されるジェームス・コットンのプレイ、そしてバンド全体の意思の統一感が生半可なブルースロックとは一線を画する密度の濃さだと思います。

そしてそれゆえに、場合によってはジョニー・ウィンターよりも目立ってしまうボブ・マーゴリンのギターや堅実ながらエグ味の効いたパイントップ・パーキンズのピアノも素晴らしく、これが日常の中のブルースの本質ってものかもしれません。

しかし、流石はジョニー・ウィンター!

何時もの暑苦しいボーカルや弾きまくりのギターは抑えめにしつつ、それでも「Everybody's Blues」における艶やかなエレクトリックプレイ、グッと抉り込んでくるようなスライドが見事過ぎる「Sweet Love And Evil Women」、さらにはジャケ写でご覧になれる金属ボディのアコースティックギターを用いて聞かせる「TV Mama」や「Bladie Mae」は、ジョニー・ウィンターならでは「鬼のギター」がたっぷり♪♪~♪

また、気になるマディ・ウォーターズとの共演トラックは「Walking Thru The Park」の1曲だけですが、御大が歌い、ジョニー・ウィンターがギターを弾いているというだけで震えてしまうほどの期待が見事に実現されてみれば、アルバム全篇のブルース天国が最高の形で締め括られる快感に酔い痴れてしまうのです。

ちなみにマディ・ウォーターズ名義としての共演制作LPは前述した「ハード・アゲイン」の他に「アイム・レディ」「ミシシッピ・ライプ」「キング・ビー」が同じくブルー・スカイ・レーベルから出ていますし、中には現在、所謂デラックスエディション版CDとして鋭意復刻された作品もありますので、興味を抱かれた皆様であれば、ぜひとも聴いてみて下さいませ。

そしてジョニー・ウィンターは以降、特に1980年代に入ると何か「ふっ切れた」ようにブルース色の強いレコードを出すようになったのも、この「ナッシン・バット・ザ・ブルース」を作れた事が大きいように思います。

天才ギタリストとして、そのプレイはロックという白人音楽の中では殊更注目され、その圧巻のテクニックとフィーリングの凄さは衆目の一致するところですが、冒頭に述べたとおり、本人がどんなにロックやソウルに接近したとしてもファンやリスナーがブルースを求めて続けていたのは、まさに幸せな結末というべきでしょうか……。

あぁ、ぶる~す、そしてジョニー・ウィンターよ、永遠なれ!

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-07-21 09:35:55
個人的にはアンドのライブが最高でした。合掌。
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ジョニーの叫び (サイケおやじ)
2014-07-21 12:30:13
☆Unknown様
コメント、ありがとうございます。

あのライブ盤が嫌いなジョニー信者は存在しないと思います。

合掌。
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