■両国橋 / 松平純子 (キングレコード)
BS&Tやシカゴが本格的に火をつけたブラスロックが、忽ちに世界中を虜にした大ブームは、今や歴史でしょう。
そしてもちろん、その影響は各種大衆音楽の流行へと反映され、例えば我国では歌謡曲への逸早い転用がモロに顕著だった事もまた、歴史と言えば大袈裟でしょうか?
しかもその頃は黒人大衆音楽が所謂ニューソウルの上昇期でもありましたから、両者の折衷が試行され、ハッとするほど素敵なレコードがどっさり出ていたんですねぇ~~♪
本日掲載のシングル盤A面曲「両国橋」も、全くそのひとつとして、今や幻の人気作の認定を受けるほどなんですが、歌っているのが、これまた美人女優にして歌手活動にも真剣だった松平純子なんですから、たまりません♪♪~♪
あぁ~、このジャケ写のポートレイトだけでも、グッと惹きつけられる事、請け合いのブツだと思いますが、肝心の中身のソウルグルーヴも侮れません。
何しろイントロからジワッと効いてくる甘いギターとメロウなエレピが彩るのは、実にクールな曲メロであって、しかも分厚いホーンセクションが入って以降の躍動的なサビからコーダー部分への上手い流れまで、これほどアレンジ主導の素敵な歌謡曲もありませんよねぇ~♪
何故かと言えば、驚くなかれ作曲が吉田拓郎に作詞が喜多条忠なぁ~んていう、あまりにもベタな歌謡フォークが、その正体なんですから!?!
おそらく真っ当(?)に扱うのであれば、アコースティックギターやライトタッチのドラミングを使った疑似ウエストコースト風になるであろうところを、ここまでブラスロック&ファンキーグルーヴィンに仕立て上げたアレンジは村岡健!
いゃ~~、流石! 流石!
と、何度でも唸ってしまいますよっ!
実は皆様ご存じのとおり、この「両国橋」は由紀さおりの競作バージョンがヒットしていたわけですが、それほどサイケおやじは、絶対にこっちが好きなんです♪♪~♪
そして言わずもがなに素敵なのが、せつない歌詞を必要以上に泣かずに表現していく松平純子の歌い回しであって、極言すれば、女優的歌唱の真骨頂なのかもしれません。
また、それが躍動的なペース&ドラムスのシンコペイションと合っているように思えるのは、サイケおやじの贔屓の引き倒しだけとは言えないんじゃ~なかろうかと。
まあ、そんなふうに思い続けて、これが発売された昭和50(1975)年3月から、幾年月……。
今もって、本当に好きなレコードの1枚になっている次第です。
ということで、結局ブラスロックの汎用性の高さは、それが雑食性であればこその誕生であったところに由縁しているのかもしれません。
そして昭和歌謡曲の「なんでもあり」な性質を鑑みれば、現代の耳にして、さらに素敵に聞こえるレコードはゴマンとあるはずです。
サイケおやじは死ぬまで、そんな探索はやっていきたいなぁ~、というのが心底せつなる願いなのでした。