OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ロリンズはライブの王様

2008-08-31 14:35:07 | Jazz

昨日に続いて仕入れた新ネタのご紹介です――

Tokyo 1963 / Sonny Rollins (RLR)

モダンジャズ切ってのアドリブ名人といえば、ソニー・ロリンズは外せません。しかしレコードの中には録音年代毎に様々なスタイルに変質した演奏が残されていますので、それだけ聴いていると賛否両論でしょうが、何時、如何なる時でも、実際のライブの場では普遍の「ロリンズ節」を堪能させてくれます。

ですからライブレコーディングの未発表物は常に大歓迎♪ 本日の1枚は、なんと1963年の来日公演をメインに珍しいボーナスもついた発掘CDの優れものです。

Tokyo 1963 part-1 (1963年9月19日、丸の内ホテルでのライブ録音)
 01 Moritat (Mack The Knife)
 02 The Way You Look Toneght
 03 When I Fall In Love
 04 Oleo
 メンバーはソニー・ロリンズ(ts)、Reshid Kamal Ali(tp)、ポール・ブレイ(p)、ヘンリー・グライムス(b)、ロイ・マッカーディ(ds)、そしてトラック「02」と「03」にはベティ・カーター(vo) が加わっています。
 演奏はそのボーカル曲を除いては何れも20分以上の長丁場ですが、メンバーは全力疾走で気持ち良い限り! お馴染みの「Moritat」はソニー・ロリンズの爆発的でメロディを大切にしたアドリブが凄すぎます。十八番のモールス信号も冴えわたりですし、年代的には相当フリーに傾斜していた時期とはいえ、豪快にして今、どこを吹いているか分かるアドリブの天才性は圧巻でしょう。ちなみに相方の Reshid Kamal Ali はドン・チェリー(tp) の代用品という感じもしますが、出し惜しみしない熱演で、特にソニー・ロリンズとの絡みでは必死さが伝わってきて好感が持てます。
 またリズム隊の充実度も素晴らしく、過激な若気の至りというポール・プレイ、重量感あふれるヘンリー・グライムス、暴れまくりのロイ・マッカーディという布陣は背水も何もあったもんじゃありません。
 そのあたりは「Oleo」でさらに激烈となり、バンドの暴走が止まりません。Reshid Kamal Ali も新主流派というか、かなり基本に忠実なプレイも聴かせてくれますし、リズム隊が呆れるほどに暴れますから、それに引っぱられて過激な姿勢を貫いていくのに必死という感じでしょうか。けっこうニンマリさせられます。
 またポール・プレイが実に素晴らしく、流石の輝きですよっ♪ 後年の妙に気取った幻想性よりも、私はこういうノリが好みです。
 そして肝心のソニー・ロリンズは、これまた激ヤバというか、満を持して登場した瞬間から、あたりはもう修羅場のモダンジャズ天国! この時期のソニー・ロリンズは些か評価されないのが一般的ですが、とんでもない話だったと自己反省するほどです。あぁ、このドライブ感、瞬発力満点のフレーズ、豪快にしてハードな音色、やっぱり無敵の天才だと思いますし、バンド全体の纏まりも強烈ですねっ♪
 気になるベティ・カーターは可もなし不可もなしというか、個人的には……。このあたりは十人十色ということで、ご容赦下さい。
 ちなみに録音状態は各楽器のバランスも良好なので普通に聴けるレベルです。

Tokyo 1963 part-2 (同)
 05 On A Slow Boat To China
 メンバーはソニー・ロリンズ(ts) 以下、伏見哲夫(tp)、宮沢昭(ts)、前田憲男(p)、滝本達郎(b)、猪俣猛(ds) という日本人ミュージシャンが共演したジャムセッションです。曲はお馴染み、ソニー・ロリンズの十八番というのが嬉しいですね。
 もちろん我が国の精鋭達も精一杯の熱演ながら、ソニー・ロリンズと宮沢昭のスタイルが音色も含めて酷似しているので、どっちがどっちなのか? これにはソニー・ロリンズも苦笑いだったかもしれませんね。後半ではちょいとしたバトルもありますから、演奏時間の短さが残念というか、しかしそれは贅沢というもんでしょうね♪

Max Roach Quintet (1956年10月10日、カフェボヘミアでのライブ録音)
 06 Valse Hot (incomplete)
 07 I Get A Kick Out Of You
 これはボーナストラックで、ラジオ放送からのエアチェックですが、音質はなかなか良好♪ メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)、レイ・ブライアント(p)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds) という今では夢のレギュラーバンドですから、熱い演奏は保証付きです。
 残念ながら「Valse Hot」は途中からの収録ですが、ワルツタイムで炸裂するマックス・ローチのドラムソロがポリリズムで無限のジャズビートを発散させていく様は圧巻でしょう。
 そして「I Get A Kick Out Of You」は激しいアップテンポで突進するバンドの勢い、そして怖いほどのテンションの高さに圧倒されます。なにしろケニー・ドーハムは、一般的なイブシ銀のイメージも何処へやらという早吹きを披露していますし、ソニー・ロリンズは緩急自在にウネリまくりなんですねぇ~。正直、全く和みの無い演奏なんですが、それにしてもリズム隊の激烈さにはドギモを抜かれます。ヤケクソの空中分解寸前というか!?

ということで、全曲が未発表初出らしい発掘盤です。音質も時代を考慮すれば良好ですし、当然モノラル仕様ながら、ボーナスのマックス・ローチのパートではドラムスの音が生々しく録れていて驚かされるほどです。

まさに目からウロコという嬉しいアルバムでした。

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4 コメント

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Unknown (bassclef)
2008-08-31 19:20:15
サイケおやじさん、こんにちわ。ブログの再会~おめでとうございす。以前に67camperさんのところで時々、ご一緒させてもらったことがあるbassclefと申します。サイケおやじさんのブログは以前から、これはもう・・・連日の更新とその内容の緻密さ、全曲解説でのヴォリュームに恐れおののき、ついついコメントを出しそびれておりました(笑)とても人間技とは思えるエネルギーです。

今回はロリンズの、しかも聴いたことのない音源ということで、つい(笑)
1963年のロリンズ音源ですかっ!これは凄い。でも未入手です。サイケさんの詳細な描写で、メンツの演奏の感じとか音質まで想像でき、これはぜひ入手せねば・・・と決意しております。
どうもThanksです!
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こんばんは (bob)
2008-09-01 00:15:22
63年の来日音源は非常に興味ありますね。

しかし、丸の内ホテルというのは…。
この年の来日アーティストはたしかエリントン、モンク等の大物続き、翌64年には大物ジャズメンの来日ラッシュを迎え、日本のファンもいよいよ本場のジャズに接し始めた時代だったのでしょうね。

モヒカン・ヘアーのルックス同様、その演奏にもさぞや度キモを抜かれたことと想像します。
宮沢昭のスタイルが酷似…云々のクダリ、興味津々です♪
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ジャズはその場の雰囲気 (サイケおやじ)
2008-09-01 15:27:06
☆bassclef様
ここでは、はじめまして♪
コメントありがとうございます。

私は一応、聴きながら、その場の雰囲気で一気に書いています。
そしてプログ掲載直前に、ちょっと軽く読み直していますが、ジャズ物は第一印象が大切ということで、ノリを重視の「take-1」を使うことが多いのでした♪

今後とも、よろしくお願い致します。
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和製ロリンズ (サイケおやじ)
2008-09-01 15:31:41
☆bob様
毎度、コメントありがとうございます。

当時のホテルは、例えば品川プリンスでもそうですが、大きな宴会場があったはずで、丸の内ホテルもそうだったと思います。

それと当時はパッケージツアーというか、メインの出演者に加えて前座がついていましたからねぇ。ロリンズの出番は1時間ぐらいだったかもしれません。

宮沢昭はモカンボセッションの頃から和製ロリンズでしたが、それを時代に沿って追いかけていたところは流石だと思います。ここでも本当にクリソツですよ♪
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