OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

モンキーズの素敵なデイドリーム

2009-05-02 11:42:54 | Pops

デイドリーム / The Monkees (Colgems / 日本ビクター)

モンキーズは1960年代ロックとアメリカ音楽産業の関係を象徴するバンドでした。

なんて硬い書き出しなんか不要なほど、そのポップなセンスとアイドル性は飛びぬけていましたから、我が国でもビートルズに迫る大人気だった時期がありました。

皆様ご存じのとおり、モンキーズはアメリカの音楽業界が作りだしたアイドルバンドであり、オーディションで集めた4人のメンバーに職業作家の書いた優れた楽曲を与え、そうやって発売したレコードの録音はスタジオミュージシャンによるものでしたから、人気が出るのは当たり前田のクラッカー!

しかもデビューに合わせて30分のテレビショウ的な連続番組までも毎週の放映という、完璧なプロジェクトの成功例でもありました。

まあ、今となっては募集人員4名に対して430人以上の応募があった狭き門も、実は既にメンバーが決まっていたとか、初期のテレビショウや巡業公演は「口パク」だったとか、メンバーの自我と制作者側の対立が深刻化していたとか、様々に裏話がバラされているようですが、リアルタイムではそんな事は知る由も無く、ただただ、素敵な歌と演奏、そしてメンバーの豊かなタレント性にアメリカへの憧れが重なって、それは夢中にさせられた我が国のヤングが大勢いたのではないでしょうか?

もちろんサイケおやじも、そのひとりでした。

特に昭和42(1967)年10月6日の金曜日、夜の7時からTBSで「ザ・モンキーズ」の放送が始まってからは、毎週が待ち遠しいお楽しみになりました。ちなみに、この同じ週の日曜日、つまり10月1日からは、あのウルトラセブンが始まっていたんですねぇ~♪ まさにサイケおやじにとっては黄金の日々でありましたよ。

で、そのモンキーズのメンバーはデイビー・ジョーンズ(vo,per)、マイク・ネスミス(g,b,vo)、ピーター・トーク(g,key,b,vo)、ミッキー・ドレンツ(vo,ds) ですが、デイビーとミッキーは子役として、既に芸能界の一部では知られた存在でした。またピーター・トークは今ではスティーヴン・スティルスの旧友としても有名ですが、当時は売れないフォークシンガー!? しかしマイク・ネスミスは別な芸名でレコードも出していた実力派です。

そういう彼等が、テレビ画面の中では徹底的にオチャラケを演じ、そして「口ぱく」で歌う姿は、私よりも年長の本格的なロックファンからすれば噴飯物だったかもしれませんが、少なくともそこで作られていた夢と希望は、確実に日本の少年少女を楽しませていたのです。

そしてサイケおやじは、その番組から流れてくるモンキーズの楽曲の素晴らしさにシビレ、しかしそれとは裏腹なモンキーズのテキトーなお笑いには??? 当時はそのギャップに不可思議な気持ちになっていたのも、また事実です。なにしろ舞台裏を知らなかったのですから……。

さて、そんな中で、確かテレビ放送が始まってから直ぐに発売されたのが、本日ご紹介のシングル盤です。

実はテレビ番組そのものは、既にアメリカでは1年早い1966年9月から放送が始まっており、日本での放送開始時には本国での打ち切りが決まっていたという事情から、はっきり言えば流行遅れだったわけですが、このシングル盤に限ってはピカピカの新曲でしたから、日米ともに大ヒット♪♪~♪

穏かで心弾む素敵なメロディ、子供っぽいデイビーのボーカルと爽やかで懐かしいジャズっぽいホーンアンサンブル、ピアノやストリングを効果的に使った完璧なアレンジが実に秀逸で、これがヒットしなかったらポップスの神様が怒るであろう名曲名演だと思います。もちろんサイケおやじは、聴いた瞬間から買わずにはいられない気分にどっぷり♪♪~♪

この「デイドリーム / Daydream Believer」は、モンキーズ後期としては完成度の高いアルバムとなった「The Birds, The Bees & The Monkees」にも収録されていますが、こちらはシングルバージョンとして様々に異なった楽しみがありますから要注意! ちなみに作曲したのは元キングストントリオのジョン・スチュアートです。

またそれに関する真相として、前述のアルバムはメンバーがそれぞれにお気に入りの曲をソロで歌ったトラックの寄せ集め! つまりメンバー全員が揃って作られたわけではなく、演奏のほとんどでスタジオミュージシャンが起用されています。

ですから日本盤シングルのジャケットに、わざわざ「デイビーの歌う」と記載されたのも無理からん事情なんですが、それを当時のファンは、グループでは一番人気だったデイビー・ジョーンズゆえの事と、良い解釈をしていたのではないでしょうか? 実際、このシングル盤のジャケット裏には「デイビーの素敵なカラーポートレイト」が付いていると、これもわざわざウリにしていたほどです。

ということで、今となっては知れば知るほどに味わい深いグループだったのが、モンキーズでした。

初期の完璧に作り上げられた虚像と素晴らしい楽曲群、自分達で演奏して結果的にヘタレを演じてしまった中期、そして開き直ったようなポップな感覚とサイケロックの上手すぎる融合が全く評価されていない後期と、それぞれに素晴らしいアルバムやシングル曲は、やはり大衆音楽の宝石だと思います。

彼等の不幸のひとつとして、メンバーのキャラクターが音楽的には全く相手にされていないという事実が打ち消せません。まあ、マイク・ネスミスがそれなりに認められてるぐらいでしょう。

またテレビの「ザ・モンキーズ」が我が国でヒットし、彼等の人気が急上昇したのは、その吹き替えがメンバーのキャラクターに合致していたからかもしれません。残念ながら今となっては誰が演じていたのか、私には分からなくなっていますが、そういえばかなり以前にビデオが出ていましたですね。現在のDVD化は?

それが気になるのは、以前に再放送された時に気がついたのですが、初期に制作されたコントのバックにモンキーズ最新の歌と演奏が付けられていたという、リアルタイムでは有り得ない事態があるからです。これは1年遅れの放送だった我が国だけの稚気だったのでしょうか?

最後になりましたが、この「デイドリーム」は素敵な曲ですからカバーバージョンも多く、またモンキーズのバージョンは度々、リバイバルヒットしていますから、ある日突然に聴きたくなってシングル盤を取り出してしまいます。で、そんな1970年代のある日、サイケおやじがこの45回転盤のセンターレーベルをふっと見ると、そこには「Arranged and Conducted by Shorty Rogers」の文字が!

もちろん西海岸ジャズの人気トランペッターにしてアレンジャーとしても優秀な、あのショーティ・ロジャースが、この曲の要だったんですねぇ~~♪ 当時の私はそうしたウエストコーストジャズに熱中していた事もあり、感動に震えた記憶は今も鮮明です。

ちなみにB面の「Goin' Down」も、やはりショーティ・ロジャーズが手掛けた、モンキーズというよりもミッキー・ドレンツ畢生の名演! ファンキーでロックな演奏と歌は、そういえばテレビショウでも時折演じてくれたミッキー十八番のジェームス・ブラウンの物真似ステップが蘇ってくるほどです。

あぁ、ますます味わい深いモンキーズ! なんかコンプリートで集めたい心境です。

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