■007/カジノ・ロワイヤル
日本語吹替版初収録スペシャル・エディション
(MGM / Field Works / ナイル大商店=BD)
何かと「気が多い」サイケおやじですから、例えば好きな「洋画ベストテン」なぁ~んて企画があったとしても、それを選ぶのは、その日の気分次第?
―― ではありますが、しかし、何時でも必ずや選んでしまうのが、1967年4月に封切公開された「007/カジノ・ロワイヤル」でして、これはもちろん、英国諜報部員・007号のジェームズ・ボンドが活躍するスパイ活劇ではありますが、2006年に公開されたダニエル・クレイグ主演の「カジノ・ロワイヤル」とは原作を同じくするも、全く別物の作品であり、その内容は所謂パロディ&コメディ映画という評価があるにせよ、決して安直な仕上がりではなく、むしろ当時の文化を象徴していたポップサイケにして、キッチュで豪華絢爛な演出と画面構成の美的センスは抜群ですし、何よりも豪勢な出演者の名演&快・怪演にはシビレるばかり (^^♪
極言すれば、支離滅裂でありながら、好きな人には好き♪♪~♪
―― としか言い様が無い映画であり、しかも、その制作過程や裏話を追々に知れば知るほどに愛着が増してしまうという、ある意味じゃ~、パラノイア的な魅力さえ溢れている傑作だと、サイケおやじは思っております (^^)
それは皆様ご存じのとおり、007号の物語はイアン・フレミングが書いた最初の冒険譚「カジノ・ロワイヤル」が1953年に出版されたところから世に知られ、1955年にはグレゴリー・ラトフとマイケル・ギャリソンの2人がハリウッドでの映画化権を取得していたのですが、1960年にグレゴリー・ラトフが急逝した事から、その権利がプロデューサーのチャールズ・フェルドマンに譲渡され、企画が縺れ始めたと云われています。
そして決定的な出来事となったのが、1963年にイオン・プロが制作し、ショーン・コネリーが主演した「007 / ドクタ・ノー」が公開されるや忽ちのメガヒット!
そのアオリを受けた前述チャールズ・フェルドマンは、とにかくも自らの企画にもショーン・コネリーの起用を目論見ながら、当然、それは頓挫……。
しかし、コロムビア・ピクチャーズからの出資は取り付けていた事から、それじゃ~シリアスなアクション路線よりは、オールスタアキャストによるパロディ作品へと方針を転換し、ピーター・セラーズ、オーソン・ウェルズ、デヴィッド・ニーヴン、ウディ・アレン、デボラ・カー、ジャクリーン・ビセット、更には元祖ボンドガールのウルスラ・アンドレスまでもひっぱり出し、ジョセフ・マクグラスを監督に撮影をスタートさせたのですが……、またまた問題が発生!?
それはオールスタアキャストによる弊害だったのかもしれませんが、とにかく出演者が自己中心的な演技演出を要求し、そんな我儘からピーター・セラーズとオーソン・ウェルズの確執もあり、監督のジョセフ・マクグラスが降板!?
そこで大御所のジョン・ヒューストン監督が急遽招かれながら、やはり持ち前(?)の凝性からでしょうか、どんどん撮影期間は延長され、スタッフを呆れさせた結果として、これまた降板……!?
そこで収拾策というか、出演キャスト&シーン毎に複数の監督を起用する事になったらしく、ここにロバート・パリッシュ、ケン・ヒューズ、ヴァル・ゲストが招集され、それに伴って場当たり的とも思える有名俳優も次々に参加!?!
劇中にはウィリアム・ホールデン、ピター・オトゥール、ジャン・ポール・ベルモンド、ジョアンナ・ペティット、ダリア・ラヴィ等々が顔を見せていますが、中には撮影に参加していながら、全く出番がカットされたらしいシャーリー・マクレーンまでもっ!?!
ですから、製作費も撮影期間も膨張を続けていたのは言わずもがな、参加したスタッフも夥しく、脚本家も十数人は去来したというのですから、もしも、これがコケたら……!?!
―― という興行関係者の心配とは真逆のヒット作となった歴史も語り草の人気作というわけです。
で、肝心の物語は世界各国の諜報部員が裏社会の秘密組織・スメルシュによって次々に消されている実情から、特にイギリス、フランス、アメリカ、そしてロシアの担当幹部が集会し、その対策として今は現役を引退している先代ジェームズ・ボンド=デヴィッド・ニーヴンにスメルシュ打倒を依頼するという発端から、前述したスタア俳優が各々個性的な登場人物をパロディ感覚満点に演じ、加えて「007映画」では「お約束」の所謂ボンドガールが大挙出演♪♪~♪
それはジェームズ・ボンドと伝説の女スパイとして有名過ぎるマタ・ハリの間に生まれたマタ・ボンド=ジョアンナ・ペティットはもちろん、物語展開として複数の 007号を登場させる流れから、ウルスラ・アンドレスが「女 007」という意味不明の演出があったり、大勢登場する敵方スメルシュの女工作員の全てが、ちょい役でありながら、如何にも1960年代どっぷりの美女ばっかり (^^♪
正直、不肖サイケおやじは、そんな美女だらけの画面を眺めているだけで喜んでしまうわけですが、当然ながらスパイアクションを標榜している映画ですから、大爆発シーンやメカニックでスパイ的な大・小道具が次々に用いられるという楽しさもテンコ盛り♪♪~♪
しかも、そのほとんどが現在の視点からは絶妙のアナログ感覚に満ちているんですから、たまりません (^^♪
また、バート・ハカラックが担当したサントラ音源も最高に素敵なんですよねぇ~♪
それと前述したとおり、監督が5人も入れ替わりで起用されながら、映像の統一感も驚異的な仕上がりで物語展開に違和感がありません。
実際、そのあたりは皆様に鑑賞していただく他はございませんが、この映画は、その特殊とも思えるパロディ感覚故に、劇中のセリフが普通の英語だけじゃ~表現されていないらしく、だからこそ字幕鑑賞よりは、意訳も含んだ吹替版に面白味があるんじゃ~ないでしょうか?
告白すれば、サイケおやじが最初に件の「007/カジノ・ロワイヤル」に接したのは、日本テレビから昭和47(1972)年に放送された「水曜ロードショー」における吹替版だったこともあり、後に家庭用ビデオが普及した時に出回っていたビデオソフトが字幕版だけという現実から、ど~にも最初にシビレた吹替版の面白さには及ばない肩透かし……。
そのあたりは以降、数次テレビ放映された放送局別の吹替版でも楽しめたとはいえ、ビデオソフトそのもはDVD時代になっても改善されず、それが今般、よ~やく納得の仕様でブルーレイ化されたのが、ご紹介のブツというわけです。
なにしろ、ここには前述した「水曜ロードショー」版に加え、昭和51(1976)年に放送された「土曜映画劇場(NET)」版、そして数年前に制作された配信版という3本の吹替音声が収録され、当然ながらキャスト各々の声優と吹替台本も異なっていますから、楽しみは大いに増幅されていますよ (^^♪
また、収録特典としては――
●ボンド研究家スティーヴン・ジェイ・ルービンとジョン・コークによる
オーディオコメンタリー (字幕版)
●メイキング・オブ「カジノロワイヤル」5篇
●オリジナル劇場予告編
―― というお楽しみも入っております。
ということで、これこそは待ちに待っていたというファンも多いブツかと思いますが、ど~やらネット通販で購入するのが早道らしいですよ。
実際、サイケおやじも、そ~やって入手しておりますので (^^♪
いゃ~~、やっぱり1960年代後半のポップサイケ期こそは自分の好みにジャストミートしているという、その真理真相の証拠物件が「007/カジノ・ロワイヤル」であります。
そして賛同いただければ、幸いでございます <(_ _)>
6年生 当時 欧米では どんなスターが活躍
していたのか という顔見世映画として楽しめます。
真面目なボンドシリーズのファンには怒られるかも
しれませんが、 「ハリウッド玉手箱」1944
と同様に、そういうスター顔見世映画として
たのしみましょう。33
コメント、感謝です。
デボラ・カーやオーソン・ウェルズの常軌を逸した演技は自らのイメージを覆した感もありますが……。
今となっては楽しさしかありませんよね。
それも俳優としての矜持と思うばかりです。