OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

いろいろとジョニー・エンジェルから

2011-09-20 16:20:49 | Pops

Johnny Angel / Shelley Fabares (Colpix / 日本ビクター)

我国のポップス系歌手がカパーした洋楽曲の中でも、特に知られているのが本日ご紹介の「Johnny Angel」じゃないでしょうか。

とにかくザ・ピーナツや伊東ゆかり等々、テレビの歌番組では「お約束」のように「Johnny Angel」を披露する場面は、今でも記憶から消せるものではありませんし、オールディズ系の懐メロ番組でも、これが出ないとなんとやら!?

それほど昭和の日本人の耳に馴染んだオリジナルを歌っているは、シェリー・フェブレーというアメリカの白人女優で、実は彼女が出演していた「うちのママは世界一」というテレビドラマの挿入歌として作られたのが、この「Johnny Angel」であり、その番組の人気もありましたから、本来が夢見るように素敵なメロディと如何にもの歌詞が狙いどおりのウケまくり♪♪~♪ 1962年春には全米チャート1位の大ヒットになっています。

後に知った裏話では、シェリー・フェブレー本人は全く歌には自信が無く、それでも番組の制作スタッフが率先して事を運んでしまった真相の中、実際にリハーサルを終えたレコーディングの現場においても、未だ彼女は臆していたというのですが、結果的にそうした弱気の部分が吹き込まれたボーカルのイメージに良い作用を及ぼしていたと思うのは、サイケおやじだけでしょうか。だとすれば、これは意想外の大成功でしょう。

まあ、そのあたりはシェリー・フェブレーのオリジナルバージョンを聴きながら、う~ん、なるほどと納得してしまった後の独断と偏見ではありますが、とにかく胸キュンの楽曲そのものの出来は素晴らしいですし、レコーディングには当時のハリウッド芸能界を裏で支えていたトップのスタジオミュージシャンが勢揃い!

おそらくはハル・ブレイン(ds)、トミー・テデスコ(g) 等々が参加していたと思われますが、ひとつだけ確実なのは、秀逸なバックコーラスを担当しているのが、フィル・スペクター子飼のダーレン・ラブ&ブロッサムズだったという事です。

ご存じのとおり、ダーレン・ラブは現在に至るも過小評価というか、真っ当に実力を認められていない黒人歌手なんですが、彼女の歌声はポップス好きの誰もが必ず聞いているはずという、裏方の有名シンガーなんですねぇ~♪

ブロッサムズも彼女が高校時代に結成したグループで、1958年頃から様々な大小のレコード会社に録音を残していますが、全くヒットは出せていません。しかし並行してメインの仕事になっていた新曲のデモ録音を歌うセッションから前述したフィル・スペクターに発見されたのが、幸せと不運のスタートでした。

と言うのも、その時に吹き込まれていた「He's A Rebel」という楽曲が、フィル・スペクターの制作によってダーレン・ラブ&ブロッサムズで完成されながら、発売された時は全く別のクリスタルズという5人組グループの名義にされていたのですからっ!?

これが1962年の事で、この目論見は年末にチャートのトップに輝く大成功を収めるのですから、ダーレン・ラブ&ブロッサムズは、この年を代表する二大名曲「Johnny Angel」と「He's A Rebel」において多大な貢献をしていたわけです。

閑話休題。

しかし、そんな事はリアルタイムよりはずぅ~~っと後に知ったのがサイケおやじの実相であり、テレビで前述した「うちのママは世界一」という、アメリカの白人中産階級が如何に当時の日本と比べて裕福であったかを知らしめさせるホームドラマを見せつけられる時、つまりは「何でもアメリカが一番」という教育を国家によって施されていた自分の憧れが、この「Johnny Angel」に結実していたように思います。

ちなみに同曲は件のドラマの挿入歌と書きましたが、個人的には劇中でシェリー・フェブレーが歌っていたという記憶はありません。

しかし珍しくもリアルタイムのヒットになった洋楽としての「Johnny Angel」が、「うちのママは世界一」に出演している長女のメアリー、つまりはシェリー・フェブレーのレコードだという事実は、良く知られていたはずです。

ところがシングル盤のジャケ写は、ど~~見ても別人なんですよねぇ~~???

これって、もしかしたらママを演じていたドナ・リード??

そんなところにも、当時の我国洋楽事情に共通していた情報不足が露呈しているわけですが、実はここに、もうひとつ、「Johnny Angel」よりも有名な歌が記憶されています。

それは楠トシエが歌った、日本独自の番組テーマ曲で、歌詞の内容はスポンサーだった「味の素」がらみのCMソングというのが、その正体!

 ♪おわん おわん おわん のマ~ク
 ♪味 味 味~の素

というスタートのフレーズを覚えていらっしゃる皆様も、思わずニンマリと推察しておりますが、確か当時、この歌を入れたソノシートが貰えるキャンペーンがあって、知らないうちに我が家にも入っていたんですが、何時の間にか失くしてしまったのが悔やまれます。

最後になりましたが、シェリー・フェブレーは決して上手くない歌唱力を逆手に活かしたようなLPを2枚、またシングル盤も相当に出していますが、そこには彼女が結婚した敏腕プロデューサーのルー・アドラーからの影響もあるんでしょうか?

ちなみにハリウッド制作のポップスに顕著なスタジオシステム、つまり有能なミュージシャンを安いギャラで雇えるように固定スタッフ化してスタジオレコーディングに用いるという方策は、ルー・アドラーが1950年代末頃からの常套手段であり、フィル・スペクターはそれを踏襲しただけというのが定説になっています。

だとすれば、前述したダーレン・ラブ&ブロッサムズの件も含めて、なにか1曲のヒットにも様々なドラマや因縁が深く存在しているんだなぁ~~。

そんな事を思うのでした。

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