■まごころ / 森山良子 (フィリップス)
様々な事柄が縺れてくると、そこには相手方を問わず、「まごころ」を持って接するべきという教えは昔っからあるわけですが、さて、それでは「まごころ」とは何ぞや?
という素朴な疑問を抱いてしまうのは、例によって、サイケおやじの天邪鬼でしょう。
とにかくそこで思うのは、「まごころ」とは「真心」であり、「忠誠」でもあり、また「誠実」、あるいは「正直」だって、同じ意味合いになる場合は数知れません。
そして先方に理解されるためには、その何れにも「バカ」を附さなければならない時だってあるんですから、迂闊に「まごころ」という言葉を用いるのは、サイケおやじには気恥ずかしさも……。
つまり、そこにはイノセントな気持ち、または自己犠牲さえも厭わない覚悟が必要とされるのかもしれません。
さて、そこで朝っぱらから自分の中で蘇った歌が、昭和44(1969)年に森山良子が出した本日掲載のシングル盤A面曲「まごころ」であります。
皆様ご存じのとおり、当時の森山良子は「禁じられた恋」の大ヒットにより、所謂カレッジフォークの女王から歌謡界の新星という認識が一般的でしたから、続くシングル曲となった「まごころ」もそれと同じく、作詞:山上路夫&作曲:三木たかし、そして編曲:高見弘という、全くの歌謡曲がど真ん中のスタッフによって制作された現実は侮れません。
特に三木たかしの書いたメロディは、どっかで聞いた事があるような洋楽、もしくはクラシック調の雰囲気が濃厚で、もしかしたらミュージカルスタンダードの「Chim Chim Cher-ee」が元ネタのような気も致しますが、なんであれ、スローテンポでしんみりじんわりと気持を込めて歌う森山良子からは、文字どおり「まごころ」が滲んでまいります♪♪~♪
しかも、アコースティックギターによる間奏のパートに重なる彼女の「語り」も良い感じ♪♪~♪
ということで、「まごころ」って、やっぱりある程度の「臭み」が必要であり、それが「イヤミ」にならないようにする努力が必要なのかもしれません。
しかし、そんな事は結局打算であり、やっぱり素直な心が相手に響くはずと信じていたいのがサイケおやじの本音です。
ただし、問題は皆様ご推察のとおり、サイケおやじには殊更仕事においては、そんな心根が希薄なもんですから、困ったもんだと自嘲しているのでした。