■その気にさせないで / キャンディーズ (CBSソニー)
アイドル業界も昭和50年代に入ると、それまでの「カワイ子ちゃん」志向からの脱却も様々に試みられ、例えばレコードスリーブのジャケ写ポートレートにしても、所謂「ニコパチ」が用いられなくなった、その傑作の1枚が、昭和50(1975)年秋に発売されたキャンディーズの掲載シングル盤です。
ど~です、この「ずぶ濡れ」感の素晴らしさはっ!
撮影したのは、後に松本ちえこの鮮烈なヌード写真で有名になった集英社の社員カメラマンである中村昇氏と云われていますが、だとすれば巨匠の若かりし頃の傑作と思うばかりで、しかも、これだけ濡れていながら、衣装が透けていないところは、ニクイですねぇ~~♪
そして、肝心のA面曲「その気にさせないで」が、これまた最高に素晴らしいソウル歌謡なんですから、たまりません ♪♪~♪
ソングクレジットを確認すれば、作詞:千家和也&作編曲:穂口雄右という、キャンディーズを知り尽くしている制作スタッフからの提供とはいえ、キャンディーズとしては、それまでのヒット路線だった蘭ちゃんのソロパートよりは、3人のコーラス&ハーモニーを重視したグループとしての表現を強めた楽曲に仕上げているあたりが新機軸でしょうか。
実際、演奏パートは既に述べたとおり、当時流行のソウルミュージックから美味しい要素を抜き出し、歌謡曲に煮詰めた感があり、クラビネットやパーカッションの入れ方等々はスティーヴィー・ワンダー調ですし、ストリングスやブラスセクションはフィリーソウルを意識した様に思えるんですが、これが歌謡曲になっているのはキャンディーズ本人達のコーラスワークに黒スっぽさが希薄で、妙に色っぽく、聴き方によってはムードコーラス系ソウルミュージックみたいなフィーリングに思えるんですが、いかがなものでしょう。
もちろん、リズムセクションは強力で、16ビートのシンコペイションがテンコ盛りですし、曲メロがマイナーキーという事もありながら、決してカラオケパートに鬱陶しさが無く、逆にボーカル&コーラスのパートが、しっかりと迫って来るあたりのミックスも特筆物と思いますねぇ~~♪
う~ん、この文章を書くために、久々に何度もレコードに針を落として謹聴すれば、ここでのギターは素晴らしい小技の連続で、おそらくは水谷公生のプレイでしょうか、流石にスタジオセッションの世界は奥が深いと感服するばかりです。
ということで、それにしても、このジャケ写にして、この歌と演奏の新しさは、間違いなくアイドル歌謡に新鮮な空気を呼び込んだんじゃ~ないでしょうか。
告白すれば、当時のサイケおやじは、そんな事は全く気にも留めず、なんとなくテレビで歌うキャンディーズを眺めていただけだっんですが、その頃の彼女達の衣装は超ミニスカでキワドイ振付のアクションを披露しながら、「その気にさせないで」を演じていたんですよねぇ~~~♪
あぁ~~、思い出しても、その気になっちまいそうです (^^♪