OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・ラブの幻影

2009-10-12 11:23:29 | 日本のロック

イカルスの星c/wワンス・アゲイン / ザ・ラブ (東芝)

ジャズでは定番用語の「幻の名盤」、そのGS版のひとつが本日ご紹介のザ・ラブ、おそらくは唯一残されたシングル盤ではないでしょうか?

尤も私が、このグループを知ったのは後の「廃盤アワー」ブームの昭和60年でしたし、リアルタイムでバンドが活動していた昭和44年当時の事は何ひとつ知りません。当然ならが、この「イカルスの星」も全くヒットしていませんでした。

ただ、楽曲としては越路吹雪の人気演目のひとつとして、良く知られていると思います。多分、当時は競作扱いだったんでしょうか?

と、???ばかりのザ・ラブなんですが、メンバーは元アウトキャストの藤田浩一(g) をリーダーに、高宮雄次(vo)、木幡ヒロミ(org,key)、荒井ヒデオ(b)、島田史雄(ds) という5人組で、レコードを聴く限りでも、なかなかの実力派だと思います。

そして昭和44(1969)年3月に発売された、恐らくはデビュー曲であろう「イカルスの星」は、作詞:岩谷時子&作曲:内藤法美、さらに編曲が村井邦彦というだけで、これはもう名曲名演は決ったようなもんですが、実際、ザ・ラブの歌と演奏は素晴らしい限り♪♪~♪

まずイントロから絶妙の透明感で泣きまくるエレキギターのせつないフレーズ♪♪~♪ 強いビートでドライヴするエレキベースと力感溢れるドラムス、そしてこの時期ならではのチープなオルガンが最高の彩りとなった演奏パートに、グッと惹きつけられます。

また適度な湿りっ気が琴線に触れまくりという高宮雄次のボーカルは、多分コーラスも含めたダブルトラックだと思いますが、その意図的かもしれない微妙なズレが絶品のプロデュースじゃないでしょうか。もちろん曲メロと歌詞の解釈も上手いと思います。

う~ん、それにしても、この低音域重視の「東芝サウンド」は素晴らしいですねぇ~♪ それは間奏から後半へと展開されるクライマックスで、さらに感動的です。

それとB面の「ワンス・アゲイン」は藤田浩一が自作したサイケデリック系のハードロックな歌謡曲なんですが、唸るファズを効かせまくったエレキギターとブリブリのエレキベースがリードする演奏パートに強いコントラストで存在感をアピールする湿っぽいボーカル&コーラスが、これまた素晴らしい限り! せつない失恋と情けない執着を素直に表現した歌詞と歌い回しが、たまりません♪♪~♪ またパワフルなビートを叩き出すドラムスも良い感じ♪♪~♪

しかし、これほどの両面傑作名演を作り出しても、ザ・ラブはブレイクすることなく、消えて行きました……。

時代は既にGSブームが下火となり、いろんなグループが歌謡コーラス系へと転身していく中で、ザ・ラブは新進の気概とともに、後にパワーポップなんて称されるラズベリーズやバッドフィンガーあたりにも通じる洋楽指向を強めていたのは特筆されるべきだと思います。

ただ、それが当時は、カッコ良すぎたんでしょうかねぇ……。

今となっては、このシングル盤を残してくれたことに感謝する他はありません。

ちょっと前にはCD化もされていたようですから、機会があれば、ぜひともお楽しみ下さいませ。

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18 コメント

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ありがとう! (ぺぺ)
2009-11-02 12:17:15
ここまでザ・ラヴを認めていただいてありがとうございます。ここまで誉められると嬉しくて涙ものです。メンバーを代表してお礼を申し上げます。

先月当時のリーダー藤田氏が2009年10月他界されました、この11月20日に偲ぶ会が有志によって催されるそうで、元メンバーとともに参席のつもりです。
<元ヴォーカル 高宮>
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永遠のザ・ラブ (サイケおやじ)
2009-11-03 12:18:02
☆高宮様
コメントありがとうございます。

まさか元メンバーの高宮様から、コメントをいただけるとは望外の幸せです。そして独善的なことばかり書いてしまって、額に汗が滲ます。

私は残念ながら、リアルタイムのザ・ラブを聴くことが出来ませんでしたが、このシングル盤に出会って、それが本当に悔やまれます。

当時のライブやバンド活動は、どのようなものだったのでしょうか。ひとつでも多くのザ・ラブの音源を聴きたい気持ちが募ります。

藤田様は逝かれましたか……。
衷心よりご冥福をお祈り致します。
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感動しました (リカ)
2010-04-18 15:46:25
つい2~3日前、ラジオで『GS大全集』のCDの中から何曲かピックアップして曲が紹介されていて、その中に「イカルスの星」が入っていました。
越路吹雪さんが唄われてるのは知っていましたが、GSバージョンを初めて聴いて感動しました。
私はGSブームの頃、まだ生まれていなかったので、なんていうグループが唄っているのかすごく気になり、ネットで調べていたら、ここにたどり着きました。
『ザ・ラヴ』とおっしゃるグループなんですね。
越路吹雪さんもいいけど、私は『ザ・ラヴ』のバージョンの方が好きです。
CD買いたいと思いました。
なぜ売れなかったのかすごく不思議!!
今更かもしれませんが『ザ・ラヴ』の「イカルスの星」をラジオとかでもっと流してほしいです。
リーダー藤田様のご冥福をお祈り致します。
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素敵な歌は永遠に (サイケおやじ)
2010-04-19 17:11:10
☆リカ様
コメント、ありがとうございます。

GSリアルタイムのサイケおやじも、ザ・ラブの「イカルスの星」は知りませんでした。出会った経緯は本文に書いたとおりですが、素晴らしい歌と演奏でしょう♪
ひとりでも多くの人に楽しんでもらいたいと、心底、思っております。

あとGSに限らず、当時の歌の素敵なメロディと歌詞が時代を越えて愛されるよう願うばかりです。

独り善がりなプログですが、これからもよろしくお願い致します。
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イカルス・・・唄います。 (高宮雄次)
2010-06-08 11:39:58
2010年7月23日(金)7:00~
ライブハウス新橋ZZで「GSスター千一夜」のトークショーゲストとして出演し「イカルスの星」を唄います。
ただ観に来られる方に一言、私の当時とのイメージの落差にガッカリしないでくださいね。
ちなみに、新橋ZZにはいつでもGS時代の懐かしいサウンドがあふれていますよ。
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高宮勇次様のコメントについて (リカ)
2010-06-08 23:40:43
高宮勇次様のコメント、ちょっとびっくりしました。
「イカルスの星」お歌いになるんですってね。
サイケおやじ様は7月23日のライブ観に行かれますか?
私は大阪に住んでいて、経済的な理由もあり^^;、残念ながら東京まで観に行くことはできませんが、サイケおやじ様、もし観に行かれましたら、ぜひ感想お聞かせ下さいね~。
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ありがとうございます♪ (サイケおやじ)
2010-06-09 17:19:40
☆高宮雄次様
朗報、ありがとうございます。

やっぱりオリジナルシンガーの方が歌ってくれると、嬉しさが倍増ですよねぇ~♪

GSの魅力は永遠に不滅ですから、これからも多くの皆様に楽しんでいただきたく思います。

残念ながら当日は仕事のスケジュールがきつく、会場へは行けませんが、またお話をお聞かせください。
盛会を祈念しております。
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同じ時空にスタアが蘇る (サイケおやじ)
2010-06-09 17:22:29
☆リカ様
コメント、ありがとうございます。

残念ながら、私も当日は参加不可能です。
しかし、往年のスタアが今でも歌って下さる、その一事だけで、嬉しいではありませんか。

お互いに盛会を祈念致しましょう。
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うれしいです (小りん)
2010-10-14 15:45:42
高宮さんから こちらにたどり着きました
ラヴを取り上げて頂いてとてもうれしいです

7/23の新橋ZZのPePeカッコよかったですよ 40年ぶりに聞いた「イカルスの星」「ワンス
アゲイン」当時のステージを思い出しました
ACB・ドラム・・・通いました
9月の高宮さんのライブも 最高でした PePe
・ヘッケル・ミー(オリジナルメンバー)の「イカルスの星」「ワンス・アゲイン」夢のようでした

当時ステージで「バック・イン・ザ・USSR」を
歌う時PePeが飛ばす紙飛行機を 取り合ったのを覚えています

リカ様
「GSベストセレクション」でラヴの「イカルス」聞けますよ

[ラヴ PePe ファン]
返信する
ライブの喜び (サイケおやじ)
2010-11-08 14:32:56
☆小りん様
コメント&レポートありがとうございます。

お返事が遅れて、申し訳ございません。

しかし、それにしてもリアルタイムからのファンの熱気が伝わってきます。
私は残念ながら、ラブのライブには接したことがありませんでしたが、当時の演目やステージ進行のあれこれは、まさに日本のロックが胎動していたんだなぁ~♪
本当に、そう思うばかりです。

これからも、よろしくお願い致します。
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